【PE EGI ULT HS4 インプレ】フロロ並みの硬さで操作性が極めて高いPE

PE EGI ULT HS4

エギ専用にも関わらずバスプロがお勧めするPEに必ずと言っていいほど登場するPE EGI ULT HS4。他のPEに比べても非常に硬く糸でルアーを操作しやすい事が特徴です。この操作感はナイロンやフロロなどモノフィラメントの糸に近く、これが多くのバスプロに支持されている理由と思われます。通常のPEでは柔らかすぎて、この操作感は得られません。また表面は4本撚りPEとは思えないほど滑らかで8本撚りPEに匹敵します。耐久性も高い上に、糸鳴りも少なくガイドへの抵抗感も抑えられています。

ただ硬さを追求したためか強度はPEの中でも低めです。一般にソルトゲームで使用される8本撚りPEとは比較にならないレベルで強度は弱く、4本撚りPEの中でも低い値です。近年普及してきた高比重PEと同等レベルの強度しかありません。また価格も高くPEの中でもハイエンドに属する価格帯のため気軽には購入できません。

今回は価格も高く強度も低いものの、糸でルアーを操作する釣りには抜群の相性を示すPE EGI ULT HS4を紹介します。

個人的評価は以下の通りです。

★5が満点
細さ★★★★★
強度★★☆☆☆
耐摩耗性★★☆☆☆
耐久性★★★★☆
滑り性★★☆☆☆
硬さ★★★★★
コスト★☆☆☆☆

PE EGI ULT HS4の特徴

太さ

0.8号をSV BOOST PEスプールに75m巻いた時の写真です。

左がPE EGI ULT HS4、右がアップグレードX8です。糸巻後のスプールの笠はどちらも同じで標準的な太さとなっています。

なお同じ4本撚りのアップグレードX4と比べてもスプールの笠は変わりませんが、アーマードF PRO BASSぐらいゴワついたPEとなるとスプールの笠が増え、スプール限界の糸巻量となります。

強度

PE EGI ULT HS4の結束強度

0.8号をFGノットでの結束強度を5回測定した結果です。比較対象はアップグレードX8です。

PE EGI ULT HS4アップグレードX8
表記
強度
6.00kg
7.26kg
16lb
平均3.14kg
52%
4.80kg
66%
最大3.52kg
58%
5.25kg
72%
最低2.60kg
43%
4.50kg
62%

PE EGI ULT HS4は4本撚りPEのため8本撚りに比べて強度は低く表記強度の時点でアップグレードX8には劣り、平均や最大強度でも勝てません。最低強度では4割程度の強度しか出ません。

参考までに4本撚りのアップグレードX4と高比重PEで4本撚りのオードラゴンの結果を載せます。

アップグレードX4オードラゴン
表記
強度
6.35kg
14lb
5.90kg
13lb
平均3.65kg
57%
3.11kg
53%
最大4.00kg
63%
3.50kg
59%
最低3.25kg
51%
2.50kg
42%

アップグレードX4も8本撚りのアップグレードX8には強度で劣りますが、強度のバラつきが少なく抑えられています。PE EGI ULT HS4に近いのが高比重PEであるオードラゴンで、ほぼ同等の結果となりました。

耐摩耗性

PE EGI ULT HS4の耐摩耗性

10号重り(35g)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。計測は5回行い平均、最大、最小の強度を示します。

PE EGI ULT HS4アップグレード
X8
平均3回3回
最大4回4回
最低2回2回
オードラゴンアップグレード
X4
平均2回4回
最大2回5回
最低2回3回

PE EGI ULTの耐摩耗性は高くは無くアップグレードX8と同等です。なお普通の4本撚りPEであるアップグレードX4では耐摩耗が弱くは無くPE EGI ULTより上です。ただ耐久性の低い高比重PEであるオードラゴンよりは摩耗性で上回ります。

耐久性(色落ち、毛羽立ち)

 耐久性は悪くなく週2釣行の1ヶ月使用でも色抜けは少な目です。

比較対象としてアップグレードX8の写真を載せますが、耐久性の高いアップグレードX8でも同様に1ヶ月の使用では僅かに色も抜け始めています。

なお耐久性の低いシーガーPE X8では安価ではあるものの、週2回の釣行でも僅か半月(4釣行)で色が抜けてしまいます

滑り性、糸鳴りの少なさ

糸鳴りは4本撚りPEとしては奇跡と言えるレベルであり、顕微鏡による60倍写真でも8本撚りPEと変わりません。アップグレードX8の写真と比べても差が殆ど見られません。

なお通常の4本撚りPEでは表面の凹凸が大きく糸鳴りも大きめです。60倍写真の比較でも全く表面の凹凸が違うのが分かります。

FGノットでの編み数

0.8号でFGノットを組んだ時の編み込み回数です。

PE EGI ULT HS4アップグレードX8アップグレードX4
0.8号19回25回19回

先ほどの表面凹凸の少なさに反してFGノットでの編み込みは一般的な4本撚りPEと合わせる必要があります。8本撚りPEのように編み込み回数を増やすとノットの先端まで締め込みができず、締め込み時にノットが破断したりスッポ抜けが発生します。表面凹凸が少ないとは言え、4本撚りPEのため原糸が8本撚りPEに比べ太いのが原因と推測されます。

伸びと感度

PE EGI ULT HS4の伸び

0.8号のPE:7mを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。

PE EGI ULT HS4アップグレードX8
伸び10cm8cm
伸び率1.4%1.1%

 PEは全体的に伸びが少ないため7mの糸を伸ばして比較しています。高感度と表記されるPE EGI ULT HS4ですが、PEの中では伸びが大きく10cmも伸びます。アップグレードX8よりも伸びが大きい傾向にあります。

アップグレードX4オードラゴン
伸び7cm12cm
伸び率1.0%1.7%

比較対象としてPE EGI ULT HS4と同じ4本撚りのアップグレードX4では伸びが少なく7cmとなっています。なお高比重PEのオードラゴンでは12cmと伸びが大きくなります。そのためPE EGI ULT HS4は通常のPEより伸びが大きいですが、高比重PEよりは伸びが抑えてています。

硬さとトラブル耐性

PE EGI ULT HS4の硬さ
上:PE EGI ULT HS4
下:アップグレードX8

ライン8cmを水平に浮かせた際の折れ曲がりの写真です。ピントを下の目盛りに合わせているためボケていて恐縮ですが、上側のPE EGI ULT HS4は下方向に折れ曲がらず、ほぼ水平を維持しています。一方で下側のアップグレードX8は折れ曲がり下に付いています。

実釣時の糸フケについても確認しましたが、糸が硬いためかアップグレードX8よりは糸フケが多く「らせん」を描いています。ただ糸フケが多いと言っても糸自体が硬いためロッドティップへの絡みも少なく操作性は一般的なPEに勝ります。

もっと硬いアーマードF PRO BASSよりは「らせん」が少ないですがアップグレードX4よりは多い傾向にあります。そのためスピニングではバックラッシュやスプールでの糸フケに注意が必要です。

PE EGI ULT HS4の糸フケ

硬いアーマードF PRO BASSよりは少ないものの、密巻き構造の近年のシマノスピニングではスプール内での糸フケが出やすいと感じます。バックラッシュまでのトラブルは起こっていませんが定期的にスプールを確認する必要はあります。

高比重PEではないため沈める釣りには不向き

同じサンラインから販売されている子比重PEのオールマイトとの比較ですが、同様に硬いPE同士でも高比重PEは重いため空中での糸フケが抑えられ、特に風が強い条件では操作しやすい傾向にあります。糸がばたつかないためルアーを沈める釣りでは当たりも取りやすく、ワーム系の釣りには高比重PEの方が適しています。PE EGI ULT HS4も操作はしやすいのですが、ルアーを沈める条件では高比重PEに使用感で劣ります。

コスト

価格は通常の4本撚りPEに比べ明らかに高くコストパフォーマンスは高いとは言えません。ただ耐久性も高く他に無い性能を持ったPEのため価値はあると感じます。

アップグレードX8との比較

アップグレードX8
細さ同等
強度アップグレードX8
耐久性同等
滑り性アップグレードX8
硬さとトラブル耐性PE EGI ULT HS4
コストアップグレードX8

PE EGI ULT HS4は4本撚りPEのため8本撚りPEのアップグレードX8に比べ強度や滑り性には劣りますが硬さに関してはトップクラスであり、糸でルアーを操作する釣りとの相性は抜群です。

これに対しアップグレードX8はしなやかですが、投げて巻くだけの釣りでは全く問題にはなりません。やや柔らかいですが、1号以上の太さであれば気になりません。耐久性も高くキャストを繰り返す釣りにはアップグレードX8の方が適しています。アップグレードX8の詳細は別記事で紹介しております。

オルトロスPEとの比較

オルトロスPEゾーンフィネス
細さ同等
強度オルトロスPE
耐久性同等
滑り性オルトロスPE
硬さとトラブル耐性PE EGI ULT HS4
コスト同等

バス専用PEであるオルトロスPEとの比較の用途でも4本撚りと8本撚りの比較となるため強度や滑り性ではPE EGI ULT HS4は劣ります。硬さに関してはPE EGI ULT HS4が上と感じますが、強度を求める場合にはオルトロスPEがお勧めです。オルトロスPEの詳細は別記事で紹介しております。

アップグレードX4との比較

アップグレードX4
細さ同等
強度アップグレードX4
耐久性同等
滑り性PE EGI ULT HS4
硬さとトラブル耐性PE EGI ULT HS4
コストアップグレードX4

同じ4本撚りPEでの比較でもPE EGI ULT HS4は硬く糸で操作しやすいPEになっていますが、その分アップグレードX4には強度面では劣ります。またコスト面でも普通の4本撚りPEであるアップグレードX4の方が優位です。アップグレードX4の詳細は別記事で紹介しております。

まとめ

PE EGI ULT HS4の使用例

今回紹介のPE EGI ULT HS4は

・PEの中でも特に硬く糸でルアーを操作しやすく糸絡みも少ない

・耐久性も高く長期使用も可能。

・強度は低く価格も高め、スピニングでのバックラッシュには要注意

となっており、硬さと糸による操作性に特化した分、強度と価格は犠牲になったPEです。ただバス釣りなどルアーを操作するのに非常に適した糸となっています。

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