フロロの中でも群を抜いて柔らかく扱い易いのがフロロハンタータクトです。とにかく柔らかく、しなやかフロロの代名詞であるフロロリミテッドを大きく上回る扱いやすさのため、フロロでは扱い難い16lb以上でも操作が容易です。またナイロン並みに伸びやすく巻物でのノリの良さも際立っておりバイトを弾きません。
その反面、柔らか過ぎることから遠投時には伸びが目立ち、感度が悪くフッキングも決まりません。耐久性も高くは無く、傷も入りやすい上に白化も目立ちます。結束強度も高くは無くノットによってはフロロマイスターにさえ劣る傾向が見られます。
今回は耐久性や強度は損なわれているものの、フロロリミテッド以上の柔らかさと扱いやすさを持ったフロロハンタータクトを紹介します。個人的評価は以下の通りです。
| ★5が満点 | |
| 細さ | ★★★★★ |
| 強度 | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★☆☆☆ |
| 耐摩耗性 | ★★☆☆☆ |
| 伸び難さ(感度) | ★☆☆☆☆ |
| 柔らかさ | ★★★★★ |
| コスト | ★★★★☆ |
目次
フロロハンタータクトの特徴
細さ
| フロロハンタータクト | フロロリミテッド | |
| 4lb | 0.165 | 0.165 |
| 5lb | 0.185 | 0.185 |
| 6lb | 0.205 | 0.205 |
| 8lb | 0.235 | 0.235 |
| 10lb | 0.260 | 0.260 |
| 12lb | 0.285 | 0.285 |
| 14lb | 0.310 | 0.310 |
| 16lb | 0.330 | 0.330 |
| 20lb | 0.370 | 0.370 |
フロロハンタータクトの線径は号数通りで太くも細くも有りません。フロロリミテッドと細さに関しては全く同じです。
強度
14lbを各ノットで各5回結束強度を測定しました。比較対象はフロロリミテッドです。
完全結びでの結束強度
| 完全 結び | フロロハンター タクト | フロロリミテッド |
| 強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
| 平均 | 3.12kg 49% | 4.55kg 72% |
| 最大 | 3.70kg 58% | 5.00kg 79% |
| 最低 | 2.80kg 44% | 4.25kg 67% |
完全結びの結果ではフロロハンタータクトの結束強度は想像以上に低くフロロマイスターの平均60%さえ下回る結果となりました。驚きを隠せません。
パロマーノットでの結束強度
| パロマー | フロロハンター タクト | フロロリミテッド |
| 強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
| 平均 | 4.51kg 71% | 4.95kg 78% |
| 最大 | 4.80kg 76% | 5.25kg 83% |
| 最低 | 3.80kg 60% | 4.75kg 75% |
パロマーノットは糸の表記強度が出やすいノットでありフロロハンタータクトでも平均71％という結果になりました。完全結びでは目も当てられないような結果となったフロロハンタータクトでもパロマーであれば問題ありません。
ハングマンズノットでの結束強度
ハングマンズノットやユニノットでも検証しました。
| ハング マンズ | フロロハンター タクト | フロロリミテッド |
| 強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
| 平均 | 4.04kg 64% | 4.75kg 75% |
| 最大 | 4.60kg 72% | 5.60kg 88% |
| 最低 | 3.60kg 57% | 3.50kg 55% |
ユニノットでの結束強度
| ユニ | フロロハンター タクト | フロロリミテッド |
| 強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
| 平均 | 4.19kg 66% | 4.95kg 78% |
| 最大 | 4.80kg 76% | 5.50kg 87% |
| 最低 | 3.10kg 49% | 4.25kg 67% |
ハングマンズノットやユニノットではパロマーノットと完全結びの中間的な強度となっており平均6割ほどの強度となっております。
耐久性
柔らかい糸のため耐久性については良くは有りません。週2回釣行の約1ヶ月使用でも激しく白化します。
120倍に拡大した写真でも1ヶ月の使用で表面に細かい傷が多く入っており、白化が激しい事が見れます。
比較対象としてフロロリミテッドの写真を載せますが、フロロリミテッドは表面コートが外れやすいのか黄色く変色しやすく1ヶ月後には劣化が進んでいます。ただ白化についてはフロロハンタータクトよりは抑えられています。
耐摩耗性
14lbを105g(12号重り+15号重り)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを左右に行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。10回行った測定の平均、最大、最小の強度を示します。
| フロロハンタータクト | フロロリミテッド | |
| 平均 | 15回 | 19回 |
| 最大 | 18回 | 22回 |
| 最低 | 11回 | 17回 |
| フロロマイスター | FCスナイパー | |
| 平均 | 15回 | 16回 |
| 最大 | 19回 | 18回 |
| 最低 | 11回 | 14回 |
フロロハンタータクトの耐摩耗性は高いとは言えず、フロロリミテッドには明らかに劣りフロロマイスターと同等です。障害物の多いスレ安い場所での使用は全くおすすめできません。
伸び難さと感度
14lb×2mを2kgで引っ張った際の伸びを記載しています。伸び率だけだは分かりにくいので、あえて実測値も掲載しています。比較対象はフロロリミテッドの14ポンドです。
| フロロハンタータクト | フロロリミテッド | |
| 伸び | 29cm | 23cm |
| 伸び率 | 15% | 12% |
| 線径 | 0.310mm | 0.310mm |
フロロハンタータクトの伸びはフロロの中でも群を抜いており15%としなやかフロロの代名詞であるフロロリミテッド以上の伸び率となりました。
| モンスターブレイブZ | FCスナイパー | |
| 伸び | 20cm | 18cm |
| 伸び率 | 10% | 9% |
| 線径 | 0.310mm | 0.330mm |
参考までに同じ14lbで太さのモンスターブレイブZでは伸びは10%であり、同じ14lbではあるものの16lb相当に太いFCスナイパーでは9%しか伸びません。そのためフロロハンタータクトでは巻物などでの乗りの良さは期待できますが、反面、感度やフッキングの貫通性が問題となってきます。
柔らかさ
フロロハンタータクトは非常に柔らかい糸であり、フロロリミテッド以上のしなやかさです。クセも一般的なフロロに比べ付きにくく扱いやすい糸です。
硬いフロロリミテッドハードBASSでは糸クセも付きやすく扱いには技術が求められます。
コスト
コストに関してはフロロの中でも安価で購入しやすい価格帯です。少々、耐久性に難がありますがコストを気にせず交換しやすい価格帯でもあります。
PEの20mリーダーならコスト1/5
なおPEラインのリーダーとして使用すれはコストは更に抑えられます。バス向けではPEスピニングでは普及しつつありますがベイトでは殆ど見かけません。原因はライントラブルですが、これはリーダー20mとすることで、ほぼ解消できます。このセッティングでは使用感はほぼフロロであり、かつコストを1/5に抑えられます。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
他のラインとの比較
フロロリミテッドとの比較
| 細さ | 同等 |
| 強度 | フロロリミテッド |
| 耐久性 | フロロリミテッド |
| 耐摩耗性 | フロロリミテッド |
| 伸び難さ(感度) | フロロリミテッド |
| 柔らかさ | フロロハンタータクト |
| コスト | フロロハンタータクト |
フロロハンタータクトは柔らかさと伸びやすさが特徴であり、フロロリミテッドより巻物での乗りが良くトラブルが少ないのが特徴です。そのため巻物や、あるいは扱いにくい太糸での使用がお勧めです。
一方、フロロリミテッドは結束強度が高く、フロロハンタータクトよりは傷も付きにくく感度も高いバランスの取れたフロロです。費用は嵩みますが様々な用途で使用したい際にはフロロリミテッドがお勧めです。フロロリミテッドの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介のフロロハンタータクトは
・フロロの中でも群を抜いて柔らかく扱いやすい
・ナイロン並みに伸びるため巻物での乗りは良いが、感度やフッキング貫通性能は劣る
・結束強度や耐久性は高くは無いため、安価を生かし頻繁な交換が必要
となっており扱いやすさと乗りの良さを求める人に最適なフロロです。16lb以上の太糸でも扱いやすいですが、カバーゲームでは傷が入りやすい糸でもあるためラインチェックを怠らないよう注意が必要です。
