【トラブルの無いベイトPE活用法】軽量ルアーのキャスト性向上とラインコスト削減

オルトロスPEは巻物に最適

バス向けのラインではマイナーな存在のPEラインですが、高比重PEの登場にてデメリットの大半が払拭されました。従来のPEは比重が低く水に浮くためラインでルアーを操作することが難しく、また糸がたるんだ状態でのバイトが取れませんでした。しかし高比重PEであればバス用途でメインとなるフロロに近い操作感でルアーを操作できます。そのためバス用途でもスピニングでは徐々にPEを導入する人が増えております。

一方でベイトPEはバックラッシュが多く敬遠されがちですが、ベイトPEでもリーダー20m以上の設定であればフロロと全く変わらない操作感でPEを導入できます。一般的なキャストで使う範囲が全てフロロのため、フロロのみのキャスト感と全く変わらない為です。またPE導入によりスプールが軽量化され10g以下のキャスト性能が大幅に向上します。バイブレーションやヘビキャロの遠投でもPEの圧倒的な感度と伸びの少なさによるフッキング性能が役立ちます。

なおPEラインを導入することでラインに掛かる費用を大幅に削減することが可能です。PEラインへの傷は非常に少ないため、リーダー部分しか交換の必要が無いためです。今回は利点だらけのベイトPEセッティングについて紹介します。

私のPE使用歴

2015年からバス釣りを再開した著者ですが、淀川のキロアップ相手にフロロ5ポンドでは初心者のファイト技術だと話になりません。運良く釣れた良型もあっという間にラインブレイクと悔しい思いを繰り返しました。

2016年にはスピニングにセフィアG5とフロロ8ポンドリーダーを導入。2018年からはオードラゴンに乗り換え、2021年よりピッドブルG5を使用開始しました。

またベイトPEも2018年には導入しており、試行錯誤を経て、今ではベイトやスピニングを問わず全てPEラインを導入しております。

ベイトPEに必要なPEラインの特徴

結論から述べるとベイトやスピニングに関わらず、バス向けPEは硬くハリ感があり比重が高い事が求められます。ほぼ全てのバス用ルアーがフロロラインを想定し作られているためです。つまり糸でルアーを操作する必要があります。

ただ現状では市販のほぼ全てのPEラインはバス向けで有りません。大半のPEラインは柔らかくラインの重みでルアーの操作には適していないためです。

一般的なPEラインの特徴

アップグレードX8

まずはPEのおさらいです。PEラインのよく言われる特徴は

・感度の高さ(ラインの伸びにくさ)

・飛距離が伸びる(糸を細く出来る)

・引っ張り強度が高い

しなやかで柔らかい

・障害物など根ズレには弱い

となります。従来のフロロやナイロンに比べメリットが非常に多く、すでに大半の釣りではPEが主流ですが、バス釣りで困るのは「しなやかで柔らかい」、「根ズレには弱い」こととなります。根ズレはリーダーで対策可能ですが、ラインの柔らかさはソルトなど多くの釣りではライントラブル減少に貢献するものの、逆にバス釣りには導入できない要因になっています。

バス向けルアーとリールは「ハリ感」のあるフロロ想定

フロロリミテッド

現在のバス向けラインは間違いなくフロロが主流で、一部の用途のみナイロン、PEは近年スピニングで増加傾向といったところでしょう。言い換えれば市場にある大半のバス向けルアーがPEラインを想定していません。柔らかすぎるPEではライトリグのような繊細なアクションは難しく、ティップへの糸絡みも問題です。

加えてベイトではバックラッシュの問題があり、PEは一旦バックラッシュするとラインが即座に噛み込み「カックン」とスプールが止まります。しなやかなPEではキャスト時の僅かな糸浮きでもバックラッシュの要因となるためです。

超ロングリーダーならバス用途でもPEを導入できる

超ロングリーダーPE

そんなPEを導入するにはリーダーを長く、かつハリ感の強いPEを使用する事です。ロングリーダーについては既に提唱されていますが、私の場合は最低10m、通常で20mとリーダーと呼べるのか分からない超ロングリーダーで使用しています。推奨のPEラインについては後述しますが、まずは超ロングリーダーの特徴を紹介します。

超ロングリーダーの利点

バス釣りで一般的にキャストする範囲は30m以内で大半は20m以内です。そのためリーダーに20mもフロロがついていれば使用感は「ほぼフロロ」です。この超ロングリーダーの利点は、今までと使用感が全く変わり無い事です。

その上ライン交換が必要になるのはリーダー部分だけのため、フロロを100m巻いていた場合、費用を1/5に抑えられます。下巻きのPE費用を入れても実質1/4程度です。慣れない内はリーダー30mから始めるとリールから出るラインはほぼフロロですが、これでもコストは1/3まで抑えられます。

また費用だけで無く大遠投が必要になるヘビキャロやディープクランク、バイブレーションなどでは飛距離アップにもつながり、PEの伸びの少なさで感度アップとフッキングパワー向上に繋がります。

ベイトPEはスプール軽量化にも貢献

PEラインは高比重PEであっても比重が1.3〜1.4とフロロの1.7に比べ軽量です。そのためスプールが軽量化でき軽量ルアーのキャスト性が飛躍的に向上します。中価格帯のリールがハイエンドのベイトフィネスに迫る性能に化けます。

アルファスSVで5gピッチング可能
アルファスSVにPE:30mとリーダー10m、スワンプを楽にピッチング可能

リーダーに応じたPEの号数が必要、結束はFG

重要なのがリーダーに応じたPE号数を選ぶ事です。個人的にオススメの組み合わせは以下の通りです。

ベイトフィネス

PE1.0号→8〜10lbリーダー

PE1.2号→10〜12lbリーダー

ベイト

PE1.5号→10〜14lbリーダー

PE2.0号→12〜20lbリーダー

ある程度、慣れれば問題無く使用できますが、最初は

ベイトフィネス:1.0号→8〜10lbリーダー

ベイト    :2.0号→12〜16lbリーダー

から始めると使いやすいでしょう。PEに慣れた方からすればリーダーが細すぎると感じると思いますが、強度が弱い高比重PEへの対策です。根掛かり時などルアーとの結束部分で糸が切れリーダーを都度結び直す必要があります。

なおリーダーとの結束は堀田式FGが簡単に結束出来ます。私の場合、1.0号なら17回、2号なら13回編み込むとリーダーのスッポ抜けもなく、結束部分が邪魔にならない大きさに収まっています。糸が太くなるほど摩擦が増えるため編み込み回数を必要最小まで減らすのがポイントです。

FGノットの成功と失敗例
手前の編み込みは太さが均一も、奥の失敗例はリーダー側の末端が太くスッポ抜けの原因

上の写真では2号PEで手前が13回編み、奥が19回編みを比較してみました。19回も編み込むと、編み込みの先端まで締め込みが出来ず全体が緩むきかっけとなり逆にスッポ抜けします。リーダー側の末端部分まで均一に締めこまれてるか否かが重要なため編み込み回数は必要最小限に留まる必要があります

ただ編み込み回数はPEの種類によって異なります。推奨の編み込み回数は各PEの紹介に記載しておりますのでご参考下さい。記事一覧のリンクもつけておきます。

PEは50mで十分、遠投やスピニングは75mも有り

PEは50mもあれば十分です。リーダーが20mであることから、合わせて70mとなるためラインが足りずに困る事は、まず有りません。これで100m巻のPEを2回、150m巻なら3回に分けて使用できます。ヘビキャロやバイブレーション、ディープクランクなど遠投を多用する場合にはPEを75~100mと増やすのも有りです。

なおPEやリーダーの巻量測定にはデプスチェッカーが便利です。

アナログ方式で安っぽく見えますが、個人的にはデジタル版よりアナログ版を強くお勧めします。デジタル版は電池も必要な上に徐々に接触不良になり壊れやすいためです。

高速リサイクラーの台

またライン巻き付けの際や、巻替えには高速リサイクラーが便利です。机でなく100均やホームセンターに売ってる木製の足台に取り付ければ移動させやすく更に使い勝手が向上します。

ベイト向け推奨PEライン

ピットブルG5:万能な高比重PE

ピットブルG5

前述の超ロングリーダーでは実際にスプールから出ているラインの多くはフロロのためPEの重要性が低く見えます。ですがスプールに巻かれる大半の糸はPEとなるためPEライン自体の選定も重要です。私の場合、オールラウンドに使用したい場合は高比重PEのピッドブルG5を使用しています。ピッドブルG5の詳細については別記事で紹介していますが、以下にて簡単に解説します。

ピットブルG5の特徴は高比重であり、1.3〜1.4とナイロンとフロロの中間となっています。比重が号数によって微妙に異なりますが、私の場合はリーダーが長い事もあり全く気になりません。PEラインがバス釣りに浸透してこなかった理由が操作感の違いですが、高比重PEであればフロロに近い感覚で操作できます。ラインの自重でテンションをかけたり抜いたりがしやすく風が吹いても扱えます。

オードラゴンに耐久性は敗北、安価を生かし頻繁に交換

オードラゴンとピットブルG5の比較

これまで高比重PEと言えばよつあみのオードラゴンでした。私も数年に渡り使用してきましたが、現時点ではピットブルG5に乗り換えています。オードラゴンとピットブルG5に大きな性能差はありませんが、あえて比較するなら以下の通りです。

操作性 :同等

耐久性 :オードラゴン

平滑性 :同等

視認性 :ピッドブルG5

価格  :ピットブルG5

個人的に大きいのが視認性です。ピットブルG5は見やすいオレンジ色がラインナップされており、雨や曇り、夜明けなど暗い状況の現場でも非常に見やすいんです。加えて、この視認性はラインの傷や摩耗も非常に見やすくします。耐久性はオードラゴンとピットブルG5と同等かもしれませんが、ピッドブルは色抜けも早く、また傷も目立ちやすいです。

これが効果なラインだとデメリットになりますが、コストメリットの高いピットブルG5は逆に交換の目安にできラインブレイクを防げます。また裏技ですが、傷がなく色抜けだけならスプールの糸の表と裏を逆転させ再利用も可能です。

オルトロスPE:巻物やトップ専用

オルトロスPE

これまでは高比重PEを中心に記載してきましたが、糸を緩める事が少ない巻物やトップの釣りには通常のPEでも問題有りません。ただし、糸のハリ感が非常に重要です。

どんなPEでも大丈夫では?

ベイト向けPEでは有名なよつあみのアップグレードX8やサンラインのキャストアウェイを使用してきました。しかし、それぞれの問題点もあります。

Xブレイド アップグレードX8

一般的なPEでは最も有名ですが、ベイト用としては柔らかく、しなやか過ぎます。ティップに絡まったりバックラッシュでのカックンが抑えられません。

サンライン キャストアウェイ

一般的なPEより硬く、糸絡みやバックラッシュ時のカックンが大きく抑えられています。従来はベイト向けの最適PEでしたが、表面の凹凸が大きく、巻物での糸鳴りがウルサイのが悩みどころでした。

その他にもアーマードF PROPE EGIなどハリ感が有るPEは存在しますが2号のラインラップが無く、ベイトに適したPEは極端に種類がありません

これらを改善出来るベイト向けPEとしてたどり着いたのがオルトロスPEです。4号以上は既にラインナップがあり、バックラッシュ抑制との説明もあった事から2号のラインナップがでた瞬間に飛びつきました。

高い平滑性と操作性に加え、高比重PEより高い強度

アップグレードX8,キャストアウェイ,オルトロスPE比較
上からアップグレードX8、キャストアウェイ、オルトロスPE

結果は予想以上でバックラッシュし難いハリ感に加え、カバー前提で開発されたためか表面の平滑性が高く糸鳴りが非常に小さく抑えられます。写真では、上からアップグレードX8:3号、キャストアウェイ:30ポンド(約2.5号)、オルトロスPE:2号を並べました。号数は異なりますが、表面凹凸が目に見えて違うため平滑性の差は明らかでしょう。

なお強度は高比重PEとは比べ物にならず、トップにはオルトロスPE2号にナイロンのGTR20ポンドをリーダーに使用していますが、結束部分で切れた事は一度も有りません。

巻物とジャークベイト、トップ以外には使用しにくい

オルトロスPEは巻物に最適

基本的には巻物とトップ、ジャークベイトなどハードルアー系向けとなります。特に巻物において糸鳴りが小さいため巻きに集中でき、糸のハリ感があるため、操作が多いポッパーやペンシルでも糸絡みが気になら無いのがポイントです。

なおリーダーを30mも取ればワームにも使えなくは有りませんが、基本的には比重が軽いのでボトムを取るような釣りには不向きです。

バス用ベイトPEのまとめ

22バンタムは巻き抵抗が消える

今回はフロロが主流のバス釣りでベイトにPEラインを導入する方法と利点を紹介しました。おさらいすると、

リーダーは20mが基準、短くても10mまで

ハリ感が強く高比重(1.3以上)のPEを使用する

巻物やトップなら通常のPEでも問題ないがハリ感が重要

となります。これだけ守れば使用感は従来と変わらず、軽量ルアーのキャスト性能が向上する上にラインに掛かる費用を大幅に抑えることができます。ラインを躊躇なく交換できるため、ラインブレイク防止にもつながりますので、是非、試してみて下さい。

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