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いまさら説明する必要もないほどフロロラインとしての知名度を持っているフロロリミテッド。理由としては結束強度に加え耐摩耗性も優れている上に柔らかく扱いやすい事があげられます。
結束強度に関しては間違いなくフロロラインの中でも最強レベルにあり、どんなノットでも7割近い結束強度を誇ります。加えて耐摩耗性も非常に高く根ズレにも強いラインです。通常なら、このようなラインは非常に硬くなるのですがフロロリミテッドは結束強度と耐摩耗性を維持しつつも、柔らかく扱いやすいフロロになっています。
フロロのデメリットをほぼ克服したフロロリミテッドですが問題は伸びやすいという事。しなやかなため飛距離も出やすい傾向にありますが、伸びが多く感度では一歩劣ります。また柔らかいためか耐久性は高くは無く、価格も最高クラスです。今回は性能も扱いやすさも最高クラスの高級ラインであるフロロリミテッドについて紹介します。
なお個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★★★★ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
耐摩耗性 | ★★★★☆ |
伸び難さ(感度) | ★★★☆☆ |
柔らかさ | ★★★★☆ |
コスト | ★☆☆☆☆ |
目次
フロロリミテッドの特徴
細さ
フロロリミテッド | FCスナイパー | |
4lb | 0.165 | 0.180 |
5lb | 0.185 | 0.200 |
6lb | 0.205 | 0.225 |
8lb | 0.235 | 0.265 |
10lb | 0.260 | 0.290 |
12lb | 0.285 | 0.310 |
14lb | 0.310 | 0.330 |
16lb | 0.330 | 0.350 |
18lb | - | 0.365 |
20lb | 0.370 | 0.380 |
フロロリミテッドの特徴が細いにも関わらず強度が維持されている事です。バス向けで同じく有名なFCスナイパーとの線径の比較です。フロロリミテッドはFCスナイパーに比べ細くても引っ張り強度が高い傾向にあります。直径が0.330mmならフロロリミテッド16ポンドに対しFCスナイパーであれば14ポンドの強度しかありません。
強度
14ポンドを完全結び(漁師ノット)とパロマーノットで各10回結束強度を測定しました。なお結束は条件を一定にするため一切糸を湿らせず行っており、パロマーノットのみ結束時に余り糸を捨て糸側に引いて試験しています。他のノットで余り糸を捨て糸側に引っ張らないのは、パロマーノット以外では余り糸は本線側にしか引っ張れないのが理由です。
完全結びでの結束強度
完全結び | フロロリミテッド | FCスナイパー |
表記強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.55kg 72% | 4.23kg 67% |
最大 | 5.00kg 79% | 5.50kg 87% |
最低 | 4.25kg 67% | 3.50kg 55% |
完全結びは糸による結束の差が出やすいノットですが、それでも平均で7割以上の強度が出ています。最低値も67%と高い数値に収まっており、比較対象のFCスナイパーでは55%の強度しか出ていません。
ハングマンズノットでの結束強度
ハング マンズ | フロロリミテッド | FCスナイパー |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.75kg 75% | 4.01kg 63% |
最大 | 5.60kg 88% | 5.00kg 79% |
最低 | 3.50kg 55% | 2.75kg 43% |
ハングマンズノットもラインによる強度の差が出やすいノットですが、フロロリミテッドであれば平均75%と安定した結束強度が出ています。
ユニノットでの結束強度
ユニ | フロロリミテッド | FCスナイパー |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.95kg 78% | 4.95kg 78% |
最大 | 5.50kg 87% | 5.25kg 83% |
最低 | 4.25kg 67% | 3.80kg 60% |
最後にユニノットの結果です。ユニノットは比較的、ラインによる結束強度の差が出にくいノットですが、それでもフロロリミテッドはFCスナイパー以上の結束強度となっています。
パロマーノットでの結束強度
パロマー | フロロリミテッド | FCスナイパー |
表記強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.95kg 78% | 5.17kg 81% |
最大 | 5.25kg 83% | 5.75kg 91% |
最低 | 4.75kg 75% | 4.75kg 75% |
パロマーノットはどんなラインでも7割程度の強度が出やすくラインによる差が出にくいノットですが、フロロリミテッドでも同様の結果となっています。
耐久性
耐久性は柔らかいラインとしては高い部類に入ります。週2釣行で1ヶ月使用しても傷は少ない傾向にあります。ただ元々の色が透明でなく若干黄色掛かった色のため変色は進んでいきます。ただ交換を渋ってしまうとラインブレイクに直結しますので交換頻度を下げないよう心がけましょう。
なおコーティングの強いフロロリミテッドハードBASSなら1ヶ月の使用でも、ほとんど傷がなく白化も少なめです。
逆に傷の入りやすいフロロハンタータクトだと1ヶ月の使用でかなり白化が進みます。
PEの20mリーダーならコスト1/5に
こんな高級ラインでもコストを抑えて使えるのがPEのリーダーでの使用です。バス向けではPEスピニングでは普及しつつありますがベイトでは殆ど見かけません。原因はライントラブルですが、これはリーダー20mとすることで、ほぼ解消できます。このセッティングでは使用感はほぼフロロであり、かつコストを1/5に抑えられます。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
耐摩耗性
14lbを105g(12号重り+15号重り)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを左右に行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。10回行った測定の平均、最大、最小の強度を示します。
フロロリミテッド | フロロリミテッド ハードBASS | |
平均 | 19回 | 20回 |
最大 | 22回 | 24回 |
最低 | 17回 | 18回 |
フロロマイスター | FCスナイパー | |
平均 | 15回 | 16回 |
最大 | 19回 | 18回 |
最低 | 11回 | 14回 |
フロロリミテッドは耐摩耗性も極めて高くフロロマイスターやFCスナイパーを遥かに上回ります。より耐摩耗性の高いフロロリミテッドハードBASSには劣りますが、その差は僅かです。
伸び難さと感度
14ポンド×2mのラインを2kgの力で引っ張り、その際に伸びた距離から伸び率を測定しています。
フロロリミテッド | モンスターブレイブZ | |
伸び | 23cm | 20cm |
伸び率 | 12% | 10% |
線径 | 0.310mm | 0.310mm |
伸び率の%表記だけでは差が分かりにくいので、あえて実測値も掲載していますがフロロリミテッドは伸びやすいラインです。FCスナイパーは線径が太いため同じ太さのモンスターブレイブZと比較すると、伸びの大きさが分かります。感度は決して悪くありませんが伸び易さが悪影響し平均点と言ったところです。
GTR ULTRA | FCスナイパー | |
伸び | 25cm | 18cm |
伸び率 | 13% | 9% |
線径 | 0.310mm | 0.330mm |
参考までに伸びが大きなナイロンのGTR ULTRAでは伸び率が13%です。14ポンドのFCスナイパーでは線径が0.330と太いものの伸びは9%に留まっています。
柔らかさ
フロロリミテッドは硬いとは真逆の柔らかく扱いやすいラインです。そのためスピニングでのライトリグや16ポンド以上のベイトでのカバー打ちでもライントラブルが発生しにくい傾向にあります。
因みに硬いモンスターブレイブZでは糸クセが付きやすく扱いにくい傾向にあります。使用前に糸を伸ばして癖を取るのが必須です。
コスト
実売価格で千円の中盤から後半の価格が多く、コストに関してはフロロの中では高く高級ラインに属します。誰もが良いと分かっているラインなのですが、日々の釣行に掛かるコストを考えると手を出しにくいラインと思います。
他のラインとの比較
FCスナイパーとの比較
細さ | フロロリミテッド |
強度 | フロロリミテッド |
耐久性 | 同等 |
耐摩耗性 | フロロリミテッド |
伸び難さ(感度) | FCスナイパー |
柔らかさ | 同等 |
コスト | FCスナイパー |
フロロリミテッドは結束強度が非常に高く、糸自体が細いためライトリグでの沈下速度や飛距離の面で優位です。少々伸びやすく高価な事が難点です。
その一方でFCスナイパーは若干太いものの伸びにくく、扱いやすいラインとなっています。そのため感度と操作性が両立できます。FCスナイパーの詳細は別記事で紹介しております。
フロロリミテッドハード BASSとの比較
細さ | 同等 |
強度 | フロロリミテッド |
耐久性 | リミテッドハードBASS |
耐摩耗性 | リミテッドハードBASS |
伸び難さ(感度) | 同等 |
柔らかさ | フロロリミテッド |
コスト | 同等 |
フロロリミテッドは結束強度が安定し、加えて衝撃にも強く糸クセも付き難い糸です。障害物の少ない状況や糸を太くしたい状況であればフロロリミテッドがお勧めです。
フロロリミテッドハードBASSは硬さが特徴であり、フロロリミテッドより結束強度、扱いやすさは劣るものの耐摩耗性が高く傷が抑えられます。そのため糸の太さを上げずに障害物周りを攻めたい際には有効なラインとなります。フロロリミテッドハードBASSの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
フロロリミテッドは
・フロロラインの中でも最高クラスの強度と耐久性
・特に品質が安定しており強度のバラつきが少ない
・若干伸びやすく感度は控えめ
となっており、巻物やスピニングでのライトリグ、20ポンド以上の使用に適したラインです。近年、普及してきたスピニングPEでもフロロリミテッドの伸び易さがリーダーとして適しています。「細さ、しなやかさ、強度」を兼ね備えた唯一無二のラインですが、価格は決して安くは有りません。そのため伸びの少ないPEのリーダーとしての利用が用途的にもコスト的にも最適と考えております。