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PEの中でも硬めであり、高い操作性を誇るのがキャストアウェイです。特に糸の直進性が高く折れ曲がりにくいためベイトPE特有のカックンとスプールが止まるバックラッシュが発生しにくいのが特徴です。糸が真っ直ぐ伸び、空中に舞いにくいためロッド先端にも絡みにくく、糸によるルアー操作にも優れています。2号以上で200m巻きのラインナップも多く重たいルアーを使った際の高切れも防げるため、シーバスなど様々な魚種でのベイトPEに対応可能でです。
ただ正直に言うとキャストアウェイについてはベイトPE以外の使い道が見つかりません。スピニング向けの1号以下ではPE EGIやアーマードなど更に固いPEが存在しており、操作性の面で一歩劣ります。逆に1.5号以上の太糸だとスピニングではバックラッシュしやすくお勧めできません。ハイブリッドのためか糸自体の強度も低く、8本撚りとは思えないほど滑りも悪いため糸鳴りも大きめです。また糸自体も嵩高くスプールに巻ける量も一般的なPEより減ってしまいます。
今回は一般的なPEより強度面では劣るものの硬めで直進性が高くベイトPEとの相性が非常に高いキャストアウェイを紹介します。
個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★☆☆☆ |
耐摩耗性 | ★★☆☆☆ |
耐久性 | ★★★★☆ |
滑り性 | ★★☆☆☆ |
硬さ | ★★★★★ |
コスト | ★☆☆☆☆ |
目次
キャストアウェイの特徴
太さ
キャストアウェイは号数でなく強度表示となっていますが、メーカーWEBサイトには参考号数が表示されています。
10lbの0.8号をSV BOOST PEスプールに75m巻いた時の写真です。
左がキャストアウェイ、右がアップグレードX8です。糸巻後のスプールの笠はキャストアウェイが大きくなっており、約0.9号相当の嵩となっています。キャストアウェイはメーカーWEBサイトでも言われている通り笠高くスプールにあまり糸が巻けません。
参考までに1号と0.8号のオードラゴンを75m巻いた写真も掲載します。キャストアウェイはちょうど1号と0.8号の中間ぐらいの嵩となっています。
強度
0.8号をFGノットでの結束強度を5回測定した結果です。比較対象はアップグレードX8です。
キャストアウェイ | アップグレードX8 | |
表記 強度 | 6.35kg 10lb | 7.26kg 16lb |
平均 | 2.98kg 66% | 4.80kg 66% |
最大 | 3.50kg 77% | 5.25kg 72% |
最低 | 2.80kg 62% | 4.50kg 62% |
キャストアウェイは8本撚りPEですが異素材のポリエステルを組み込んでいるためか強度は低く表記強度の時点でアップグレードX8には劣り、平均や最大強度でも勝てません。
参考までに4本撚りのアップグレードX4と高比重PEで4本撚りのオードラゴンの結果を載せます。
アップグレードX4 | オードラゴン | |
表記 強度 | 6.35kg 14lb | 5.90kg 13lb |
平均 | 3.65kg 57% | 3.11kg 53% |
最大 | 4.00kg 63% | 3.50kg 59% |
最低 | 3.25kg 51% | 2.50kg 42% |
キャストアウェイの結束強度は普通の4本撚りPEであるアップグレードX4よりも弱く、高比重PE程度しかありません。最低強度では僅かにオードラゴンを上回っていますが、正直、僅差です。
耐摩耗性
10号重り(35g)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。計測は5回行い平均、最大、最小の強度を示します。
キャスト アウェイ | アップグレード X8 | |
平均 | 4回 | 3回 |
最大 | 4回 | 4回 |
最低 | 4回 | 2回 |
オードラゴン | アップグレード X4 | |
平均 | 2回 | 4回 |
最大 | 2回 | 5回 |
最低 | 2回 | 3回 |
キャストアウェイの結束強度は低く高比重PE並みしかありませんでしたが、逆に耐摩耗性は高く高比重PEのオードラゴンやアップグレードX8を上回ります。ただ8本撚りPEに比べ耐摩耗性が高い4本撚りPEのアップグレードX4には劣ります。
耐久性(色落ち、毛羽立ち)
耐久性は悪くなく週2釣行の1ヶ月使用でも色抜けは少な目です。
比較対象としてアップグレードX8の写真を載せますが、耐久性の高いアップグレードX8でも同様に1ヶ月の使用では僅かに色も抜け始めています。
なお耐久性の低いシーガーPE X8では安価ではあるものの、週2回の釣行でも僅か半月(4釣行)で色が抜けてしまいます。
滑り性、糸鳴りの少なさ
糸鳴りは8本撚りPEとしては非常に大きく、顕微鏡による60倍写真でも8本撚りのアップグレードX8の写真と比べてもキャストアウェイは表面凹凸が大きめです。
下:アップグレードX8
並べて比較すると、キャストアウェイの方が一回り大きく、凹凸も大きい事が分かります。
なお通常の4本撚りPEでは表面の凹凸が更に大きく糸鳴りもより大きくなります。そのためキャストアウェイの滑りは通常の4本撚りと8本撚りの中間程度となっています。
FGノットでの編み数
0.8号でFGノットを組んだ時の編み込み回数です。
キャストアウェイ | アップグレードX8 | アップグレードX4 | |
0.8号 | 19回 | 25回 | 19回 |
キャストアウェイは8本撚りPEですがFGノットでの編み込みは一般的な4本撚りPEと合わせる必要があります。というか8本撚りのように25回も編み込むとノットの先端まで編み込めず、その前に糸が強度不足で破断します。8本撚りPEではありますが表面凹凸が大きいのか摩擦が大きいのが原因と思われます。
キャストアウェイ | オルトロスPE | オードラゴン | |
2号 | 13回 | 17回 | 13回 |
参考までにキャストアウェイの40lb(2号)でのFGノット編み込み回数を載せます。やはり表面の凹凸が大きい分、8本撚りPEのオルトロスPEほど編み込むとFGノットの先端まで締め込みができません。4本撚りのオードラゴンと同様の締め込み回数に留めた方がスッポ抜けを防げます。
伸びと感度
0.8号のPE:7mを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。
キャストアウェイ | アップグレードX8 | |
伸び | 25cm | 8cm |
伸び率 | 3.6% | 1.1% |
PEは全体的に伸びが少ないため7mの糸を伸ばして比較しています。ただキャストアウェイの伸びはPEの中では伸びが極めて大きく25cmも伸びます。アップグレードX8でも8cmといった結果のように、普通のPEなら大抵は10cm前後です。
アップグレードX4 | オードラゴン | |
伸び | 7cm | 12cm |
伸び率 | 1.0% | 1.7% |
比較対象としてPE EGI ULT HS4と同じ4本撚りのアップグレードX4では伸びが少なく7cmとなっています。なお高比重PEのオードラゴンでは12cmと伸びが大きくなります。
硬さとトラブル耐性
下:アップグレードX8
ライン8cmを水平に浮かせた際の折れ曲がりの写真です。比較対象としてアップグレードX8を載せていますが、両者の硬さの差は多少といった程度です。僅かにキャストアウェイの方が硬いですが、いずれも水平は維持しておらずアップグレードX8と同様に下に折れ曲がっています。PE EGIやアーマードほどの硬さは有りません。
ただキャストアウェイの特徴は糸クセの極端な少なさであり、ロッドの先端から真っすぐに糸が水面に向かいます。より柔らかいアップグレードX8でさえ空中の糸はコイルを巻きますが、キャストアウェイは全くコイルが見られません。
もっと硬いアーマードF PROやアップグレードX4では、更にコイルが目立ちます。
ただ硬すぎないためシャークベイトやポッパーなどラインスラックを多用する釣りでもスプールで糸浮きが出にくいのも特徴です。敢えて爆風条件でもジャークベイトを試しましたが、何ともありませんでした。なおアーマードなど硬すぎるPEでは特にシマノの密巻き機で糸浮きが発生しやすくなります。
ベイトPE適正が極めて高い
この硬めで折れ曲がりにくい特性はベイトPEに非常に適しています。一般的なPEに比べカックンとなるバックラッシュが少なくトラブルが発生しにくい傾向にあります。また2号以上の太さまでラインナップがあるため、リーダーが16~20lb以上のシーバスなどバス以外の用途まで対応できます。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
高比重PEではないため沈める釣りには不向き
高比重PEのオールマイトやオードラゴンもキャストアウェイのように糸のコイルが少なく真っ直ぐ水面に向かう傾向があります。自重も重く風でも糸がバタつき難いため、ルアーを沈めるワーム系の釣りには高比重PEの方が適しています。
コスト
価格は通常のPEに比べ明らかに高くコストパフォーマンスは高いとは言えません。ただ現状では200m巻きで2号以上がラインナップされている唯一のベイト向けPEと思います。
アップグレードX8との比較
細さ | アップグレードX8 |
強度 | アップグレードX8 |
耐久性 | 同等 |
滑り性 | アップグレードX8 |
硬さと操作性 | キャストアウェイ |
コスト | アップグレードX8 |
キャストアウェイは糸の直進性による操作性が高く、糸絡みが少ないPEですが若干太く表面凹凸も大きい上に強度もひくめです。そのためベイトPE以外のスピニング向けでは個人的には全くお勧めできません。
これに対しアップグレードX8は柔らかめでベイトPEには適していませんが、スピニング向けでは万能に使用できます。アップグレードX8の詳細は別記事で紹介しております。
オルトロスPEとの比較
細さ | オルトロスPE |
強度 | オルトロスPE |
耐久性 | 同等 |
滑り性 | オルトロスPE |
硬さとトラブル耐性 | 同等 |
コスト | 同等 |
実はキャストアウェイは私のベイトPEのメインだったのですが、オルトロスPEが出てきたことで世代交代となりました。特徴としては非常に近いPEなのですが、オルトロスPEは強度が通常の8本撚りPE相当と高い結束強度が出ます。また表面が滑らかで滑りが良くガイドの糸鳴りも少なく抑えられます。また2号以上のラインナップもあるため、私の中ではキャストアウェイの上位互換となっているのがオルトロスPEです。オルトロスPEの詳細は別記事で紹介しております。
ただ唯一のオルトロスPEの難点が100mしか糸巻量がない事です。ソルトなど糸巻量が欲しい方にはキャストアウェイをお勧めします。
まとめ
今回紹介のキャストアウェイは
・ベイトPEに適しており、2号前後のラインナップがあるため重いルアーでも高切れしにくい
・糸の直進性が高く絡みにくい上に操作性が高い上に耐久性も高い
・スピニング向けではPE EGIなど更に硬いPEがあり使用メリットが見当たらない
となっており、スピニング向けでは他に良いPEがあるため敢えて使う理由が見出せません。ただベイトPEとの相性は抜群で、200m巻きで2号以上がラインナップされていることからもシーバスなど様々な分野で使用可能です。