【アバニ エギング マックスパワーPE X9 インプレ】硬く糸鳴りが少なく結束強度も高いPE

マックスパワーPE X9はPEの中でも硬めで操作性が非常に高いのですが、この手の硬めのPEに見られる弱点が非常に少ないのが特徴です。一般に硬いPEは結束強度や弱かったり樹脂コートにて糸鳴りが激しい傾向があります。ただマックスパワーPE X9は結束強度は通常の8本撚りPEには若干劣るものの明らかに4本撚りPEに勝る結束強度を持っています。

表面も非常に滑らかな上に耐摩耗性がPEの中でも最高クラスに高いのも利点です。伸びも非常に少なく抑えられています。にも拘わらずハリ感のある糸となっているためエアノットやガイド絡みの発生が抑えられ、操作性が極めて高いPEとなっています。

今回は糸の硬さによる操作性やトラブルレス性が極めて高いにも関わらず、結束強度も高く糸鳴りも少ないマックスパワーPE X9を紹介します。

マックスパワーPE X9の特徴

太さ

SV BOOST PEに0.8号を75m巻いた時の写真です。マックスパワーPE X9の太さは規格通りでアップグレードX8とスプールの笠は変わりません。なお太い糸の場合、オードラゴンX4の0.8号と1.0号の比較のようにスプールの溝が無くなります。

強度

0.8号をFGノットでの結束強度を測定した結果です。計測は10回行い平均、最大、最小の強度を示します。比較対象はアップグレードX8です。

マックスパワーPE X9の結束強度は0.8号の場合、平均でも4kg台には届かず一般的な8本撚りPEには明らかに劣ります。

ただ硬めのPEの中では極めて高い結束強度ではあり、4本撚りではありますが硬く扱いやすさが高いPE EGI ULTとの比較では強度は圧倒的に上です。参考までに樹脂コートされた8本撚りPEのアーマードなら8本撚り相当の結束強度が出ます。

耐摩耗性

10号重り(35g)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。計測は5回行い平均、最大、最小の強度を示します。

耐摩耗性については特にアピールされていなかったため個人的には最も驚いた点ですが、マックスパワーPE X9は圧倒的な耐摩耗性を持っています。通常の8本撚りPEであるアップグレードX8や4本撚りのPE EGIの倍近くの耐摩耗性がみられ、樹脂コートされたアーマードF+proに迫るほどです。

耐久性（色落ち、毛羽立ち）

 耐久性は悪くなく週2釣行の4週間使用でも新品の艶感は無くなったものの色抜けは少な目です。

比較対象としてアップグレードX8の写真を載せますが、耐久性の高いアップグレードX8でも同様に1ヶ月の使用では僅かに色も抜け始めています。

なお耐久性の低いシーガーPE X8では安価ではあるものの、週2回の釣行でも僅か半月(4釣行)で色が抜けてしまいます。

滑り性、糸鳴りの少なさと飛距離

顕微鏡による60倍写真での比較です。マックスパワーPE X9はコアに1本+8本の9本撚りPEですが表面の凹凸は少なくアップグレードX8と同等です。

なおPE EGIは4本撚りではあるものの表面凹凸は少なくアップグレードX4のような表面凹凸は有りません。ただあくまでも4本撚りのため表面の摩擦は高くFGノットでは編み数を4本撚り相当まで減らす必要があります。

FGノットでの編み数

0.8号で堀田式FGノットを組んだ時の私の編み込み回数を記載しています。編み込み回数は上下に1回づつ編んだ際の編み数を2回と計上しています。そのため通常のFGなら編み込み数は半分になります。

FGノットに関しては標準的な8本撚りの編み込み回数で対応出来ます。PE EGIの4本撚りPEように編み込み回数を減らすと摩擦が足りずノットが抜けるため要注意です。

伸びと感度

0.8号のPE：7mを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。

マックスパワーPE X9の伸びは極めて低く、これまで当方が測定したPEの中でも最高クラスです。なおPE EGIやアーマードF+proは通常のPEより伸びやすい傾向にあります。

硬さ

マックスパワーPE X9の硬さは非常に高く、9cmを水平に浮かせた状態でもアップグレードX8が下に着いているのに対しマックスパワーPE X9は水平を維持しています。

ただPE EGIとの比較では同等で樹脂コートされたアーマードF+proには劣る結果でした。水平に11cm浮かせる条件ではマックスパワーPE X9もPE EGIも下に着いており、かろうじてアーマードF+proが空中でこらえています。

実際の操作性

実釣でも検証しましたがマックスパワーPE X9は直進性が高くコイルが少ないのが特徴です。あまり硬くないアップグレードX8でさえコイルが目立つのに対しマックスパワーPE X9は高比重PEのように直線的に水面へ糸が入ります。かつ硬めのためエアノットやガイド絡みが少ないため非常に扱いやすいPEと感じます。

なお硬めのPEであるPE EGI ULT HS4やアーマードF PROでは扱いやすいもののコイルは非常に目立ちます。

コスト

価格については正直に言って安いとは言えません。ただPE EGIと同等の価格帯となっており、PE EGIと硬さは同等ですが伸びも低く結束強度も耐摩耗性も上のため、乗り換える価値はあると思います。

PE EGI ULT HS4との比較

硬くラインによるルアーの操作性が高いPEとしてはPE EGI ULT HS4が有名ですが、個人的にはマックスパワーPE X9はPE EGI ULT HS4の上位互換と感じます。マックスパワーPE X9は8本撚りPEがベースとなっているためか結束強度も高い上に、8本撚りPEの弱点であった柔らかさが芯糸による9本撚りで大幅に解消されています。

ただ硬さやエアノットの発生頻度など扱いやすさに関しては僅かにPE EGI ULT HS4が上とは感じます。PE EGI ULT HS4の詳細は別記事で紹介しております。

まとめ

今回紹介のマックスパワーPEは

・硬さと操作性が非常に高く扱いやすいPE

・極めて伸びにくく、糸鳴りも少ない上に耐摩耗性も非常に高い

・結束強度は低くはないが一般の8本撚りには僅かに劣る

と結束強度が僅かにアップグレードX8に比べ低いものの、従来の硬めのPEの中でも操作性と糸鳴りの少なさ、結束強度のバランスが極めて高いPEだと感じます。従来の硬めのPEに結束強度や糸鳴りでの不満がある方には間違いなくお勧めできるPEです。