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近年、青木プロも契約し知名度が上がってきたザルツ。その中でもコスパに優れるのがTHE BLACK FCです。簡単に言うとフロロハンタータクトのコーティング強化版で柔らかく扱い易いのが特徴です。コーティングが強化された分、耐摩耗性もフロロハンタータクトより高く感じます。
ただコーティングが強化され硬くなった影響か結束強度に関してはフロロハンタータクトに劣ります。フロロマイスターに近い結束強度しか出ないため強度に難が有る感は否めません。
今回は結束強度には不安が有るものの安価で耐摩耗性の高いTHE BLACK FCを紹介します。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★☆ |
強度 | ★★☆☆☆ |
耐久性 | 検証中 |
耐摩耗性 | ★★★☆☆ |
伸び難さ(感度) | ★☆☆☆☆ |
柔らかさ | ★★★★☆ |
コスト | ★★★★☆ |
THE BALCK FCの特徴
細さ
BLACK FC | フロロリミテッド | |
4lb | 0.177 | 0.165 |
5lb | 0.193 | 0.185 |
6lb | 0.211 | 0.205 |
8lb | 0.243 | 0.235 |
10lb | 0.270 | 0.260 |
12lb | 0.292 | 0.285 |
14lb | 0.316 | 0.310 |
16lb | 0.341 | 0.330 |
20lb | 0.380 | 0.370 |
THE BLACKは号数通りの太さのフロロリミテッドに比べ少しずつ太くなっています。ただ太くなった割合は僅かのため、おそらくコーティングの影響と思われます。太い事はマイナスですが、個人的には太さを正確にユーザーに伝える姿勢は素晴らしいと感じます。
強度
14lbを各ノットで各5回結束強度を測定しました。比較対象はフロロリミテッドです。なお結束は条件を一定にするため一切糸を湿らせず行っており、パロマーノットのみ結束時に余り糸を捨て糸側に引いて試験しています。他のノットで余り糸を捨て糸側に引っ張らないのは、パロマーノット以外では余り糸は本線側にしか引っ張れないのが理由です。
完全結びでの結束強度
完全 結び | BLACK FC | フロロハンタータクト |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 2.98kg 47% | 3.12kg 49% |
最大 | 3.50kg 55% | 3.70kg 58% |
最低 | 2.50kg 39% | 2.80kg 44% |
完全結びは糸による結束の差が出やすいノットですが、残念ながらTHE BLACK FCの結束強度は平均でも5割に届かずフロロハンタータクトにも劣る結果でした。滑りの良い糸だと完全結びはノットが抜ける事が多いのですが、THE BLACK FCはノットの抜けは見られず単純に結束強度が弱い印象です。
ハングマンズノットでの結束強度
ハング マンズ | BLACK FC | フロロハンタータクト |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 3.46kg 54% | 4.04kg 64% |
最大 | 4.20kg 66% | 4.60kg 72% |
最低 | 2.30kg 36% | 3.60kg 57% |
強度はあまり高くないものの結束が速いハングマンズノットでも同様にフロロハンタータクトに劣る結果でした。特に最低値は低くハングマンズノットをTHE BLACK FCで使うのは怖く感じます。
ユニノットでの結束強度
ユニ | BLACK FC | フロロハンタータクト |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.76kg 59% | 4.19kg 66% |
最大 | 4.25kg 67% | 4.80kg 76% |
最低 | 3.50kg 55% | 3.10kg 49% |
少々結束に時間が掛かるものの結束強度が安定しやすいユニノットでも測定しました。ただユニノットでも平均値が6割に届かず59%に留まっています。
パロマーノットでの結束強度
パロマー | BLACK FC | フロロハンタータクト |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.32kg 68% | 4.51kg 71% |
最大 | 4.60kg 72% | 4.80kg 76% |
最低 | 4.00kg 63% | 3.80kg 60% |
パロマーノットは安定して7割程度の強度が出やすいノットですが、残念ながらTHE BLACK FCでは6割台後半に留まっています。パロマーノットでは使えなくもない強度ですが、他のラインに比べ強度不足感は否めません。
耐久性
耐久性は検証中のため少々お時間願います。
耐摩耗性
14lbを105g(12号重り+15号重り)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを左右に行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。10回行った測定の平均、最大、最小の強度を示します。
THE BLACK | フロロリミテッド | |
平均 | 17回 | 19回 |
最大 | 21回 | 22回 |
最低 | 13回 | 17回 |
フロロハンタータクト | フロロマイスター | |
平均 | 15回 | 15回 |
最大 | 18回 | 19回 |
最低 | 11回 | 11回 |
結束強度では残念な結果となったTHE BLACK FCですが耐摩耗性は非常に高くフロロリミテッドに迫る結果となりました。糸の性質が近いフロロハンタータクトと比べても明らかに数値は高く、安価帯のラインでは断トツの耐摩耗性になっています。
伸び難さと感度
14lb×2mを引っ張った際の伸びを記載しています。伸び率だけだは分かりにくいので、あえて実測値も掲載しています。比較対象はフロロリミテッドの14ポンドです。
THE BLACK | フロロリミテッド | |
線径 | 0.316mm | 0.310mm |
2kg | 28cm(14.0%) | 23cm(12.0%) |
1kg | 16cm(8.0%) | 13cm(6.5%) |
0.5kg | 6cm(3.0%) | 5cm(2.5%) |
0.2kg | 2cm(1.0%) | 1cm(0.5%) |
THE BLACK FCは伸びやすいフロロになっており負荷が弱い状態から高負荷の時までフロロリミテッドより伸び幅が広くなっています。
フロロハンタータクト | シューター | |
線径 | 0.310mm | 0.310mm |
2kg | 29cm(14.5%) | 17cm(8.5%) |
1kg | 16cm(8.0%) | 10cm(5.0%) |
0.5kg | 6cm(3.0%) | 4cm(2.0%) |
0.2kg | 2cm(1.0%) | 1cm(0.5%) |
この伸び方はフロロハンタータクトと同じ傾向になっています。なお伸びの少ないシューターでは負荷が弱くても高負荷でも伸びが抑えられます。
柔らかさ
THE BLACK FCの硬さはフロロリミテッドと同じくらいです。もう少し柔らかいかと思っていましたが、コーティングの影響かフロロハンタータクトには柔らかさでは劣ります。
参考としてフロロリミテッドの糸クセも載せますが、糸自体の硬さも糸クセもTHE BLACK FCと同等と感じます。
最後に硬いフロロリミテッドハードBASSの写真を載せますが、糸クセも付きやすく扱いには技術が求められます。
コスト
恐らくTHE BLACK FCの最大の魅力がコストです。物価高の市況にて、この価格は驚異的と感じます。
PEの20mリーダーならコスト1/5
なおPEラインのリーダーとして使用すれはコストは更に抑えられます。バス向けではPEスピニングでは普及しつつありますがベイトでは殆ど見かけません。原因はライントラブルですが、これはリーダー20mとすることで、ほぼ解消できます。このセッティングでは使用感はほぼフロロであり、かつコストを1/5に抑えられます。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
他のラインとの比較
フロロハンタータクトとの比較
細さ | 同等 |
強度 | フロロハンタータクト |
耐久性 | 検証中 |
耐摩耗性 | THE BLACK FC |
伸び難さ(感度) | 同等 |
柔らかさ | フロロハンタータクト |
コスト | 同等 |
THE BLACK FCに最も違いフロロは恐らくフロロハンタータクトであり結束強度や伸び、柔らかさや価格もほぼ同等です。大きな違いはコーティングと思われTHE BLACK FCはコーティングの分太くなっており若干の硬いものの耐摩耗性が大幅に向上しています。
一方でフロロハンタータクトは耐摩耗性は低いものの柔らかさが魅力でTHE BLACK FCよりは僅かに結束強度も上です。フロロハンタータクトの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介のTHE BLACK FCは
・価格と扱いやすさが魅力のフロロ
・耐摩耗性は価格以上でフロロリミテッド相当
・結束強度低く伸びやすい点には要注意
となっておりフロロハンタータクトのコーティングを強化したような使用感です。価格も魅力的でありフロロハンタータクトの使用感が好きでカバー絡みで使用したい時にお勧めです。