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オードラゴンやピッドブルG5などラインメーカー各社が高比重PEラインナップを増やす中、サンラインからも高比重PEのオールマイトが販売されました。スペック的に目を引くのが1.48の高比重でオードラゴンの1.40、ビッドブルG5の1.30前後に比べても重く沈みやすさが向上しています。ただ実釣では沈みやすさについて顕著な差までは感じないものの、既存の高比重PEよりは明らかに硬く、よりフロロに近い感覚で扱えます。そのため糸の「たるみ」や硬さを利用してルアーを操作するバス釣りには非常に適しています。
強度に関しては高いとは言えませんが他の高比重PEと同等と決して悪くは有りません。また高比重PEの中では耐久性も高く、価格も高すぎないため目立った欠点が見当たりません。唯一の難点が号数が1.5号までしかなくベイトPEで使いやすい2.0号が無い事ですが、スピニングでの使用には問題ありません。
今回は従来の高比重PEより硬く、よりフロロに近い感覚で扱える高比重PEオールマイトを紹介します。個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★☆☆☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
耐摩耗性 | ★☆☆☆☆ |
滑り性 | ★☆☆☆☆ |
硬さ | ★★★★★ |
コスト | ★★★☆☆ |
目次
オールマイトの特徴
太さ
SV BOOST PEに0.8号を75m巻いた時の写真です。左がオールマイト、右がUPGRADEですがスプールの笠は変わりません。糸の太さに関しては号数通りとなっています。
参考までにオードラゴンの0.8号と1.0号をそれぞれ75m巻いた時の写真を載せます。1.0号まで太くするとスプールエッジがほぼ見えなくなります。
強度
0.8号をFGノットでの結束強度を測定した結果です。計測は10回行い平均、最大、最小の強度を示します。比較対象は代表的なPEである「よつあみ」のアップグレードX8です。
オールマイト | アップグレード X8 | |
表記 強度 | 6.35kg 13b | 7.26kg 16lb |
平均 | 3.40kg 54% | 4.80kg 66% |
最大 | 4.00kg 63% | 5.50kg 72% |
最低 | 2.50kg 39% | 5.00kg 62% |
強度については一般的なPEであるアップグレードX8に比べ10%ほど低くなっています。
ピッドブルG5 | オードラゴン | |
表記 強度 | 6.2kg 13.7lb | 5.9kg 13lb |
平均 | 3.32kg 53% | 3.11kg 53% |
最大 | 3.90kg 63% | 3.50kg 59% |
最低 | 2.50kg 40% | 2.50kg 42% |
ただし高比重PEとしては一般的な強度であり、ピッドブルG5やオードラゴンと大きな差はありません。
耐久性(色落ち、毛羽立ち)
耐久性に関しては悪くは無く、僅か週2釣行の4週間でも色抜けが少ないと感じます。
比較対象としてピッドブルG5の新品と4週間後の比較を乗せます。耐久性が低い糸の場合、あっという間に色抜けが発生します。
耐摩耗性
10号重り(35g)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。計測は5回行い平均、最大、最小の強度を示します。
オールマイト | アップグレード X8 | |
平均 | 2回 | 3回 |
最大 | 2回 | 4回 |
最低 | 2回 | 2回 |
オードラゴン | アップグレード X4 | |
平均 | 2回 | 4回 |
最大 | 2回 | 5回 |
最低 | 2回 | 3回 |
結果としてはオールマイトの耐摩耗性は悪く2回で糸切れています。アップグレードX8よりも低い結果です。なお4本撚りPEは8本撚りPEより耐摩耗性が高いと言われることが多く、実際にアップグレードX4の方がX8より高い結果が出ています。ですがオードラゴン含め高比重PEは通常のPEより弱い傾向が見られます。
滑り性、糸鳴りの少なさ
顕微鏡による60倍写真での比較です。オールマイトは4本撚りのため、滑り性に関してはPEの中でも悪い部類に入り、糸鳴りも大きめです。アップグレードX8との比較でも表面の凹凸感が全く違います。
ただ4本撚りの高比重PEであるピッドブルG5やオードラゴンとの比較では同等です。
FGノットでの編み数
0.8号でFGノットを組んだ時の編み込み回数です。
オールマイト | ピッドブルG5 | アップグレードX8 | |
0.8号 | 19回 | 19回 | 25回 |
ノットに関しては標準的な4本撚りの編み込み回数で対応出来ます。アップグレードX8の8本撚りPEように編み込み回数を増やすとノット先端まで結束出来ないため要注意です。
伸びと感度
0.8号のPE:7mを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。
オールマイト | アップグレードX8 | |
伸び | 10cm | 8cm |
伸び率 | 1.4% | 1.1% |
オードラゴン | アップグレードX4 | |
伸び | 12cm | 7cm |
伸び率 | 1.7% | 1.0% |
オールマイトの伸びに関してはPEの中でも大きめで、アップグレードX8より伸びが大きくなっています。オードラゴンのように同様の高比重PEよりは伸びが抑えられていますが、同じ4本撚りPEであるアップグレードX4よりは伸びが大きいです。
ただ、この伸びの差は数mの糸を伸ばし比べても差が分からず、7m同士での比較でようやく数センチの差が出るレベルです。そのため、私を含め一般レベルの釣り人では、実釣にて差を感じることは少ないと思います。
硬さ
下:アップグレードX8
ライン9cmを水平に浮かせた際の折れ曲がりの写真です。アップグレードX8との比較ではアップグレードX8が曲がって下に付いていますが、オールマイトは、ほぼ水平を維持しております。
下:ピッドブルG5
10cmを水平に浮かせた際のピッドブルG5との比較でもピッドブルG5より硬く水平を維持したままです。
一般的なPEではアップグレードX8のようにテンションが掛かっていない時には糸がたるみ感度が損なわれます。オールマイトは高比重素材が編み込まれているため空中でも糸がバタつかず水面まで弧を描くように入ります。ただ糸自体が硬いためかオールマイトはフロロのように若干の「らせん」を描きながら水面に入ります。
一般的な高比重であるピッドブルG5やオードラゴンでは糸自体も硬すぎないため、糸の重みにて「らせん」はあまり見られません。
コスト
価格についてはピッドブルG5ほどのお手頃感は有りませんが高いとは感じず高比重PEの中でも標準的です。75m×2回を使えると思えばフロロよりも安価と感じます。
他のPEとの比較
ピッドブルG5との比較
細さ | 同等 |
強度 | 同等 |
耐摩耗性 | 同等 |
耐久性 | オールマイト |
滑り性 | 同等 |
硬さ | オールマイト |
コスト | ピッドブルG5 |
はっきり言ってオールマイトはピッドブルG5の上位互換です。細さや強度は変わりませんが耐久性も高く、硬くフロロ感覚で操作しやすく、比重も高いため沈み易さも上です。高比重PEに慣れた方なら間違いなくオールマイトをお勧めします。 その反面ピッドブルG5は価格が抑えられておりライン交換費用が抑えられています。取り敢えずバスでPEを試してみたい方にも向いています。ピッドブルG5の詳細については別記事で紹介しております。
オードラゴンとの比較
細さ | 同等 |
強度 | 同等 |
耐摩耗性 | 同等 |
耐久性 | 同等 |
滑り性 | 同等 |
硬さ | オールマイト |
コスト | 同等 |
オードラゴンとの比較ではオールマイトとほぼ同等の性能となっておりますが硬さのみ違う印象です。より柔らかい糸が必要となればオードラゴンをお勧めします。オードラゴンの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介のオールマイトは
・高比重PEの中でも特に高比重で硬く、糸でルアーを操作しやすい
・耐久性も悪くなく結束強度も他の高比重PE同等
・ベイトPEには2.0号以上の太番手の追加が望まれる
となっており目立った欠点が見当たらない完成度の高い高比重PEです。個人的にはベイトPEにも使いたかっただけに2.0号以上のラインナップ追加を望んでいますが、スピニング用途に限定しても非常にお勧めしやすい高比重PEです。