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タトゥーラの34mm径スプール品が新ギア搭載にてリニューアルされました。この価格帯にしては巻き心地は非常によく剛性感も感じます。またMAG-Zブレーキは14g以上の重量級ルアーに最適で近距離から遠投まで幅広く対応できます。意外に軽量ルアーまで対応でき、10g前後は余裕で7gまでなら何とかキャスト可能です。
ただ、あくまで価格帯を考慮した話であり上位機種であるアルファスやジリオンと比較すると全ての要素で完敗します。特にブレーキシステムが旧型のMAG-Zのため遠投時にはブレーキが残る感覚が強く、逆にブレーキを弱めるとバックラッシュが多発します。MAG-Z BOOSTでは、こうはなりません。また剛性感も上位機種には明らかに劣り、巻き心地に加えキャスト時もスプールが暴れるため使い心地が良いとは言えません。
今回は上位機種には性能は及ばないものの、14g前後のルアーを扱うには困らない24タトゥーラTW 100を紹介します。個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(7g) | ★★☆☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★★☆ |
キャスト性能(14g) | ★★★★★ |
キャスト性能(21g以上) | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★☆☆☆ |
剛性感 | ★★★☆☆ |
巻物適正 | ★★★★☆ |
コストメリット | ★★★★★ |
目次
24タトゥーラTW 100の特性
外観はタトゥーラの特徴を踏襲しており黒いボディに蜘蛛のマークとなっています。
外観は21ジリオンSV TWに近いですが、ブレーキダイヤル部分など微妙に仕様が異なるためオリジナルと思われます。ボディ転用が大好なダイワには珍しい仕様です。
またタトゥーラに共通の蜘蛛マークはサイドカバーには無く、メカニカルブレーキのみに変更されています。賛否はあると思いますが、個人的には、この方が好みです。
スプール
スプール外観
スプールは34mm径×24mm幅と通常のスプール設定です。34mm径のSV BOOSTとの比較でも差が有りません。
またスプール幅も24mmと34mm径のSV BOOSTと24mm幅と同じです。
ただシャフトレス構造で無いためかスプールのベアリングもありません。
またブレーキ構造もBOOSTでなく通常のMAG-Zのためブレーキ力調整のスプール中心の金属スペーサーも1枚しかありません。MAG-Z BOOSTの22ジリオンTW HDは金属スペーサーが2段となっています。
スプール重量
スプール重量はシャフト付きの割には軽く14.1gの軽量スプールとなっています。同じ16lb×100m糸巻容量でもBOOST機構付きの22ジリオンTW HDより約1gほど軽量です。
糸巻後の重量でもFC16lb×90mで28.1gと軽くは無いものの重量級スプールとしては重すぎない重量です。なお高比重PE2号×100m+FC14lb×20mの設定では23.9gと4gもの軽量化が可能です。
キャストはフロロ専用設定
キャスト性能はMAG-Zブレーキらしく重量級のルアーに適しており、18gのバイブレーションも気持ちよく飛んでくれます。バックラッシュしやすいと言われるMAG-Zブレーキですが意外に多様なルアーに対応しており、空気抵抗の大きいスピナーベイトや軽量のミノー、クランク、またフラットサイドまで快適に投げられます。
キャスト可能な下限は7gですが、10g以上のルアーは一通り扱えます。ただ上位機種のMAG-Z BOOSTと比べると特に遠投後半でブレーキが残る感覚が強く、またスプールもキャスト時に若干暴れるため一歩劣る感じは否めません。
ベイトPEには向いてない機種
フロロでの使用感は十分合格と言えるレベルだったのですが、正直に言ってPEでの仕様は全くお勧めできません。バックラッシュが逆に増加し軽量ルアーも投げにくくなります。遠投でもキャスト後半のブレーキが抜けず、ずっとブレーキがかかった感覚で伸び感がありません。逆にブレーキを弱めるとキャスト直後のブレーキ力が不足しやすく糸が浮きが多発します。
これまで多くのベイトリールを触ってきましたがベイトPEでキャスト性能が低下するのは初です。PEと相性が悪い原因としてはスプールがフロロに最適化されていることが推測されます。
ベイトのスプールにPEを巻くとスプールが極端に軽量化されるため、キャスト直後のスプール立ち上がりは劇的に向上します。またキャスト後半では軽量化によってスプールが回転し続ける慣性が弱まりやすくなります。これがブレーキが一定に効きやすいMAG-Zブレーキには相性が悪く、キャスト直後ではブレーキ不足、またキャスト後半ではブレーキが効きすぎるのだと推測されます。
なお、ダイワの他の機種では、多くの場合、ベイトPEはスプールが劇的に軽量化され軽量ルアーのキャスト性能が向上しバックラッシュが減少します。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
価格帯以上の剛性感もアルファスやジリオンには劣る
HYPER DRIVEデザイン以降はギアが△でなく凸の形状に変わりました。この恩恵で旧世代ですがワンランク上の16ジリオンSV TWなどに比べても剛性感も巻き心地も上回っています。
ただ同様にHYPER DRIVEデザインが導入された21アルファスSV TWや22ジリオンTW HDには価格差も有って巻き心地は劣ります。
この巻き心地の差の一因としてスプールのベアリングが考えられます。
近年のシマノ製ベイトリールでもインフィニティドライブの機構にてスプールにベアリングが追加され巻き心地が更に進化しました。
ただ24タトゥーラTW 100はコスト対策のためかスプールを支えるベアリングが有りません。シマノで言うインフィニティドライブ非搭載の機種になりますので、巻き心地はその分劣ります。
ベアリングが無い影響かキャスト中にも、特に高回転時にスプールが暴れやすくキャスト感も良く有りません。
ドラグ音は無し
低価格帯のため仕方ありませんがドラグ音は搭載されていません。上位機種である22ジリオンTW HDには搭載されているため、あれば有難い機構には間違いありません。14~16lbでバスを相手にする限りではドラグ音は重視されませんが、より引きの強い他魚種には転用しにくい設定です。
M~MHクラスに適した重量
24タトゥーラTW 100は16lb×100mの太糸向けリールだけあって重量も重めです。そのためML以下のロッドには合わず最低でもMクラス、通常ならMH以上のロッドに適しています。
ただ、この重量は巻きモノので安定感にも貢献し、手元に重心が集まるため巻きがブレません。MH以上のロッドでもバランスが取りやすくなります。
ボディは大きめで重量級ロッド向け
ボディも大きめですが、21ジリオンSV TWとほぼ同じ大きさです。そのため繊細な操作には向いていませんが、しっかしとしたパーミングが可能です。少々重ための重量も合わさって巻きでの安定感は良好です。
パワーファイトに適したグリップ
グリップは通常のダイワリールに搭載されるグリップより一回り大きな形状です。そのため巻きモノでも滑り難くパワーファイトでも安心の、仕様用途に非常に適したグリップと言えます。
分解時にギアが取り出しやすい
左が24タトゥーラTW 100、右が23スティーズAⅡ TWの比較です。昨年販売の23スティーズAⅡ TWでも旧型のシャフトであり、窪みに上からハンドルで押さえつける構造になっているためシャフトが変形します。そのため分解洗浄の際にシャフトの変形部分を削らねければギアが取り出せません。HYPERDRIVEデザイン搭載以降の新型リールでは対策されておりシャフトの変形がなくギアが取り出しやすくなりました。
コルトパフォーマンスは最高
タトゥーラの魅力が価格であり物価高騰が激しい昨今の事情を考えると驚異的な価格と言えます。
デメリット
ブレーキ目盛りが勝手に変わる
非常に残念な点ですがブレーキダイヤルがサイドカバーに露出しておりロッドを複数束ねた際などに勝手に目盛りが変わります。そのため移動後などにトラブルが発生しやすくキャスト前には確認する必要があります。
ドラグ音が無い
低価格帯のため仕方ない点ですがドラグ音がありません。そのためドラグを使ったファイトには対応しにくく、太糸でドラグを完全にロックし一気に抜き上げる釣りに適しています。
ハンドルおよびレベルワインドは樹脂カラーのためベアリングに交換推奨
改造となるためメーカー保証の対象外とはなりますが、ベアリング追加で巻き感が大きく向上します。交換箇所は計4か所です。ハンドルには片側ずつの2ヶ所が対象です。
またギアボックスまで分解する必要がありますが、ウォームシャフトの両端2ヶ所を交換する事で巻き心地が大きく改善します。
TWSがハードベイトの針に当たる
ダイワのTWS搭載機はライン放出口が上下に動くため、リールにフックを引っかけると針先が当たり傷やフックが鈍る原因になります。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで防止しています。
他のリールとの比較
22ジリオンTW HDとの比較
キャスト性能(5g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(7g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(10g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(14g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(21g以上) | 22ジリオンHD |
ライントラブル耐性 | 22ジリオンHD |
剛性感 | 22ジリオンHD |
巻物適正 | 24タトゥーラTW |
コストメリット | 24タトゥーラTW 100 |
あまり細かく書くと24タトゥーラTW100が可哀想になるため省略しますが、22ジリオンTW HDに比べると価格以外に勝てる部分は有りません。唯一、ハンドルが90mmでノーマルギアがあるため100mmハンドルでハイギアしかない22ジリオンTW HDよりは巻きモノには適しています。
一方、22ジリオンTW HDは特にMAG-Z BOOSTスプールの安定感とキャスト感が素晴らしく、キャストにおいて全ての要素で上回ります。100mmハンドルかつハイギアのみのラインナップのため巻物には向いていませんが、この点はハンドル交換やSLPのセミオーダーメイドでも対策できます。22ジリオンTW HDの詳細は別記事で紹介しております。
22タトゥーラTW 80との比較
キャスト性能(5g) | 22タトゥーラTW 80 |
キャスト性能(7g) | 22タトゥーラTW 80 |
キャスト性能(10g) | 22タトゥーラTW 80 |
キャスト性能(14g) | 同等 |
キャスト性能(21g以上) | 24タトゥーラTW 100 |
ライントラブル耐性 | 22タトゥーラTW 80 |
剛性感 | 同等 |
巻物適正 | 24タトゥーラTW 100 |
コストメリット | 24タトゥーラTW 100 |
同じタトゥーラでも22タトゥーラTW 80は太糸が巻ける上に32mm×21mmの小口径ナロースプールのため近距離キャストに非常に優れています。SVブレーキでないためピッチングでも弾道が浮きにくく、この用途であればカバー打ちなど日本のフィールドでも活躍します。22タトゥーラTW 80の詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介の22タトゥーラTW 100は
・16lb以上の太糸で14g以上のルアーを投げる釣りには最適
・キャスト性能も剛性感も価格帯以上だが上位機種には勝てない
・ベイトPEには全く適していない
となっており、とりあえず14g前後のルアーを中心に扱うには一通りの釣りが可能なリールです。ただ近距離での釣りには22タトゥーラTW 80の方が明らかに適しています。遠投でも価格帯は異なるものの、22ジリオンTW HDに使用感で完敗しており、個人的にはもう少し資金を溜めて上位グレードを買うことを強くお勧めします。