【23エアリティPC LT3000 インプレ】ヴァンキッシュ以上の剛性感とマグシールド感の少ない軽快な巻き心地

21ルビアスエアリティが僅か2年でリューアルされ23エアリティとして展開されました。22イグジストから導入された新型ローターが搭載されたため巻きの軽さが劇的に向上しています。この改良については22イグジストと全く同じですが23エアリティの最大の特徴はメインギア両端のベアリングがマグシールドで無い事です。そのため旧ラインナップのフィネスカスタムモデルのように巻きが軽快になっています。

もちろんモノコックボディによる剛性感は健在で、軽量リールにも関わらずステラやツインパワーのような巻き心地になっています。加えてドラグ性能も更に進化しておりシマノの22ステラや23ヴァンキッシュのドラグより性能は上と感じます。このように長所ばかりの23エアリティですがスプール系が同サイズの条件では23ヴァンキッシュに比べ重量の重さが目立ちます。加えて巻きの軽快さでも僅かに23ヴァンキッシュに劣ります。

今回はモノコックボディの剛性感は維持しながら新型ローター搭載とマグシールドの削減で大幅に巻きが軽快となった23エアリティについて紹介します。

23エアリティの個人的な評価は以下の通りです

23エアリティの特性

22イグジストはフラッグシップ機のためケースにも気合いが入ってましたが、23エアリティは普通のハイエンド機のケースとなっています。

重量の軽さ

23エアリティは22イグジストよりも更に軽量化されており48φスプールのPC LT3000モデルでも185gの重量です。23ヴァンキッシュの47φスプールとなる2500番〜3000番と比べると僅かに重いですが、十分に軽いリールと言えます。

因みに48φスプールの17スティーズtypeⅡは樹脂ボディですがハンドルを除いた重量は160g程度です。実は金属ボディとなった23エアリティのPC LT3000番とハンドルを除いた重量は同じとなっています。

持ち重り感の軽減にてバランス向上

メーカーWEBサイトでは同じ重量でも持ち重りが軽減と記載されており、確かに旧世代のスピニングと持ち比べれば差を感じます。17ズティーズtypeⅡとの比較でもボディの重心位置が後ろ側になっています。細かい差ではありますがリールのギアボックス部分に重みを感じるため持ち重りと言うよりキャスト時のブレが減る印象です。

ただ23エアリティが進化しているとは言ってもシマノのステラやヴァンキッシュに比べると重心位置は変わりません。元々ダイワのスピニングはスプールがボディに対し大きめであったため、ダイワだけの問題であったように思われます。

新型エアローターの軽快な巻き心地

23エアリティの最大の改良点がローターです。デザインも一新され見た目も高級感にあふれていますが、機能も素晴らしく軽量化もされています。これは巻くだけで体感でき、従来のLTコンセプトの巻き重りが劇的に改善されました。

マグシールド感が非常に少ない

もう一つの23エアリティの特徴がマグシールドベアリングの数が少なく巻き抵抗が少ない事です。22イグジストで搭載されていたメインギア両端のマグシールドが23エアリティでは通常のベアリングになりました。そのため巻きが軽快になり、特に低速で一定に巻き続けるI字系の様な釣りでは巻き抵抗の少なさを実感出来ます。マグシールドは耐久性ではプラスなのでしょうが巻き重りが酷く、個人的にはバスの用途ではマイナス面が大きいと感じます。

ベールを起こした際の音

従来のエアベールではベールの開閉で音がありませんでしたが、新型ローターにて音付きになり、ベール開閉が分かりやすくなりました。個人的な感想ですがベール返り防止にも効果がある気がしています。

ベールのナットが消えた

これもネジ穴が片面のみで見えにくくなることで見た目の高級感に繋がっています。おそらく水の侵入防止にも効果があると思われます。

ドラグ性能が更に向上

元々、ダイワのATDドラグは性能が高いのですが、今回、更に改良されATD TYPE-Lの性能を確認してみました。

ラインが1秒で30cm出る設定でドラグを800gに設定し、そこから低速 (10cm/s）と高速(90cm/s）でのドラグ値を10回以上計測し、おおよその平均値を記載しました。手作業のためブレが非常に大きい実験ではありますが、結果は以下の通りです。

新型ドラグの効果にて23エアリティのドラグは21ルビアスエアリティより向上しています。低速域でも高速域でもドラグがより滑らかに出るようになっておりラインブレイクを防げます。23ヴァンキッシュもモデルチェンジにてドラグ性能は上がっていますが21ルビアスエアリティと同等レベルに留まっており、23エアリティには及びません。

なお23エアリティはスプールを支えるシャフトが樹脂カラーになっておりベアリングに交換出来ます。スプール内は初めからベアリングのため交換の必要は有りません。念のためベアリングに交換した際のドラグ性能も確認しました。

ただ誤差の大きな私の試験方法ではベアリング追加によるドラグ性能の向上は見られませんでした。とは言えベアリング追加前でも22イグジストと数値的には同じドラグ性能です。参考までに私の過去実験データでもスプール両端が樹脂カラーの20ルビアスではベアリング追加により劇的にドラグ性能が上がります。高価なパーツでは無いため個人的には交換をお勧めします。

この重量では考えられない剛性感

剛性が高いだけなら他にも候補がありますが、軽量リールの中では間違いなくNo1の剛性感です。従来の樹脂ボディと同じ重量でありながら22イグジストと変わらない剛性感を維持しております。

ライントラブル対策

メーカーWEBサイトではライントラブル対策が謳われているにも関わらず、あまり技術的な特集がされていません。ここも大きく改善されています

6ポンド以上のフロロリーダー6mを多用する私は、度々スプールシャフトへの糸絡みに悩まされてきました。これまでの糸絡み防止は効果が弱かったのですが、シャフトへの糸絡み防止ベール部分が強化されシャフトまで糸が侵入しにくくなっています。ただし、この点についてはシマノの方が優秀です。

シマノのスピニングは全般的にシャフトへの糸絡み防止ベール部分が大きくスプールとの隙間が殆ど無いため糸絡みが滅多に発生しません。

実際に比べてみるとダイワの方がスプールとシャフトの隙間が大きいのが分かります。

ローター回転防止にもカバーが付いた

ダイワはベールを起こした際の回転防止を写真の突起で対応しており、ベールを起こした時だけ突起が出ることで回転防止の役割を果たしています。スピニングの釣りは全てPEの私ですが、爆風の際、一度だけローターの回転防止に糸が絡まったことがあります。困るのが、ここに糸が絡むと切る以外に選択肢が無い事。キャストした手元から切るハメになるのでライン巻替えに直結します。新型エアベールではこの部分が完全にローターで覆われているため、まずラインが絡まることは有りません

ツイストバスターⅢの効果は不明

ツイストバスターも改善されたと記載されていますが、個人的には効果は感じられませんでした。スピニングは、どうしても糸ヨレするのでこの点は諦めています

フラッグシップよりは控えめなコスト

価格としては決して安いとは言えないハイエンド製品の価格帯です。ただイグジストとほぼ同等のドラグ性能と剛性感で、イグジスト以上に軽快な巻き心地のため価格以上の価値が有ります。ベイトは汎用価格帯でも使える機種が多いですが、スピニングに関してはドラグ性能がハイエンドでは全く異なります。そのため多少無理をしてでもスピニングはハイエンド品の購入をお勧めします。

デメリット

マグシールド感は感じ無いが僅かな巻き重り

 23エアリティは巻き重りが大きく解消され、21ルビアスエアリティからは圧倒的進化しており、マグシールドが少ない分22イグジスト以上ではあります。ただ23ヴァンキッシュと比べると僅かに巻き重りは感じます。僅差ではありますが少しでも巻き重りを減らしたい方には23ヴァンキッシュの方がお勧めです。

スプールのカラーはベアリングに交換推奨

ハイエンドの製品にもかからわずイグジストとの差別化のためか、なぜかスプールの軸には樹脂カラーとなっています。それほど高いパーツでは無いためベアリングへの交換がお勧めです。ただし改造となるため保証の対象外とはなる点には要注意です。

ヘッジホッグやダイワ純正の交換キットの場合、六角レンチも付属でついてきますが、上記のベアリングは単体での販売となります。樹脂カラー交換の際には0.89mmの六角レンチが必要となるので、併せて準備してください。

あると便利なスタンド

スピニングリール全般に当てはまる件ですが、スプールに傷が入るとキャストの度にラインに傷がつくため致命傷となります。普段は直置きについて注意していても、良型が釣れた際にはタックルと合わせて写真を撮ることも多いでしょう。ただ、このタイミングが最も危険で魚が暴れ一瞬でリールが傷物になります。

多少の重量増にはなりますが、私はリールスタンドを使用しており、これでリールが直に地面に触れる可能性は無くなります。フックキーパーも付属しており、ニッパーで切って改造すればオフセットフックやシンカーも対応可能です。

 他のリールとの比較

23ヴァンキッシュとの比較

同価格帯の23ヴァンキッシュとの比較です。23エアリティは若干重量が重いですが剛性感が高くドラグ性能が上です。ライントラブルについても蜜巻きが無い分バックラッシュしにくく23エアリティが上です。ただどちらも僅差のため好きな方を選んでも問題ないレベルではあります。

それに対し23ヴァンキッシュは巻きが軽く重量も軽いのが特徴でライトリグが操作性が非常に高くなっています。蜜巻きの効果にてキャストフィールも良く巻物にも適しています。23ヴァンキッシュの詳細は別記事で紹介しております。

22イグジストとの比較

22イグジストをベースに少しでも重量や巻き感を軽くしたのが23エアリティとなります。そのため重量や巻きの軽さはフラッグシップの22イグジストより23エアリティより上です。ドラグ性能もスペック的には22イグジストが上ですがテストでは差を感じませんでした。加えてコスト面でも23エアリティが有利です。そのため個人的にはバスやライトゲームの用途では23エアリティの方が使いやすいと思います。

その一方で22イグジストは気密性や耐久性を高めたモデルとなっておりフラッグシップだけあって剛性感も上です。そのため22イグジストはソルトなどメンテナンスが大変で耐久性が求められる用途に適しています。22イグジストの詳細は別記事で紹介しております。

まとめ

23エアリティは

・新型ローターによる巻きの軽さ

・軽量でありながら圧倒的な剛性感と巻き心地

・巻きは僅かにヴァンキッシュより重い

となっており、巻く止めるを繰り返す釣りに最適なだけでなく剛性感も素晴らしいリールとなっています。