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性能が極めて高いフラッグシップPののオッズポートを元にコーティングにて更に性能を高めたのがシンジX9です。オッズポート自体が芯糸による9本撚り構造で張り感が強く操作しやすいのですがシンジX9はコーティングにより更に硬さが加わり、糸によるルアー操作性が向上しています。この硬さはベイトPEでの扱いやすさにも繋がっており糸絡みやカックンバックラッシュが大きく抑制されます。結束強度や耐摩耗性の高さもオッズポート譲りで全く問題有りません。
ただ最大の難点が価格です。通常のPEであるアップグレードX8の倍違い価格は高過ぎるため、簡単にはオススメ出来ないPEとなっています。またコーティングにより水キレが良くなったとはいえ比重は他のPEと変わらないためワーム系の釣りには高比重PEに劣ります。
今回はハードベイト系の釣りには最高傑作と言えるシンジX9を紹介します。個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★★★★ |
耐摩耗性 | ★★★★☆ |
耐久性 | ★★★★★ |
滑り性 | ★★★★★ |
硬さ | ★★★★★ |
コスト | ☆☆☆☆☆ |
目次
オッズポートの特徴
太さ
2.0号をSV BOOST シャロースプールに50m巻いた時の写真です。
左がシンジX9、右がオッズポートです。シンジX9もオッズポートと同様に嵩高く通常より糸巻き量が減ると言われていますが、2号×50mでは通常のPEと差が見られませんでした。
強度
2.0号をFGノットでの結束強度を3回測定した結果です。結束は堀田式FGノットで上下に1回づつ編み込んだのを2回とし、17回編み込んだ後に湿らせてから締め込みを行い強度を測定しています。
シンジX9 | オッズポート | |
表記 強度 | 18.5kg 40.7lb | 20.4kg 45.0lb |
平均 | 11.67kg 63% | 10.67kg 52% |
最大 | 12.50kg 68% | 11.50kg 56% |
最低 | 10.50kg 57% | 10.00kg 49% |
シンジX9の表記強度は同じ2号でもオッズピートより僅かに低い数値でしたが実際の結束強度はシンジX9が僅かに上でした。ただ大した差ではないため個人的には誤差の範囲と考えています。
オルトロスPE | オードラゴン | |
表記 強度 | 18.1kg 40.0lb | 12.7g 28.0lb |
平均 | 9.83kg 54% | 8.73kg 69% |
最大 | 10.50kg 58% | 9.20kg 72% |
最低 | 9.50kg 52% | 8.00kg 63% |
なお同じよつあみ製のPEでもオルトロスPEでは明らかにシンジX9やオッズポートには劣ります。ただオルトロスPEも悪くはありません。強度の低い高比重PEであるオードラゴンでは明らかに数値が劣ります。
耐摩耗性
10号重り(35g)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。計測は5回行い平均、最大、最小の強度を示します。
シンジX9 | オッズポート | |
平均 | 22回 | 21回 |
最大 | 28回 | 25回 |
最低 | 17回 | 18回 |
オルトロスPE | フロロリミテッド | |
平均 | 16回 | 41回 |
最大 | 18回 | 42回 |
最低 | 14回 | 39回 |
結果としてはシンジX9は僅かにオッズポートを上回る耐摩耗性となりました。恐らくコーティングの恩恵とは思わせますが、ただ大幅に耐摩耗性が上がった訳でなく誤差とも言えるレベルです。一般的なPEであるオルトロスPEとは明らかに差がありシンジX9もオッズポートも耐摩耗性か高いPEであることは間違い有りません。
ですがフロロリミテッドの2号には耐摩耗性は完敗します。耐摩耗性が強いと言ってもPEの中での話でありフロロには勝てません。
耐久性(色落ち、毛羽立ち)
耐久性に関しては検証後にアップします。
滑り性、糸鳴りの少なさ
シンジX9の表面は凹凸が少なくオッズポートや通常の8本撚りPEと差はありません。
ベイト適正のある硬いPEで、これだけ表面凹凸が少ないPEは少なく、ベイトPEに定評のあるキャストアウェイでも8本撚りですが凹凸は大き目です。また4本撚りPEであるオードラゴンも同様です。
FGノットでの編み数
0.8号で堀田式FGノットを組んだ時の私の編み込み回数を記載しています。編み込み回数は上下に1回づつ編んだ際の編み数を2回と計上しています。そのため通常のFGなら編み込み数は半分になります。
シンジX9 9本撚り | オルトロスPE 8本撚り | |
2.0号 | 17回 | 17回 |
オッズポート 9本撚り | オードラゴン 4本撚り | |
2.0号 | 17回 | 13回 |
シンジX9の編み込み回数はオッズポートや通常の8本撚りPEであるオルトロスPEと同様に17回は必要ですり。4本撚りのように回数を減らすとすっぽ抜けが発生するので要注意です。
伸びと感度
2.0号のPE:7mを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。PEは全体的に伸びが少ないため7mの糸を伸ばして比較しています。
オッズポート | オッズポート | |
伸び | 4cm | 5cm |
伸び率 | 0.6% | 0.7% |
結果としてはシンジX9はオッズポートより僅かに伸びが少ない数値が出ました。コーティングの影響でオッズポートより僅かに伸びが抑えられている可能性も有りますが、誤差の範囲と言えなくもありません。
オストロスPE | キャストアウェイ | |
伸び | 5cm | 15cm |
伸び率 | 0.7% | 2.1% |
参考までに普通の8本撚りPEであるオルトロスPEの結果も載せますが伸び率は変わりません。なおサンラインのキャストウェイだけは異素材を編み込んでいるためか他のPEの3倍は伸びます。
硬さとトラブル耐性
通常10cmで行っている比較試験ですが、硬めのPEのため今回はライン15cmを水平に浮かせた際の折れ曲がりを比較しました。
下手前:オッズポート
シンジX9はオッズポートに比べコーティングの影響で若干硬く15cmを水平に伸ばしても床に着いていません。ハードブルに違い硬さです。なおオッズポートも硬めのPEなのですが15cmの長さでは耐えられず床に倒れこんでいます。
またシンジX9はコーティングにて実釣時もオッズポートに比べ空中に舞い難く糸絡みも少なく感じます。個人的には高比重PEの方が好みですが、人によってはシンジX9でワームの釣りも出来るかも知れません。
ただオッズポートに比べコーティングの影響で若干糸のコイルなど巻きクセは発生し易くは感じます。
ベイトとの相性は良好
市場にあるPEの中でもシンジX9のベイト適正は最高レベルと感じます。これ以上となるとハードブル8+ ぐらいですが、糸の解け難さなど耐久性はシンジX9が圧倒的に上のため、キャストを繰り返す巻物の釣りなと用途を選ばない点も魅力です。
ただPE特有のカックンバックラッシュが発生しない訳では有りません。通常のPEより発生頻度は少ないですが、ブレーキの緩め過ぎには要注意です。
コスト
シンジX9の最大の難点が価格で、オッズポートさえ超える最高級の価格です。が、それだけの性能を持ったPEであることは私からも保証できます。いきなり200mなんて買う気になれない方は私と同じように100mボビン売りを探してみて下さい。それでも高いですが200mよりはマシな価格です。
他のラインとの比較
オッズポートとの比較
細さ | 同等 |
強度 | シンジX9 |
耐久性 | 検証中 |
耐摩耗性 | シンジX9 |
滑り性 | シンジX9 |
硬さとトラブル耐性 | シンジX9 |
コスト | オッズポート |
シンジX9はオッズポートを元にコーティングを施して作られたPEです。そのため各性能は基本的にはオッズポートの上位互換でオッズポートでは価格ぐらいでしか勝てる点は有りません。ただ、その差は微差であり、差が大きいのは操作感ぐらいで結束強度や耐摩耗性には大きな差は有りません。用途によってはオッズポートも選択肢としては十分に有りと感じます。
まとめ
今回紹介のシンジX9は
・圧倒的な操作性とベイト適正を持ったPE
・耐久性も結束強度もオッズポート同様に最強レベル
・価格も最高レベルのためバックラッシュには要注意
となっており、まさに最高傑作のPEと言える製品です。値段だけがネックですが既存品に不満がある人に是非使って欲しいPEです。。