この記事は広告を含む場合があります。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
日本のナイロンラインを大きく変えたのが恐らくトライリーンZです。このトライリーンZが出る2010年代後半までは日本の市場には伸びるナイロンか低伸度でも吸水性の高いナイロンしかありませんでした。その影響かナイロンは扱い難い印象が強かったのですが、トライリーンZは伸びも少ない上に吸水性も低いため扱いやすさが桁違いです。また耐摩耗性については今でもトップクラスの性能と感じます。
ただ販売から年月が経った今では他社もトライリーンZに追いついたため、現状ではマシンガンキャストやオルトロスに比べて優位性は感じません。むしろ結束強度が劣る分、性能面ではマイナスに感じます。
今回は結束強度には難があるものの耐摩耗性が極めて高く吸水性し難いトライリーンZを紹介します。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★☆ |
強度 | ★★☆☆☆ |
耐久性 | 検証中 |
耐摩耗性 | ★★★☆☆ |
伸び難さ(感度) | ★☆☆☆☆ |
柔らかさ | ★★★★☆ |
コスト | ★★★★★ |
目次
トライリーンZの特徴


細さ

トライリーンZ | フロロリミテッド | |
10lb | 0.260 | 0.260 |
12lb | 0.283 | 0.285 |
14lb | 0.310 | 0.310 |
16lb | 0.333 | 0.330 |
20lb | 0.371 | 0.370 |
30lb | 0.450 | – |
トライリーンZは各パッケージには太さが表記されていますが、メーカーWEBサイトでは号数しか表記が無く少々不親切な記載になっています。10~30lbの太さを各パッケージで確認のところ上記の通りでした。微妙に号数と違う太さもありますが、ほぼ号数通りと言って良いでしょう。
強度

14lbを各ノットで各5回結束強度を測定しました。比較対象はフロロリミテッドです。なお結束は条件を一定にするため一切糸を湿らせず行っており、パロマーノットのみ結束時に余り糸を捨て糸側に引いて試験しています。他のノットで余り糸を捨て糸側に引っ張らないのは、パロマーノット以外では余り糸は本線側にしか引っ張れないのが理由です。
完全結びでの結束強度
完全 結び | トライリーンZ | フロロリミテッド |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 2.30kg 36% | 4.55kg 72% |
最大 | 2.50kg 39% | 5.00kg 79% |
最低 | 2.00kg 31% | 4.25kg 67% |
完全結びは糸による結束の差が出やすいノットであり、かつナイロンはフロロに比べ結束強度が低い傾向にはありますが、その中でもトライリーンZの結束強度は低く平均でも36%しか出ていません。ちょっと完全結びでは安心して使えない強度です。
ハングマンズノットでの結束強度
ハング マンズ | トライリーンZ | フロロリミテッド |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 3.74kg 59% | 4.75kg 75% |
最大 | 4.70kg 74% | 5.60kg 88% |
最低 | 1.90kg 30% | 3.50kg 55% |
強度はあまり高くないものの結束が速いハングマンズノットでも同様にフロロリミテッドに劣る結果でした。ただ完全結びに比べ平均的に結束強度が上がっています。とはいえ、最低値では30%しか結束強度が出ないこともあります。
ユニノットでの結束強度
ユニ | トライリーンZ | フロロリミテッド |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 4.01kg 55% | 4.95kg 78% |
最大 | 4.20kg 66% | 5.50kg 87% |
最低 | 3.00kg 47% | 4.25kg 67% |
少々結束に時間が掛かるものの結束強度が安定しやすいユニノットでも測定しました。フロロリミテッドには劣る結果ではあるものの結束が安定しており、最低でも47%の強度が出ているため、これならトライリーンZでも安心して使えそうです。
パロマーノットでの結束強度
パロマー | シューター | フロロリミテッド |
強度 | 6.35kg 14lb | 6.35kg 14lb |
平均 | 3.74kg 59% | 4.95kg 78% |
最大 | 3.90kg 61% | 5.25kg 83% |
最低 | 3.50kg 55% | 4.75kg 75% |
パロマーノットは安定して7割程度の強度が出やすいノットですが、それでもトラリーンZは平均でも59%の結束強度しか出ていません。ただ最低値に関しては上記のノットの中で最も高く安定しているとは言えます。
耐久性
耐久性は検証中のため少々お時間願います。
耐摩耗性

14lbを105g(12号重り+15号重り)を1000番の砥石に吊るし、左右20cmを左右に行き来できた回数を測定(1往復で2回とカウント)しました。10回行った測定の平均、最大、最小の強度を示します。
トライリーンZ | フロロリミテッド | |
平均 | 17回 | 19回 |
最大 | 20回 | 22回 |
最低 | 15回 | 17回 |
GTU ULTRA | マシンガンキャスト | |
平均 | 13回 | 11回 |
最大 | 16回 | 14回 |
最低 | 10回 | 9回 |
結束強度では悪い結果だったトライリーンZですが耐摩耗性は極めて高くフロロリミテッドにも匹敵する結果となりました。安物のフロロを圧倒するような値であり、ナイロンの中でもマシンガンキャストはおろか耐摩耗性の高いGTR ULTRAさえも超える耐摩耗性となっています。
伸び難さと感度

14lb×2mを引っ張った際の伸びを記載しています。伸び率だけだは分かりにくいので、あえて実測値も掲載しています。比較対象はフロロリミテッドの14ポンドです。
トライリーンZ | フロロリミテッド | |
線径 | 0.310mm | 0.310mm |
2kg | 22cm(11.0%) | 23cm(11.5%) |
1kg | 11cm(5.5%) | 13cm(6.5%) |
0.5kg | 4cm(2.0%) | 5cm(2.5%) |
0.2kg | 1cm(0.5%) | 1cm(0.5%) |
トライリーンZはナイロンとしては伸びが少なくフロロリミテッドと同等に治っています。
マシンガンキャスト | GTR ULTRA | |
線径 | 0.310mm | 0.310mm |
2kg | 17cm(8.5%) | 25cm(12.5%) |
1kg | 9cm(4.5%) | 14cm(7.0%) |
0.5kg | 3cm(1.5%) | 5cm(2.5%) |
0.2kg | 1cm(0.5%) | 2cm(1.0%) |
さらに伸びの少ないマシンガンキャストと比べると伸びる方では有りますがGTRと比べると明らかに伸びが少ないのが分かります。
柔らかさ
トライリーンZはナイロンとしては硬めではあるものの超低伸度のマシンガンキャストと柔らかいGTRの中間と感じます。糸クセの付きやすさも中間となっています。

なおマシンガンキャストは伸びは少ないものの硬く糸クセも強めです。

GTR ULTRAであれば伸びやすい反面、糸が柔らかくクセも少な目です。

コスト
フロロに比べ安価な傾向にあるナイロンラインの中でもトライリーンZは購入しやすい価格となっており気軽に巻き替えられるのも魅力です。
PEの20mリーダーならコスト1/5
なおPEラインのリーダーとして使用すれはコストは更に抑えられます。バス向けではPEスピニングでは普及しつつありますがベイトでは殆ど見かけません。原因はライントラブルですが、これはリーダー20mとすることで、ほぼ解消できます。このセッティングでは使用感はほぼフロロであり、かつコストを1/5に抑えられます。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
他のラインとの比較
マシンガンキャストとの比較

細さ | 同等 |
強度 | マシンガンキャスト |
耐久性 | 検証中 |
耐摩耗性 | トライリーンZ |
伸び難さ(感度) | マシンガンキャスト |
柔らかさ | トライリーンZ |
コスト | 同等 |
ナイロンラインの中でもトライリーンZは結束強度を犠牲にしつつも耐摩耗性に特化したラインです。販売当初は伸びの少なさや吸水性の少なさも魅力でしたが、今では他社品も追いついたため利点とは感じません。ただ性能のバランスが良いラインとは感じます。
一方でナイロンラインの中でも有名なマシンガンキャストは更に硬めで太糸では難がありますが結束強度も悪く無くバランスの良いラインと感じます。
まとめ

今回紹介のトライリーンZは
・耐摩耗性が最強クラスのナイロン
・伸び難く吸水性も低い
・結束強度が低いためユニノットかパロマーが必須
となっており、このナイロンの登場にて他のナイロンの吸水性が劇的に改善されたと感じます。今でも耐摩耗性であればナイロンの中でも最強クラスですが、結束強度不足を補うノットにてご使用下さい。