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ステラに注目を奪われた感が否めない22イグジストですが、新型エアベール搭載と決して劣らない進化を果たしています。18イグジストでのモノコックボディと、大きな変化を遂げた後のモデルチェンジでしたが、更なる進化を果たしました。
前作で剛性は大幅に改良されましたが、一方、個人的にはダイワの良さであった「軽い巻き心地」が失われたと感じていました。LTコンセプトによる小型化でギア比が全体的に上がった影響でしょう。しかし、今回の22イグジストでは従来のネックであった巻き重りが新型エアベールで巻き重りが大幅に改善され、かつライントラブル対策も追加されました。
ただし、前作のようなフィネス専用モデルのラインナップが無いため、マグシールドによる巻き重りが小型番手でも発生している点は要注意です。今回は軽量リールの中でもっとも剛性が高く感じる22イグジストを紹介します。
*なお22イグジストSF(2023モデル)については別記事で紹介しております。
22イグジストの個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
重量の軽さ | ★★★★☆ |
巻きの軽さ | ★★★★☆ |
剛性感 | ★★★★★ |
ドラグ性能 | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★★★★ |
コストメリット | ☆☆☆☆☆ |
目次
22イグジストの特性
中身を取り出しにくいのが難点ですが、流石にフラッグシップだけあって容器にも気合が入っています。リール本体も鏡面の外観と高級感に満ち溢れており、指紋が付いただけでも磨き上げたくなります。
重量の軽さ
重量については軽量リールの中でもトップクラスであり、3000番のコンパクトサイズ(48φスプール径)で180g。ローター以外のフレームが金属にも関わらず、この重量は驚異的でしょう。
持ち重り感の軽減は微妙
メーカーWEBサイトでは同じ重量でも持ち重りが軽減と記載されており、確かに差を感じることもありますが、持っている間に分からなくなってきます。プロなら見分けられるかも知れませんが、私には大きな違いは感じられませんでした。
新型エアローターの軽快な巻き心地
22イグジストの最大の改良点がローターです。デザインも一新され見た目も高級感にあふれていますが、機能も素晴らしく、軽量化もされています。これは巻くだけで体感でき、従来のLTコンセプトの巻き重りが劇的に改善されました。
ベールを起こした際の音
従来のエアベールではベールの開閉で音がありませんでしたが、22イグジストからは音付きになり、ベール開閉が分かりやすくなりました。個人的な感想ですが、ベール返り防止にも効果がある気がしています。
ベールのナットが消えた
これもネジ穴が片面のみで見えにくくなることで見た目の高級感に繋がっています。おそらく水の侵入防止にも効果があると思われます。
ドラグ性能が更に向上
元々、ダイワのATDには何の不満もありませんでしたが、今回、更に改良されATD TYPE-Lとして発表されましたこともあり実験してみました。
ラインが1秒で30cm出る設定でドラグを800gに設定し、そこから低速 (10cm/s)と高速(90cm/s)でのドラグ値を10回以上計測し、おおよその平均値を記載しました。手作業のためブレが非常に大きい実験ではありますが、結果は以下の通りです。
ドラグ速度 | 22イグジスト LT3000S | 17スティーズ typeⅡ | 19ヴァンキッシュ C3000SDH |
スプール径 | 48φ | 48φ | 47φ |
低速(10cm/s) | 500g | 600g | 700g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 900g | 1,000g | 1,000g |
メーカー公表の通り、確かに22イグジストのドラグは向上している結果がでました。特に低速でのドラグの初動は他のリールより優れており、引っかかりなくスムーズに糸が出ます。17スティーズがドラグワッシャー1枚に対し、22イグジストはワッシャー3枚と初動では17スティーズの方が明らかに有利な条件なのに、個人的には驚きました。
高速での実験は手作業にてブレも大きく、どのリールでも800~1200gの範囲で測定誤差があります。ただ、22イグジストは従来品である17スティーズより抵抗が少ない傾向で、合わせ切れの減少に貢献するでしょう。
注意すべきなのは、性能が上がったとは言え今まで以上にドラグを絞めない事。初動が良いため、ダイワのスピニングはついついドラグを締めたくなりますが、普通以上の速度では必要以上の負荷がかかる原因になりラインブレイクに繋がります。
この重量では考えられない剛性感
剛性が高いだけなら他にも候補がありますが、軽量リールの中では間違いなくNo1の剛性感です。フラッグシップに恥じない仕上がりであり、これで樹脂ボディと同じ重量というのが信じられません。
ライントラブル対策
メーカーWEBサイトではライントラブル対策が謳われているにも関わらず、その技術特集が去れていないのが非常にもったいない。ここも大きく改善されています。
対策されたスプールシャフトへの糸絡み
8ポンドのフロロリーダーを6m使用する私は、度々、スプールシャフトへの糸絡みに悩まされてきました。これまでの糸絡み防止は効果が弱かったのですが、シャフトへの糸絡み防止ベール部分が強化されシャフトまで糸が侵入しにくくなっています。ただし、この点についてはシマノの方が優秀ですが。
ローター回転防止にもカバーが付いた
ダイワはベールを起こした際の回転防止を写真の突起で対応しており、ベールを起こした時だけ突起が出ることで回転防止の役割を果たしています。スピニングの釣りは全てPEの私ですが、爆風の際、一度だけローターの回転防止に糸が絡まったことがあります。困るのが、ここに糸が絡むと切る以外に選択肢が無い事。キャストした手元から切るハメになるのでライン巻替えに直結します。新型エアベールではこの部分が完全にローターで覆われているため、まずラインが絡まることは有りません。
ツイストバスターⅢの効果は不明
ツイストバスターも改善されたと記載されていますが、個人的には効果は感じられませんでした。スピニングは、どうしても糸ヨレするのでこの点は諦めています。
デメリット
ここまで22イグジストの特徴として利点ばかりあげてきましたが、完璧なリールという訳でなく欠点もあります。
マグシールドの巻き重り
最大の難点がマグシールド。巻いて止める釣りではマシですが、困るのが低速で巻き続ける釣り方。具体的にはI字などラインをたるませながら、ゆっくり巻く釣りです。管理釣り場のトラウトをイメージすると分かりやすいでしょうか。この低速巻きではマグシールドが抵抗になり、一定のリズムで巻けません。ソルトを想定した大型番手なら仕方ありませんが、少なくともバスやアジなど小型を想定した2500番以下のモデルにはマグシールドはデメリットの方が大きいでしょう。
22イグジストは意図的に気密性を上げたモデル
フィッシングショーにてメーカー担当の方にイグジストのマグシールドについて伺ったところ意図的にマグシールドを増やしたモデルとの回答でした。フラッグシップだけあって泥や海水などの内部への侵入を防ぐためラインローラーやローター部分だけでなくメインギアの左右(ハンドル取り付け口の部分)にもマグシールドを搭載したとのこと。
その一方で23エアリティに関してはメインギアの左右(ハンドル取り付け口の部分)には通常のオイルベアリングで回転の軽さを重視したとのことです。
あると便利なスタンド
スピニングリール全般に当てはまる件ですが、一旦、スプールに傷が入るとキャストの度にラインに傷がつくため致命傷となります。普段は直置きについて注意していても、良型が釣れた際にはタックルと合わせて写真を撮ることも多いでしょう。ただ、このタイミングが最も危険で魚が暴れ一瞬でリールが傷物になります。
多少の重量増にはなりますが、私はリールスタンドを使用しており、これでリールが直に地面に触れる可能性は無くなります。フックキーパーも付属しており、ニッパーで切って改造すればオフセットフックやシンカーも対応可能です。
価格
フラッグシップであり、近年の原料高騰で仕方無いのでしょうが、気軽に購入できるリールではありません。複数台を使い分ける方には選択肢にも入らないでしょう。
22イグジストに適した釣り
軽量でありながら剛性も非常に高く、巻きも軽い最高のスピニングには間違いありませんが、マグシールドが巻きの軽さに悪影響を及ぼしています。本来ならセルテートやステラのような剛性が必要ない分野全てと言いたいのですが、軽量の分野には19ヴァンキッシュに劣ります。そのためヴァンキッシュでは剛性が足りず、ステラでは重い分野、具体的には2500~4000番での釣りが最適でしょう。
個人的な意見を言えば、コンパクトボディのLT3000以下のモデルにマグシールドは悪影響しかないと思います。
他のリールとの比較
23エアリティとの比較
重量の軽さ | 23エアリティ |
巻きの軽さ | 23エアリティ |
剛性感 | 22イグジスト |
ドラグ性能 | 同等 |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 23エアリティ |
22イグジストは気密性や耐久性を高めたモデルとなっておりフラッグシップだけあって剛性感も上です。そのため22イグジストはソルトなどメンテナンスが大変で耐久性が求められる用途に適しています。
22イグジストをベースに少しでも重量や巻き感を軽くしたのが23エアリティとなります。重量や巻きの軽さはフラッグシップの22イグジストより23エアリティより上です。ドラグ性能もスペック的には22イグジストが上ですがテストでは差を感じませんでした。加えてコスト面でも23エアリティが有利です。個人的にはバスやライトゲームの用途では23エアリティの方が使いやすいと思います。23エアリティの詳細は別記事で紹介しております。
22ステラとの比較
バス向けのスピニングリールは自重の軽さや巻きの軽さが最優先されるため22イグジストが圧勝の比較表ですが、22ステラが劣っている訳ではありません。
重量の軽さ | 22イグジスト |
巻きの軽さ | 22イグジスト |
剛性感 | 22ステラ |
ドラグ性能 | 22イグジスト |
ライントラブル耐性 | 22イグジスト |
コストメリット | 同等 |
22イグジストは軽量、22ステラは重厚感とコンセプトが異なるリールです。22イグジストは重量が軽く巻き出しも軽快なため十分な剛性感がありながらも巻く、止めるを繰り返す釣りに適しています。マグシールドの巻き重りが低速で巻き続ける釣りには悪影響しますがドラグの初動も22ステラを上回っており細い糸でも安心です。
反面、22ステラの長所は剛性感です。22イグジストも極めて剛性感が高くほぼ同等と感じますが金属ローターの分で僅かに22ステラが上に感じます。重量も重いためロングロッドとの相性もよくマグシールドの抵抗も無いため巻き感も良好です。22ステラの詳細は別記事で紹介しております。
19ヴァンキッシュとの比較
同じ軽量リールで対抗となる19ヴァンキッシュとの比較です。
重量の軽さ | 19ヴァンキッシュ |
巻きの軽さ | 19ヴァンキッシュ |
剛性感 | 22イグジスト |
ドラグ性能 | 22イグジスト |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 19ヴァンキッシュ |
22イグジストは剛性感に優れておりローター剛性も極めて高い事からドラグ性能も一段上となっています。その反面ライントラブル耐性に関してはベールの改良にて糸絡みが激減し、ようやく19ヴァンキッシュに追いきました。巻きの軽さに関しても追いついたと言いたいところですが、マグシールドの巻き重りが低速回転時に邪魔をします。性能的には巻きの軽さも追いついたと思いますが、マグシールドレス品が販売されて、やっと同等といったところでしょう。
その反面19ヴァンキッシュは巻き心地やローターの剛性感では22イグジストに及びませんが、重量や巻き出しの軽さは圧倒的です。ライントラブルも少なく、これで22イグジストの約半値で購入できます。バス用途に関して19ヴァンキッシュの剛性感を不満に思うことは少ないため、迷った際には19ヴァンキッシュがお勧めとなります。19ヴァンキッシュの詳細は別記事で紹介しております。
21ルビアスエアリティとの比較
重量の軽さ | 同等 |
巻きの軽さ | 21ルビアスエアリティ |
剛性感 | 同等 |
ドラグ性能 | 22イグジスト |
ライントラブル耐性 | 22イグジスト |
コストメリット | 21ルビアスエアリティ |
21ルビアスエアリティは18イグジストの性能の大半を継承しており非常に優秀なリールではありますが、新型ローターの性能は圧倒的で、剛性感とドラグ性能では22イグジストに及びません。新型のローターは糸絡みも少ないため、ライントラブル耐性も22イグジストの方が上です。
その一方、22イグジストはマグシールドが巻きの軽さを台無しにしており、特に21ルビアスエアリティでのFCモデルのようにマグシールドレス品の巻きの軽さには及びません。そのため繊細なフィネスや、巻く止めるを繰り返すような釣りには今でも21ルビアスエアリティのFCモデルが適しています。21ルビアスエアリティの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
最後に22イグジストの評価まとめです。
・軽量かつ驚愕の剛性感と巻きの軽さ
・ヴァンキッシュでは不安、ステラやセルテートでは重すぎる用途に
・バスにはマグシールド非搭載品が望まれる
間違いなく軽量リールの最高峰であり、見た目の高級感だけでなく、剛性も問題なし、重量や巻きの軽さもトップレベルです。ただバスでのI字プラグや管理釣り場でのトラウトなど、ゆっくり巻き続けるような釣りにはマグシールドの巻き重りが気になります。少なくとも私には扱いにくく旧ラインナップのFCモデルのようなマグシールド非搭載モデルを選びます。一方でソルトではマグシールドの防サビ性能が活躍するため、セルテートやステラでは重量が重く、ヴァンキッシュでは剛性が足りない分野には最適でしょう。