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あまり悪い評価をするのは好きでは無いのですが個人的に少々残念なのがソラロームのポリアミドプラスです。適度な伸びで扱いやすく、結束強度も悪くは有りません。ただ最大の難点が糸自体の吸水です。初めの数投は問題無いのですが、キャストを繰り返すと吸水し糸自体の抵抗が増えます。キャストの際にもガイドでの抵抗も増え、巻取り時にも引っ掛かり感を感じ、糸自体の色も吸水で変わるほどです。釣行後に乾燥させれば元には戻り耐久性も悪くは有りませんが、実釣時の吸水による使用感の変化を許せるか否かがポイントです。
なお使用感としてはGTRとマシンガンキャストの中間であり、GTRほど伸びませんがマシンガンキャストよりは伸びるためナイロンらしい使用感が残っています。そのため巻物での乗りの良さと操作感のバランスが絶妙でフロロリミテッドに近い操作感です。
今回は吸水の悪影響にて使用感が著しく変化するものの強度や操作感は良好なソラローム ポリアミドプラスを紹介します。
なお個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★★☆☆ |
耐久性 | ★★★★☆ |
伸び難さ(感度) | ★★★☆☆ |
柔らかさ | ★★★☆☆ |
コスト | ★★★☆☆ |
目次
ソラローム ポリアミドプラスの特徴
吸水による使用感の変化には注意
ポリアミドプラスで最も悩ましいのは吸水による使用感の変化です。数投しただけの状態にてキャストした10mほどを右側に寄せて巻き取った写真ですが、明らかに色が変化しています。この影響で吸水後は使用感が大きく変化し、キャスト時や巻き取り時に糸の抵抗を大きく感じます。乾燥すれば元通りになりますが、購入に際しては吸水による使用感の変化にあらかじめ注意が必要です。
細さ
ポリアミドプラスの細さに関してはフロロリミテッドと同等で12ポンド=3号といった表記通りの強度となっています。
ポリアミドプラス | フロロリミテッド | |
6lb | 0.205 | 0.205 |
8lb | 0.235 | 0.235 |
10lb | 0.260 | 0.260 |
12lb | 0.285 | 0.285 |
14lb | 0.310 | 0.310 |
16lb | 0.330 | 0.330 |
20lb | 0.370 | 0.370 |
強度
14ポンドを完全結び(漁師ノット)とパロマーノットで各10回結束強度を測定しました。比較対象はフロロリミテッドです。なお結束は条件を一定にするため一切糸を湿らせず行っており、パロマーノットのみ結束時に余り糸を捨て糸側に引いて試験しています。他のノットで余り糸を捨て糸側に引っ張らないのは、パロマーノット以外では余り糸は本線側にしか引っ張れないのが理由です。
まずは完全結びの結果です。
完全 結び | ポリアミドプラス | フロロリミテッド |
表記 強度 | 6,35kg 14lb | 6,35kg 14lb |
平均 | 2.69kg 42% | 4.55kg 72% |
最大 | 3.00kg 47% | 5.00kg 79% |
最低 | 2.50kg 39% | 4.25kg 67% |
ナイロンはフロロに比べ結束強度が低い傾向にありポリアミドプラスでも同様の傾向が見られました。がナイロンラインの中では結束強度は普通でマシンガンキャストの平均43%と同等です。ただGTRの平均55%、オルトロスDU-Sの62%には劣ります。
続いてパロマーノットの結果です。
パロ マー | ポリアミドプラス | フロロリミテッド |
表記 強度 | 6,35kg 14lb | 6,35kg 14lb |
平均 | 4.89kg 77% | 4.95kg 78% |
最大 | 5.30kg 83% | 5.25kg 83% |
最低 | 4.25kg 67% | 4.75kg 75% |
一方でパロマーノットはラインの性質に関わらず強度が7割近く出るノットです。そのためナイロンで結束強度が出にくいポリアミドプラスでも7割程度の強度が出せています。ポリアミドプラスに限った話ではありませんがナイロンは結束強度が低い傾向があるためパロマーノットを強く推奨します。
耐久性
ポリアミドプラスの耐久性は悪くは無く週2回の釣行で1ヶ月は持つレベルです。リニューアルで大幅に耐久性が改善されたマシンガンキャスト程の耐久性はありませんが、GTR ULTRAよりは高いと感じます。1ヶ月の使用でも大幅な劣化は見られません。
120倍拡大での比較でも糸の表面の傷は少なく感じます。
比較対象としてGTR ULTRAの120倍拡大写真を載せますが、柔らかいGTR ULTRAは大きな傷が入りやすい傾向にあります。
伸び難さと感度
2mのラインを2kgの力で引っ張り、その際に伸びた距離から伸び率を測定しています。伸び率の%表記だけでは差が分かりにくいので、あえて実測値も掲載しています。
ポリアミドプラス | フロロリミテッド | |
表記強度 | 14lb | 14lb |
線径 | 0.310mm | 0.310mm |
伸び | 21cm | 22cm |
伸び率 | 11% | 11% |
GTR ULTRA | マシンガンキャスト | |
表記強度 | 20lb | 14lb |
線径 | 0.370mm | 0.310mm |
伸び | 26m | 17cm |
伸び率 | 13% | 9% |
ポリアミドプラスの伸び率は11%とナイロンとしては低めでフロロリミテッドと同等です。一般的なナイロンではGTRの様に伸びる傾向にありますが、マシンガンキャストのような低伸度ラインとはなっていません。
柔らかさ
ポリアミドプラスは硬い糸では有りませんが糸クセは付きやすい傾向にあります。
マシンガンキャストのような低伸度ラインでは糸クセが付きやすいですが、ポリアミドプラスも同等となっています。
なおナイロンの中でも柔らかいGTR ULTRAでは糸クセは少な目です。
コスト
単価だけを見ると決して安くは無いのですが150mの糸巻量のため1mあたりの価格は10円を割ります。耐久性も良くお手頃なラインといえるでしょう。
PEの20mリーダーならコスト1/5に
価格が控えめで耐久性の高いラインであっても更にコストを抑えて使えるのがPEのリーダーでの使用です。一般的なPEではリーダーは1.5m以下ですが私は20mで使用しています。そのため使用感はほぼナイロンを維持しつつ、かつコストを1/5に抑えられます。PEの詳細は別記事で紹介しております。
他のラインとの比較
用途が明確に異なるフロロとの比較は意味がありませんのでナイロンラインとの比較です。
GTR ULTRAとの比較
細さ | ポリアミドプラス |
強度 | GTR ULTRA |
耐久性 | ポリアミドプラス |
伸び難さ(感度) | ポリアミドプラス |
柔らかさ | GTR ULTRA |
コスト | ポリアミドプラス |
ポリアミドプラスは適度に伸びるナイロンのため操作感を残しつつ巻物などでの乗りの良さが残っています。16ポンド以下での使用であればポリアミドプラスが扱いやすいと感じます。
その一方で16ポンドや20ポンド以上の強度が必要な用途にはGTR ULTRAがお勧めです。柔らかく扱いやすいため太糸でも12~14ポンドの様な感覚で使用できます。GTR ULTRAの詳細については別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介のポリアミドプラスは
・吸水により使用感が大きく変化する
・伸びは適度で強度は通常のナイロン並み
となっておりマシンガンキャストのように低伸度過ぎないため扱いやすいナイロンとなっています。ただ吸水による使用感の変化は顕著であり、あらかじめ理解した上での導入をお勧めします。