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密巻き構造がヴァンキッシュにも追加されリニューアルとなりました。この密巻き構造ではキャスト感も向上しますが、ドラグ性能が大幅に進化しています。特にドラグの初動が向上しており急に魚が走った際にもドラグが追随するためラインブレイクが抑制されます。また巻きの軽さと重量の軽さは19ヴァンキッシュから変わりなく最高レベルです。巻き出しが非常に軽く、また回転も止めやすいため巻く止めるを繰り返すバス釣りに非常に適しています。この軽快さに関してはトップクラスで22イグジストや23エアリティより上です。
その一方、密巻きの悪影響でフロロなど硬いラインで糸フケの多い釣り方にはバックラッシュ対策が必要です。釣りにならないレベルではありませんが、硬いラインでは何投かに一回はスプールの糸フケを取る必要があります。また剛性感については密巻きによるブレの軽減で向上はしてはおり十分なレベルですが、ステラやイグジスト、エアリティには劣ります。
今回は自重の軽さと巻きの軽快さは最高レベルを維持したまま、ドラグ性能が大幅に進化した23ヴァンキッシュについて紹介します。
23ヴァンキッシュの個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
重量の軽さ | ★★★★★ |
巻きの軽さ | ★★★★★ |
剛性感 | ★★★★☆ |
ドラグ性能 | ★★★★☆ |
ライントラブル耐性 | ★★★★☆ |
コストメリット | ★★☆☆☆ |
目次
23ヴァンキッシュの特性
密巻きによるキャスト感の向上
23ヴァンキッシュの最大の特徴である密巻きですが、19ヴァンキッシュとの比較では3~4倍は密にスプールに糸が巻かれています。そのためラインが互いに重なりにくくスプールから出る際の抵抗が格段に減りました。
この効果はキャストを1投するだけで感じられ、まるで無重力かのようなキャスト感を味わえます。スプール内のライン同士の摩擦がこれほど大きかったのかと体感できます。なお飛距離に関しては若干伸びている気はするものの誤差範囲でした。
密巻きによるドラグ性能の向上
密巻きによるライン放出性能の改善はドラグ性能にも影響しており、特にドラグ初動が良くなっています。
ドラグ値は以下のように確認しました。ラインが1秒で30cm出る設定でドラグを800gに設定、そこから低速 (10cm/s)と高速(90cm/s)でのドラグ値を10回以上計測し、おおよその平均値を記載しました。手作業のためブレが非常に大きい実験ではありますが結果は以下の通りです。
ドラグ速度 | 23ヴァンキ | 19ヴァンキ | 23エアリティ |
スプール径 | 47φ | 47φ | 48φ |
低速(10cm/s) | 600g | 700g | 500g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 1,000g | 1,000g | 900g |
19ヴァンキ:19ヴァンキッシュC3000SDH
23エアリティ:23エアリティPC LT3000
シマノのスピニングリールはダイワに比べドラグ初動が悪く、低速ではドラグが出にくい傾向がありました。そのため19ヴァンキッシュなどではドラグを弱めに設定するか、フッキング後に緩めることが多くなります。しかし23ヴァンキッシュでは密巻きにてライン同士の摩擦抵抗が軽減されたためか、低速での出だしが劇的に改善されています。
ただドラグ性能だけを見るとダイワの方が一歩上で、より滑らかにドラグが出ます。23エアリティは低速でも高速域でもドラグが安定的に作動するためラインブレイクし難い傾向にあります。
重量の軽さ
23ヴァンキッシュはライトリグに適した重量となっています。誤差範囲とに近いですが23ヴァンキッシュは19ヴァンキッシュより僅かに実測値では重量が軽い結果となりました。
その差はハンドルでした。23ヴァンキッシュと19ヴァンキッシュのハンドルだけで2gの差が出ています。
下:19ヴァンキッシュ
この重量差の要因は肉抜きと思われ、ハンドルの軽量化のため中央部の金属パーツが抜かれています。
またハンドルノブ自体にも軽量化が施されています。並べて比較すると僅かにハンドルノブが小さくなっているのが分かります。
19ヴァンキッシュ→
巻きの軽さは最軽量クラス
シマノのMGLローターは極めて優秀で巻きの軽さが桁違いです。22年よりダイワも新型ローター搭載にて改善されていますが、巻きの軽さだけで言うとシマノが一歩上を行っています。
ローター上下動が遅いためブレが少ない
密巻きの副次的な効果として巻き取り時にリールやロッドがブレない事が挙げられます。ローターの上下動が遅いためロッド先端がブレにくく安定した巻取りが可能です。
ローター剛性は必要最低限で「たわみ」が大きい
23ヴァンキッシュは樹脂ローターのため指で押さえると明確に「たわみ」を感じるます。この点においては19ヴァンキッシュと同等です。
なお22ステラの金属ローターでは全く「たわみ」を感じません。良型とのファイトも安心の剛性感です。
スプールに糸絡みしにくい
フロロのロングリーダー設定ではスプールからリーダーが爆発することが多々ありますが、シマノの糸絡み防止は非常に優秀です。写真の通り大きなストッパーがついているため、一度もシャフトに糸が絡んだことがありません。
ダイワにおいては最新機種の22イグジストや23エアリティのみ対策されていますが不完全でシマノのスピニングに比べ巻き込みやすい構造になっています。スプール内側とシャフトの隙間も大きく開いています。
ローターにも糸絡みしにくい
シマノではベールを起こした際のローター回転防止パーツが完全に覆われているためラインが絡まる心配がありません。19ヴァンキッシュ写真でも該当のパーツが見えないほど上手く配置されておりますが、23ヴァンキッシュでは更に進化しておりパーツが見えないレベルです。
ダイワでは22イグジストや23エアリティなど新型しか対応できておらず、21ルビアスエアリティなど他の機種ではローター外に露出しているためラインがひっかることがあります。
ライントラブル防止のローターフィン
密巻きでの最大の懸念となっていたのがバックラッシュなどライントラブルですが個人的には全く問題になっていません。新しく設置されたローターのフィンがスプールに適度に「張り」を保って糸を巻き取るため常にスプールの糸が均一になるためです。19ヴァンキッシュとの比較でもラインローラー部が非常に小さくなっており、糸が緩み難い構造となっています。
フラッグシップよりは購入しやすい価格帯
少々、手を出し難い価格帯ではありますがステラやイグジストのようなフラッグシップモデルよりは購入しやすい価格です。スピニングリールはドラグ性能の部分で中価格帯とハイエンドの性能差が大きく、多少無理をしてでも購入をお勧めします。
デメリット
硬いラインではバックラッシュに注意
ミドストなどラインスラックを多用する釣りで検証してみましたが、硬いラインでは23ヴァンキッシュは糸が緩みやすい傾向にあります。写真ではポッパーでの例ですが、スラックを回収しながらアクションしてるだけで糸が緩んでいます。硬いラインでは普通のリールでも発生しやすい糸フケですが23ヴァンキッシュでは特に注意が必要です。ミドストやノーシンカーの釣りでは何投かに1回は糸フケを直す必要があります。
あると便利なスタンド
スピニングリール全般に当てはまる件ですが、スプールに傷が入るとキャストの度にラインに傷がつくため致命傷となります。普段は直置きについて注意していても、良型が釣れた際にはタックルと合わせて写真を撮ることも多いでしょう。ただ、このタイミングが最も危険で魚が暴れ一瞬でリールが傷物になります。
多少の重量増にはなりますが、私はリールスタンドを使用しており、これでリールが直に地面に触れる可能性は無くなります。フックキーパーも付属しており、ニッパーで切って改造すればオフセットフックやシンカーも対応可能です。
他のリールとの比較
23エアリティとの比較
重量の軽さ | 23ヴァンキッシュ |
巻きの軽さ | 23ヴァンキッシュ |
剛性感 | 23エアリティ |
ドラグ性能 | 23エアリティ |
ライントラブル耐性 | 23エアリティ |
コストメリット | 同等 |
同価格帯の23エアリティとの比較です。23ヴァンキッシュは巻きが軽く重量も軽いのが特徴です。その反面、23エアリティは若干重量が重いですが剛性感が高くドラグ性能が上です。ライントラブルについても23エアリティが上です。ただどちらも僅差のため好きな方を選んでも問題ないレベルではあります。今までは巻きの軽さに関してはヴァンキッシュの圧勝でしたが、23エアリティは新型ローターとマグシールドの削減で軽快さが大きく向上しています。23エアリティの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介の23ヴァンキッシュは
・ドラグ性能が大幅に向上し最高レベルに
・巻きの軽さと自重の軽さでライトリグには最適
・糸フケの多くなるノーシンカーやミドストではトラブルに要注意
となっておりライトリグには最適の特性に仕上がっています。ただ普段からライントラブルに気を使っている人には問題ありませんが、糸フケの出やすい釣りにはバックラッシュに注意が必要となります。その分、密巻きのキャストフィールは最高でラインテンションを張ることが多いライト系の巻物には最高の一台です。