【22ジリオン TW HD インプレ】MAG-Z BOOSTによる飛距離とトラブルレスの向上

22ジリオンTW HD使用例

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高剛性かつ扱いやすい21ジリオンSV TWにMAG-Z BOOSTとブラスギアのHD仕様が追加されました。特にMAG-Z BOOSTスプールのキャスト性能に関しては素晴らしく、バックラッシュや糸浮きなどのトラブルが非常に少ないにも関わらす飛距離が伸びます遠投性能も素晴らしい上にピッチングでも低弾道で決まるため、正直に言ってHLCのような遠投専用のリールが不要と思うほどです。

またメインギアが真鍮のブラス製のためか通常のジリオンSV TWより若干重たいものの、これが逆にMHからHクラスのロッドに非常に適しています。重いロッドには重いリールの方がバランスを取りやすく、結果として持ち重りを軽減できるためです。剛性感に関しても全く問題に感じません。

ただラインナップが7.1以上のハイギアしかなく、かつハンドルも100mmと一般的な用途には使いにくいのが難点です。せっかく重く安定しやすい重量でもハイギアしか無いため巻物には使いにくい使用です。また100mmハンドルは巻き取りスピードを損なうためハイギアやエクストラハイギアでの早巻き効果を台無しにします。カスタムにて扱いやすくすることは可能ですが、箱出しの状態ではウィードへのパンチングやビックベイトしか用途が見出せません。

今回はヘビーユースに最適な22ジリオンTW HDを紹介します。個人的な評価は以下の通りです

★5が満点
キャスト性能(7g)★★☆☆☆
キャスト性能(10g)★★★★☆
キャスト性能(14g)★★★★★
キャスト性能(21g)★★★★★
剛性感★★★☆☆
巻物適正★★☆☆☆
ライントラブル耐性★★★☆☆
コストメリット★★☆☆☆

22ジリオン TW HDの特性

22ジリオンTW HD箱出し

漆黒のボディカラーで高級感にあふれています。ハンドルが100mmと長すぎるためボディが小さく見えますが21ジリオンSV TWと同じ大きさです。

MAG-Z BOOSTスプールの特性

スプール重量については重たく16gとなっています。SV BOOSTの13gより3gも重たい仕様で軽量ルアーのキャストなんて全く想定していない重量です。

フロロ16ポンド×90mの設定ては30g近い重量となり10前後のルアーでも投げにくくなる重量です。なお高比重PE2号×100m+フロロ14ポンド×20mでは24gに抑えられ、10g前後のキャスト性能が大幅に向上します。

SV BOOSTより更に伸びのあるキャスト性能

22ジリオンTW HDキャスト性能

フロロ16ポンド100mの糸巻量のため重たいルアーに適した設定となっていますが、新しく搭載されたMAG-Z BOOSTスプールでは2段階ブレーキが採用されたためか、従来のMAG-Zスプールでは軽くてキャストしにくい10g前後の軽いルアーでも快適で、かつバックラッシュの頻度が大幅に下がっています

フロロ16ポンド100m設定の重いスプールで軽いルアーを投げる際には、どうしてもスプールを回すため強めのキャストが必要になります。この際、重いスプールでは力んでバックラッシュしやすくなりますがMAG-Z BOOSTスプールの2段階ブレーキがラインの浮きを抑えてくれます。これは軽いルアーのキャストだけでなく、遠投時の力を入れたキャストでも同様でトラブル無く安定してキャストできます。

従来のMAG-Zスプールと比べた際、投げられる下限は7g前後と変わりませんが、バックラッシュしにくい特性により、どんなルアーでもMAG-Zに比べ飛距離が1~2m程度は伸びます。

MAG-Z BOOSTとMAG-Zの違い

MAG-Z BOOSTとMAG-Zを同じブレーキ設定で投げ比べた際に飛距離が出るのはMAG-Z BOOSTです。MAG-Z BOOSTはキャスト後半にかけブレーキが弱まるため飛距離だけでなくキャストの爽快感も上がっています。その反面、ブレーキ力が弱いとも言えるため従来のMAG-Zでブレーキ目盛りが7前後であれば、8~9の目盛でキャストする方が安定します。ブレーキ目盛りを上げても飛距離が落ちす、かつバックラッシュも軽減できます。

その一方MAG-Zはキャスト前半から後半までブレーキが効き続けるため、ブレーキ目盛り7前後の条件ではMAG-Z BOOSTの飛距離に勝てません。しかしMAG-Zはブレーキが強くかかるためブレーキ目盛りを落としやすく、20gのバイブレーションでは2~3まで目盛りを落とすことも可能です。ここまでブレーキ目盛りを落とすとMAG-Z BOOSTでのブレーキ目盛り7と飛距離やキャストの爽快感も同等です。ただしブレーキ目盛り2~3ではキャスト直後のブレーキ力が不足するためサミング不足や風の影響ですぐにバックラッシュします。

サミングなどキャストに自信のある方はMAG-Zでもバックラッシュ無く飛距離が伸ばせますが、多くの方が使いやすいのはMAG-Z BOOSTです。

スプール互換性も豊富、交換で7gルアーもキャスト可能に

RCSB 1000スプール

ダイワの34mm径ベイトリールはスプールが共通のため、スプール交換により操作感を変えずキャスト性能を大きく変えることができます。MAG-Z BOOSTは14g前後のキャストに最適なスプールですが近距離キャストには適していません近距離キャストが中心であればSV BOOSTやSV BOOSTシャロースプールの方が圧倒的に有利です。交換スプールに関しては別の記事で紹介しております。

非常に高い剛性感だがスティーズには巻き心地で劣る

HYPER DRIVEデザイン以降はギアが△でなく凸の形状に代わっており、巻き心地が大きく向上しています。21ジリオンSV TWやスティーズとは異なり、22ジリオン TW HDでは黄色のブラスギアが搭載されているため耐久性も高いと思われます。

ただ同じHYPER DRIVEデザインでも21スティーズLTD SV TWや21スティーズA TW HLCの方が巻き心地は上です。見た目では違いが分かりませんが実際に巻き比べると差を感じますので、恐らくパーツの精度と思われます。

バス以外にも対応可能なドラグ性能

22ジリオンTW HDのドラグ

22ジリオン TW HDはドラグ音が搭載されておりドラグを効かせた魚とのファイトが容易です。このためバスだけでなく、バスより引きの強いシーバスやチヌなど幅広いルアーフィッシングに対応可能です。

勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル

ダイワの旧型ベイトリールではブレーキダイヤルが剥き出しであったため、移動時などに勝手にブレーキが変わっており、釣り場での一投目で大バックラッシュなどトラブルの元となっていました。22ジリオンTW HDは21ジリオンSV TWと同様にダイヤル位置がリール下部に変更され対策されています。ただ、これでも稀には発生しますので、この点に関してはスティーズが満点です。

MH以上のロッドに最適な重さ

22ジリオンTW HDの重量

重量は200gとMクラス以下のロッドには重く感じますが、MH以上のロッドには最適です。重いロッドでも重心が手元に寄せられるため操作性が向上し、持ち重り感も軽減してくれます。

分解時にギアが取り出しやすい

左が22ジリオンTW HD、右が17スティーズA TWの比較です。旧型の17スティーズA TWはシャフトの窪みに上からハンドルで押さえつける構造になっているためシャフトが変形し、分解洗浄の際にシャフトの変形部分を削る必要があります。21ジリオンなどのHYPERDRIVEデザイン以降の新型リールでは対策されておりシャフトの変形がなくギアが取り出しやすくなりました。

コスパは悪くは無いが…

本来ならコスパについて★3~4は付けたいところですが、現状では22ジリオンTW HDはビックベイトかカバー打ち専用機になっているため、幅広い用途で使用するにはハンドル交換が必須の機種になっています。そのため、あえて★2の評価にしています。

個人的にはロングハンドルとブラスギアに拘らないのであれば、21ジリオンSV TWにMAG-Z BOOSTスプールの追加購入がお勧めです。

デメリット

ハンドルが長すぎる

22ジリオンTW HDと21ジリオンのハンドル比較

21ジリオンSV TWの90mmハンドルとの比較ですが、明らかにハンドルが長い。シマノでも通常は85mm、ダイワでも90mmハンドルでのラインナップが多いため、100mmハンドルは普段から使い慣れた人以外には扱いづらく感じるでしょう。長すぎるため手首を軸にした巻き取りができず、巻物でも巻きムラが非常に大きくなります。カバー打ちからのゴリ巻きやビックベイトであれば有効とは思いますが、その他の用途には全く合いません。幅広い用途での使用を検討されているのであれば90mmへの変更をお勧めします。

ハンドルは樹脂カラーのためベアリングに要交換

22ジリオンTW HDのベアリング追加

改造となるためメーカー保証の対象外とはなりますが、巻き心地が大きく改善するためベアリング追加をお勧めします。ハンドルノブ内部は片方はベアリングですが、もう片方樹脂カラーとなっています。交換の点数は2点のみです。

22ジリオンTW HDノブ取り外し

ただし、22ジリオンTW HDのハンドルノブはラウンドノブのため、取り外しには専用工具が必要です。取り外しの際にハンドルカバーを傷つけやすいので要注意です。

ダイワ特有のカチャカチャ音は健在

SV BOOSTスプール搭載の21スティーズリミテッドやジリオンはギアボックス側のベアリングに固定バネが付いており、ダイワ特有のカチャカチャ音対策がされていますが、22ジリオン TW HDのMAG-Z BOOSTスプールについてはバネが無くカチャカチャ鳴ります。剛性感が非常に高いだけに惜しい点です。

TWSがハードベイトの針に当たる

ダイワのTWS搭載機はライン放出口が上下に動くため、リールにトレブルフックを引っかけると針先が当たり傷やフックが鈍る原因になります。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで防止しています。

想定される釣り

22ジリオンTW HD最適ルアー

22ジリオンTW HDに適したルアーはビックベイトやフロッグ、カバー打ちのワームやヘビキャロとなります。MAG-Z BOOSTスプールで10g以上のルアーを非常に快適に使用できますが、一方で100mmハンドルの影響で巻物など幅広い用途で使用するには慣れが必要です。

他のリールとの比較

使用用途の近い高剛性のロープロ機との比較となります。なお21ジリオンSV TWとの比較ではハンドル長さ、スプール特性の差しか無く剛性感も同じですので、あえて比較はしません。21ジリオンSV TWについては別記事で紹介しております。

23スティーズAⅡ TWとの比較

23スティーズAⅡ TWの使用例2
キャスト性能(7g)23スティーズAⅡ TW
キャスト性能(10g)23スティーズAⅡ TW
キャスト性能(14g)同等
キャスト性能(21g以上)同等
ライントラブル耐性同等
剛性感23スティーズAⅡ TW
巻物適正23スティーズAⅡ TW
コストメリット22ジリオンTW HD

共にMAG-Z BOOSTスプールが搭載された高剛性のリールですが、22ジリオンTW HDは特化機であり、ハイギアとエクストラハイギアしかラインナップになく、ハンドルも100mmしかありません。そのため汎用性は有りませんが、ビックベイトやウィードエリアでのパンチングなどパワーが特に求められる釣りへの相性は抜群です。

その一方、23スティーズA II TWの方がスプールの糸巻き量が少ない分、僅かにですが10g以下のキャスト性能では優位です。23スティーズA II TWは90mmハンドルに加えノーマルからエクストラハイギアまでラインナップがあり、巻物から打ちモノまで幅広く使用できます。フラッグシップだけあり巻き心地も一段上のため、迷った場合には23スティーズAⅡ TWとなります。23スティーズAⅡ TWの詳細は別記事で紹介しております。

22バンタムとの比較

22バンタムの使用例4
キャスト性能(7g)22ジリオンHD
キャスト性能(10g)22ジリオンHD
キャスト性能(14g)22ジリオンHD
キャスト性能(21g以上)22ジリオンHD
ライントラブル耐性22ジリオンHD
剛性感22バンタム
巻物適正22バンタム
コストメリット22バンタム

用途が大きく重なるのが22バンタムですが、どちらも重量級ルアーに特化しておりラインキャパも全く同じです。ただ特異な分野は明確で、キャストに関しては22ジリオンTW HD、剛性感については22バンタムとなります。22ジリオンTW HDはスプールが優秀で外部ダイヤルだけでブレーキ設定が完結し、かつ10g前後のルアーでもバックラッシュし難い設定になっています。一方22バンタムはシマノならではの剛性感でビックベイトやパンチングなどリールへの負荷が大きい釣りには抜群の性能を発揮します。22バンタムの詳細は別記事で紹介しております。

21アンタレスDCとの比較

21アンタレスDC使用例3
キャスト性能(7g)22ジリオンHD
キャスト性能(10g)22ジリオンHD
キャスト性能(14g)同等
キャスト性能(21g以上)21アンタレスDC
ライントラブル耐性同等
剛性感21アンタレスDC
巻物適正21アンタレスDC
コストメリット22ジリオンHD

遠投No.1リールと言えば21アンタレスDCですが、22ジリオンTW HDもキャスト性能では劣っておらず同等の性能を発揮します。遠投が得意なリールはバックラッシュしやすい傾向にありますが、MAG-Z BOOSTスプールはトラブルが殆どないため安定して飛距離を伸ばせるためです。特にDCリールは非常に高価なため、コスト面でも22ジリオンTW HDは優位です。その一方で剛性感や巻き心地はシマノが圧倒的であり、20g以上のルアーの投げやすさでは21アンタレスDCには及びません。21アンタレスDCの詳細は別記事で紹介しております。

17スティーズA TWとの比較

17 スティーズA TW

ダイワの中での高剛性のベイトとして唯一の対抗馬となる17スティーズA TWとの比較を記載します。

キャスト性能(7g)22ジリオンTW HD
キャスト性能(10g)22ジリオンTW HD
キャスト性能(14g)22ジリオンTW HD
キャスト性能(21g)22ジリオンTW HD
剛性感22ジリオンTW HD
巻物適正17スティーズA TW
ライントラブル耐性22ジリオンTW HD
コストメリット22ジリオンTW HD

これほどまでに新機種を褒めたたえるののも珍しいのですが、MAG-Z BOOSTスプールの恩恵でキャスト性能は従来のMAG-Zスプールである17スティーズA TWにあらゆる点で圧勝です。ライントラブルへの耐性も向上しています。剛性感や巻き心地においてもHYPER DRIVEデザインによる新構造のギアで22ジリオンTW HDが優位です。

ただし、この差はスプールの差でしか無いため、スプールさえMAG-Z BOOSTに交換すれば同等の性能となります。加えて22ジリオンTW HDにはローギアやノーマルギアのラインナップが無く、ハンドルも100mmと長すぎるため巻物には適しているとは言えません。もしローギアおよびノーマルギアが90mmハンドルで追加されれば高剛性のロープロ機としては最高の評価が得られるでしょうが、現状では17スティーズA TWの方が広い用途で使用可能です。17スティーズA TWの詳細は別の記事で紹介しております

まとめ

22ジリオンTW HD使用例2

今回紹介の22ジリオンTW HDは

MAG-Z BOOSTスプールで10g以上のキャストはトラブルも無く最高レベル

ブラスギアとアルミボディで非常に剛性感は高いがスティーズには巻き心地は劣る

100mmロングハンドルとハイギアのみの展開のため用途が限定される

となっており、剛性が高いリールが好きな方には最高の設定になっています。幅広い用途に適しているとは言えませんがビックベイト、カバー打ち、ヘビキャロでの使用を検討されている方にはお勧めの機種です。

ただ、個人的にはロングハンドルとブラスギアに拘らないのであれば、21ジリオンSV TWにMAG-Z BOOSTスプールの追加購入がお勧めです。来年以降に90mmハンドルでローギア、ノーマルギアが追加されれば17スティーズA TWを超える高剛性ベイトリールになると期待されます。

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