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重たく耐久性に優れたリールであったジリオンが、大幅な軽量化にて汎用機に生まれ変わりました。175gへの軽量化にて巻物から操作を伴うワームの釣りなど幅広い用途での使用が可能となっています。加えて進化したSV BOOSTスプールはSVスプールの難点であったキャスト後半の失速感とピッチングで浮きやすい点が解消されています。そのためキャストで使用したブレーキ設定のままピッチングも低弾道で決まります。
もちろんSVのトラブルレス性能は維持されており、ライントラブルが発生しやすいPEラインでの使用に特に有利です。そのためバス用途に限らすあらゆるルアーフィッシングで使いやすいリールとなっています。中価格帯にも関わらずドラグ音が搭載されていることもポイントです。今回は買って後悔する事の無い21ジリオンSV TWについて紹介します。
個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(5g) | ★☆☆☆☆ |
キャスト性能(7g) | ★★★☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★★★ |
キャスト性能(14g以上) | ★★★★★ |
剛性感 | ★★★☆☆ |
巻物適正 | ★★★★☆ |
ライントラブル耐性 | ★★★★★ |
コストメリット | ★★★★★ |
目次
21ジリオンSV TWの特性
外観も前回から大きく変わり銀一色となりました。個人的には非常に気に入っており、初代ジリオンを思い出すようなデザインです。シマノのメタニウムも意識しているかも知れません。
肉抜き無しのSV BOOSTスプール
スプールはダイワ標準の34mm径×24mm幅です。重量はSVブーストのパーツの影響か、通常のSVスプールと比較すると2gも重くなっています。
スプールの8~9割に収まるよう糸巻後のスプール重量を測定しました。フロロ12ポンド×80mで23.8g、高比重PE2号75m+フロロ14ポンド×20mでは21.1gといずれも10g前後のルアーをキャストしやすい重量です。
通常のSV BOOSTスプールより重い
なお21スティーズLTD SV TWやRCSBの別売りSV BOOSTスプールはでは13gと約0.4gの差があります。この差はスプール内側の肉抜きです。
右の21スティーズLTD SV TWやRCSBの別売りSV BOOSTスプールではスプール内側が肉抜きで軽量化されているのに対し、21ジリオンSV TWはコスト対策と上位機種との差別化のためか肉抜きがありません。そのため21ジリオンSV TWは僅かに軽量ルアーのキャスト性能が劣ります。
キャスト性能
キャスト性能は圧倒的に進化しており、SVでのバックラッシュの少なさを維持しつつもキャストの失速感とピッチングでの糸浮きを見事に解消しています。10g前後が最もキャストしやすく、軽量では7gがギリギリ対応可能、重量級では28gまでと守備範囲が異様に広い仕上がりです。21スティーズLTD SV TWの比較ではスプールが0.4gほど重いのですが、正直に言って差は感じません。
なお10g以下のキャスト性能向上にはスプール買い替えよりPE設定の方がお勧めです。PE設定はスプールを大幅に軽量化できるため7gのキャスト性能が向上しコスト削減にもつながります。SV BOOSTスプールはバックラッシュも少なくPEラインもトラブル無く仕様可能です。ベイトPEの詳細については別記事で紹介しております。
スプール互換性も豊富、交換でキャスト性能を簡単に調整可能
ダイワのベイトリールの長所は交換スプールが豊富な事です。21ジリオン SV TWはSV BOOSTという汎用性が非常に高いスプールが搭載されています。その一方で近距離特化ならSV BOOST 1000Sの浅溝スプール、遠投ならMAG-G BOOSTがより快適になります。スプールの交換だけでリール特性を大きく変えられるお手頃なチューニングです。なお各交換スプールの特徴は別記事で紹介しております。
SV BOOSTとSVの違い
SVスプールはバックラッシュの頻度が極端に減る反面、ブレーキが強くかかるためキャスト後半では失速する傾向にあり、ピッチングでは弾道が浮きやすい傾向がありました。SV BOOSTスプールではSVのデメリットが解消されておりキャストでも失速感は無く、ピッチングも低弾道で決まる上に、バックラッシュも抑えられています。
ただし、これは使用頻度の多いブレーキダイヤル7前後の設定での話です。SVではブレーキが効きすぎるため、ダイヤルをもっと弱め4~6で使用することも可能です。ただしキャスト直後のブレーキ力が不足するためサミングでの調整は必須の上級者向けセッティングとなります。
その一方、SV BOOSTはブレーキが効きすぎないため、SVであればダイヤル7固定が可能でしたが、SV BOOSTでは強風時などブレーキ設定を強める必要があります。
HYPERDRIVEデザインの剛性感と巻き心地
HYPER DRIVEデザイン以降はギアが△でなく凸の形状に代わっており、巻き心地が大きく向上しています。
ただ同じHYPER DRIVEデザインでも21スティーズLTD SV TWや21スティーズAⅡTWの方が巻き心地は上です。見た目では違いが分かりませんが実際に巻き比べると差を感じますので、恐らくパーツの精度と思われます
ダイワ特有のカチャカチャ音が無くなった
SV BOOSTスプールへの進化によりベアリングがバネで固定されるよう改良されました。これにより、ダイワ特有であった巻き取り時のカチャカチャ音が無くなりました。
バス以外にも対応可能なドラグ性能
21ジリオンはドラグ音が搭載されておりドラグを聞かせた魚とのファイトが対応しやすくなっています。このためジリオンはバスだけでなく、バスより引きの強いシーバスやクロダイなど幅広いルアーフィッシングに対応可能です。
必用十分な軽量化
21ジリオンSV TWは前作より大幅に軽量化され、175gとどんな用途にも使いやすい重量となっています。Mクラスのロッドには最適な重量ですが、MHでもワーム系の釣りであれば21ジリオンの軽さが生かされます。
メインフレームとサイドカップにはアルミを採用し剛性を高めていますが、一部にはプラスチックを導入することで軽量化につなげています。
ブレーキダイヤル位置変更でトラブル減少
前回までのジリオンではブレーキダイヤルが剥き出しであったため、移動時などに勝手にブレーキが変わっており、釣り場での一投目で大バックラッシュなどトラブルの元となっていました。
分解時にギアが取り出しやすい
左が21ジリオンSV TW、右が17スティーズA TWの比較です。旧型の17スティーズA TWはシャフトの窪みに上からハンドルで押さえつける構造になっているためシャフトが変形し、分解洗浄の際にシャフトの変形部分を削る必要があります。21アルファスSV TWなどのHYPERDRIVEデザイン以降の新型リールでは対策されておりシャフトの変形がなくギアが取り出しやすくなりました。
コストメリット
スプールこそスティーズより僅かに重いものの、その他はスティーズに並んだと言っても過言でないリールがスティーズの約半額で購入できます。むしろデザインの好みで、あえてジリオンを選ぶ人もいるかも知れません。スピニングは中価格帯とハイエンドで重量や剛性、ドラグ性能に大きな差がありますが、ベイトに関しては中価格帯で必用十分と私は感じています。
デメリット
何でも対応可能なリールであるためデメリットが殆ど無いリールですが、逆に言えば80点が多いリールの為、用途向けの特化リールには勝てません
オールラウンドのため特化リールには勝てない
例えば21アルファスとの比較では、ナロースプールによる近距離でのキャスト性能と小型化による操作性が高くワームやトップやジャークベイトでは21アルファスの方が優秀です。巻物では手元が安定するリョウガに劣り、遠投ではアンタレス、パンチングのような7フィート以上の剛竿には重いジリオンHDの方がバランスを取りやすいでしょう。
ハンドルとレベルワインダーには樹脂カラーのためベアリングに要交換
中価格帯リールの為仕方ないですが、樹脂カラーを使用している箇所がありベアリングへの交換をお勧めします。交換の個数はハンドル2点とウォームシャフト1点の計3点です。21ジリオンはレベルワインダーのギアボックス側まで分解の必要があるため慣れてないと少々面倒ですが、ベアリング購入と少しの手間でハイエンドに劣らない巻き心地に化けますので、必須と言えるチューニングです。ただ、手間で言えばアルファスはハンドルとレベルワインダーのブレーキダイヤル側だけで完了のため、21ジリオンの方が手間には間違いありません。
TWSがハードベイトの針に当たる
ダイワのTWS搭載機はライン放出口が上下に動くため、リールにフックを引っかけると針先が当たり傷やフックが鈍る原因になります。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで防止しています。
想定される釣り
ベイトで想定される釣りの全てに対応可能なリールです。ギア比もローギアからエクストラハイギアとあらゆる釣り方に対応しており、本当に欠点が無いリールです。特にローギアをラインナップは少なく、巻物好きの方には非常に重宝されるでしょう。一方、エクストラハイギアではハンドル一回転当たりの巻き取り量は20メタニウムを越え、34mmスプールでは最速のギア比です。
他のリールとの比較
20メタニウムとの比較
キャスト性能(5g) | 21ジリオン SV TW |
キャスト性能(7g) | 21ジリオン SV TW |
キャスト性能(10g) | 20メタニウム |
キャスト性能(14g) | 20メタニウム |
剛性感 | 20メタニウム |
巻物適正 | 21ジリオン SV TW |
ライントラブル耐性 | 21ジリオン SV TW |
コストメリット | 同等 |
20メタニウムも21ジリオン SV TWは汎用性に特化したリールであり幅広いルアーを扱えます。重量もリールのサイズ感も同等です。キャスト性能に関してはナロースプール搭載の20メタニウムが飛距離や伸び感の面では有利とは思いますがバックラッシュ抑制には技術が求められます。そのため7g以下の扱いやすさを含めたキャスト性能では21ジリオン SV TWが優位です。PEラインでもバックラッシュしにくくドラグ音も搭載されていることからバス以外の様々な魚種にも対応しやすい機種となっています。
その反面、20メタニウムはキャストの伸び感が良く10g以上のルアーであればバックラッシュも気にならなず快適に扱えます。コスト面でも圧倒的に有利で、剛性感も高くカバー打ちからバスを引きずりだす用途でも不安になりません。20メタニウムの詳細は別記事で紹介しております。。
21スティーズLTD SV TWとの比較
キャスト性能(5g) | 21スティーズLTD |
キャスト性能(7g) | 21スティーズLTD |
キャスト性能(10g) | 同等 |
キャスト性能(14g) | 同等 |
剛性感 | 21スティーズLTD |
巻物適正 | 21ジリオン SV TW |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 21ジリオン SV TW |
21ジリオンSV TWは重量が僅かに重い分、Mパワー以上のロッドや巻物の釣りでは安定感が得られます。ドラグ音も搭載されているためバスだけでなくチヌやシーバスなど幅広い用途に展開できるのもメリットです。価格もおよそ半額です。
その一方、21スティーズLTD SV TWはスプール内側には肉抜きによる軽量化がされていますが、重量差は0.3~0.4gのためキャスト性能に大きな差は有りません。それよりも大きいのか自重とリールの大きさです。21スティーズLTD SV TWの方が軽量かつサイズもコンパクトのため、ワーム系など繊細な操作が必要な釣りに適しています。フラッグシップだけあってギアの精度も高く剛性感も一段上です。21スティーズLTD SV TWの詳細は別記事で紹介しております。
21アルファスとの比較
21アルファスと21ジリオンは価格帯も異なりますが、一方でシマノのSLXやスコーピオンはタトゥーラと同等の価格帯のため比較対象が難しい存在です。個人的には21ジリオンの近距離特化機との認識のため、その比較を掲載します。
キャスト性能(5g) | 21アルファス |
キャスト性能(7g) | 21アルファス |
キャスト性能(10g) | 同等 |
キャスト性能(14g) | 21ジリオン |
剛性感 | 同等 |
巻物適正 | 21ジリオン |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 21アルファス |
21アルファスの性能は別記事に記載しており、非常に優秀で、コストメリットは最高クラスですが、あくまで近距離操作特化であり、汎用性は21ジリオンに間違いありません。21ジリオンは近距離から遠投、フィネスからパワーゲームまで何でも対応可能で、かつ、近距離の1012G1 SVからHLCスプールと様々なスプールとの互換性があり、用途に応じたカスタムも可能です。迷う場合には21ジリオンがお勧めですが、近距離の操作特化には21アルファスが最適でしょう。
まとめ
今回は21ジリオンSV TWを紹介しましたが、その性能は優秀で、
・どんな用途も対応可能な懐の深さも特化リールには劣る
・ただし数少ないローギア対応機で巻物にも対応
・エクストラハイギアは34mmリール内で最速巻き取り
と万能でもありながら、巻物や打ちモノへの特化も可能なリールとなっています。買って損はしないリールのため、参考になれば幸いです。