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デジタル制御ブレーキだけで無くスマホアプリ連動と今までのリールの常識を完全に打ち砕いたのが23IMZです。アプリによる飛距離計測機能は楽しいだけで無く一日のキャスト数や平均飛距離など自身の釣りの分析にも使えます。
デジタル制御のブレーキも優秀で特性の大きく異なる4つのブレーキモードにて、トラブルレスから飛距離重視まで釣り人ごとに最適な設定が選べます。リール自体としては剛性感や巻き心地も高く重量級ルアーを扱いやすいリールになっていますが、ブレーキ設定次第では7g前後のルアーまで何とか対応できます。
ただしリールの機能が余りにも多過ぎるため設定には慣れが必要です。飛距離の計測もスマホアプリの登録後で無ければ使用出来ず最初の設定が面倒となります。また価格も10万近くとベイトリールの中でもダントツの最高価格であり気になっても試せる方は少ないでしょう。ギア比も23年時点ではエクストラハイギアしか無く用途も限定されます。今後のラインナップ追加や下位機種への導入による改善が望まれます。
今回は価格が高過ぎるものの今までに無い機能を備えた23IMZについて紹介します。
個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(7g) | ★☆☆☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★☆☆ |
キャスト性能(14g) | ★★★★★ |
キャスト性能(21g以上) | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★★★★ |
剛性感 | ★★★★★ |
巻物適正 | ★★★☆☆ |
コストメリット | ☆☆☆☆☆ |
目次
23 IM Z LIMITBREAKER TW HD-Cの特性
リョウガやスティーズと同様のハイエンドの黒い外装です。
サイドプレートの内側には電子基板が搭載されています。
スプール
38mm径×24mm幅スプールと通常幅ではあるものの超大口径のスプールになっています。特にスプール径については遠投径リールで導入されることの多い36mm径よりも更に大きく、通常の34mm径が小口径に見えるほどです。
ただスプール径は大きくても幅は通常の24mmです。
スプール重量は38mm径としては軽量の15.3gです。DCユニット込みとは言え同じ38mm径の20カルカッタコンクエストDC201との比較でも3g近く軽量です。
糸巻後の重量ではフロロ16ポンド×110mで32.9g、高比重PE2号×120+フロロ14ポンド×20mでで25.9gとなります。
INTELLIGENT MAGFORCEのキャスト性能
23IMZのキャスト性能は遠投性能も高く、フロロ設定でも軽量ルアーでのキャストの下限では7gまでキャスト可能です。ただ快適にキャスト出来るか否かはフロロやナイロン、PEなど糸の種類に関わらずブレーキ設定に大きく依存します。各ブレーキの比較はアプリ内の比較表が分かりやすいので引用します。詳細は以下の通りです。
スタンダード設定
青のランプがスタンダード設定であり、迷った際にはとりあえずスタンダード設定がお勧めです。どんなキャストでもバックラッシュしにくく適度に飛距離も伸びます。シマノのDC機のようにトラブルレスのキャスト性能となっており近距離のキャストを繰り返す釣りに向いています。
PE/BRAID設定
逆に全くお勧めできないのが黄色のPE/BRAID設定です。PEをスプールに巻く際に選びたくなる設定ですがキャスト直後のブレーキが弱すぎるためブレーキ目盛を最強まで上げないと使い物になりません。一瞬でもスプールから糸が浮くと、直ぐさまカックンとバックラッシュするPEとの相性は最悪のブレーキ設定です。キャスト後半でも糸が浮きやすく、常に糸浮きの恐怖を感じる設定のため個人的には全くお勧めできません。参考までに高比重PEだけでなく普通のPEを巻いてもテストしましたが結果は同じでした。
ロングキャスト設定
遠投だけでなくPEをスプールに巻いた際にもお勧めなのが紫のロングキャスト設定です。名前からバックラッシュと隣り合わせのピーキー設定にしか見えませんが、かなり汎用性の高いブレーキです。キャスト直後のブレーキがPE/BRAID設定よりも強くPEやフロロと糸を問わずキャスト初期のバックラッシュを防いでくれます。遠投では少々力んだキャストをしがちですが、ストレスなく扱えます。またキャスト後半の伸びも素晴らしく飛距離を伸ばしてくれます。
MAXブレーキ設定
緑のランプはMAXブレーキですが、これもお勧めできない設定です。キャスト直後から後半まで最大級にブレーキが効き続けるため全く飛距離が伸びません。飛距離を伸ばそうとブレーキを緩めるとキャスト直後のブレーキが足りずバックラッシュが多発します。バックラッシュしやすいルアーや状況でもスタンダード設定にてブレーキ目盛りを上げた方が使いやすいと思います。
キャスト可能なルアー
重いルアーに相性のよい大口径スプールにより14g以上のルアーのキャストは非常に快適です。
飛距離の伸びやすいバイブレーションだけでなく、空気抵抗の大きなスピナーベイトも快適にキャストできます。ただ意外にも軽量ルアーもキャスト可能です。スタンダードやロングキャスト設定ではバックラッシュが大きく抑えられるため以外にストレスなく扱えます。ただフロロのみの糸巻設定ではスプール重量が重くなりすぎるため10g以下のキャストには適していません。
フロロ通しの設定ではスプール重量が重すぎてキャストがもたつくため軽量ルアーにはPE設定がお勧めです。ベイトPEの詳細は別記事で紹介しております。
ブレーキ設定による飛距離の比較
アプリ内では飛距離の測定機能があるため各ブレーキの遠投性能を比較しました。
キャストに使用したのはTNトリゴン70です。上手な方なら、もっと飛距離を上げられるのでしょうが、私レベルでは最長でも64m程度でした。なお、同じルアーをキャストしているにも関わらずブレーキ設定によって飛距離が大きく異なります。ブレーキ設定ではロングキャストが最も飛距離が伸びやすく、続いてPE/BRAID、スタンダード、MAXブレーキと続きます。ですがPE/BRAID設定はバックラッシュしやすく推奨は出来ません。またMAXブレーキ設定も飛距離が大きく落ちます。
圧倒的な剛性感と巻き心地
HYPER DRIVEデザイン以降はギアが凸の形状に代わっており、17スティーズA TWのような△形状のギアに比べ巻き心地が大きく向上しています。高耐久のリールには逆に珍しいジュラルミンのギアとなっておりブラス素材ではありませんが、特に悪影響は感じません。
ダイワ特有のカチャカチャ音は無い
SSV BOOSTスプール搭載の21スティーズリミテッドやジリオンはギアボックス側のベアリングに固定バネが付いており、ダイワ特有のカチャカチャ音対策がされています。23IMZのスプールには残念ながら対策がありませんがベアリング自体が動きにくくカチャカチャ音は気になりません。
ドラグ性能が極めて高い
23IMZはベイトリールとしては珍しい多層ドラグとなっており、ドラグ耐久力が高いだけでなく個人的にはドラグが滑りにくいと感じます。ベイトリールのドラグは糸が出だすとドラグが滑って制御が効かなくなることが多いのですが、多層ドラグを採用した23IMZはジリジリとスピニングに近い感覚でドラグが出ます。
またドラグを効かせながらのファイトに欠かせないのがドラグ音ですが、しっかりとドラグ音も備わっています。大物とのファイトも安心して対応可能です。
頼もしい重量
170g台が標準となりつつあるベイトリールの中で250近い重量ですが、逆に大物狙いのパワーロッドでは重心が手元になるため、巻きが非常に安定します。
デカ過ぎるサイズ
23IMZのサイズは非常に大きく20ジリオンSV TWと比べても1回りどころか2回りほど大きなサイズです。そのためワームなど操作系の釣りには全く向いていません。
勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル
サイドカバー内に設定されたブレーキダイヤルは勝手に目盛りが変わることがありません。釣り場に着いた一投目でブレーキ設定が変わっておりバックラッシュといったトラブルを防いでくれます。
分解時にギアが取り出しやすい
左が23IMZ、右が17スティーズA TWの比較です。旧型の17スティーズA TWはシャフトの窪みに上からハンドルで押さえつける構造になっているためシャフトが変形し、分解洗浄の際にシャフトの変形部分を削る必要があります。HYPERDRIVEデザイン以降の新型リールでは対策されておりシャフトの変形がなくギアが取り出しやすくなりました。
いくら何でも高すぎる価格
デジタル制御に加えアプリ連動と今までに無い機能を搭載した機種ではありますが、およそ10万近くする価格は高過ぎます。開発費用込みの価格とは思うので、今後、汎用価格帯への導入が望まれます。
デメリット
エクストラハイギアしかない
現時点では23IMZはエクストラハイギアしかラインナップになく、バスではビックベイトかヘビキャロ以外では使い道がありません。ソルトには対応幅が多いのでしょうが、ギア比の拡充が望まれます。
メインギア固定ゴムが分解のたびに破損する
自分で分解洗浄する方にしか問題にはなりませんが、メインギアをシャフトから外す際、必ず固定のゴムパッキンが破損します。
対策のためメインギアを外す前、必ずドラグから外す必要があります。が、非常に面倒な作業です。
TWSがハードベイトの針に当たる
ダイワのTWS搭載機はライン放出口が上下に動くため、リールにフックを引っかけると針先が当たり傷やフックが鈍る原因になります。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで防止しています。
他のリールとの比較
23アンタレスDC MDとの比較
キャスト性能(7g) | 23IMZ |
キャスト性能(10g) | 23IMZ |
キャスト性能(14g) | 23IMZ |
キャスト性能(21g以上) | 23IMZ |
ライントラブル耐性 | 23IMZ |
剛性感 | 23アンタレスDCMD |
巻物適正 | 23アンタレスDCMD |
コストメリット | 23アンタレスDCMD |
共に38mm大口径の23アンタレスDC MDとの比較です。どちらもデジタル制御のブレーキ搭載で僅差ではありますが飛距離に関してはTWSを搭載した23IMZの方が上です。ブレーキ設定にもよりますが、バックラッシュも23IMZの方が抑えられています。
一方で23アンタレスDC MDは剛性感が非常に高く安定した巻きが特徴です。23アンタレスDC MDの詳細は別記事で紹介しております。
20カルカッタコンクエストDC200/201との比較
キャスト性能(7g) | 23IMZ |
キャスト性能(10g) | 23IMZ |
キャスト性能(14g) | 23IMZ |
キャスト性能(21g以上) | 23IMZ |
ライントラブル耐性 | 23IMZ |
剛性感 | 20カルコンDC200 |
巻物適正 | 20カルコンDC200 |
コストメリット | 20カルコンDC200 |
38mm大口径の20カルカッタコンクエストDC200/201との比較です。飛距離やライントラブル耐性については23アンタレスDC MDと同様に23IMZの方が上と感じます。また20カルカッタコンクエストDC200/201の方が23IMZや23アンタレスDC MDより更に飛距離が出にくくバックラッシュも多い気がします。
一方で20カルカッタコンクエストDC200/201は剛性感が非常に高く安定した巻きが特徴です。23IMZより若干バックラッシュしやすい傾向にありますがブレーキ設定次第では十分に抑えられます。20カルカッタコンクエストDC200/201の詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介の23IMZは
・アプリ連動で今までに無い楽しめるリール
・剛性感やキャスト性能は極めて高い
・アプリやブレーキ設定が非常に面倒
と実釣性能も高く楽しめるリールでもありますが、その反面、機能が多すぎて慣れるまでは設定が煩雑です。この機能が汎用価格帯のリールまで普及すれば解消されるとは思いますので、今後の追加ラインナップに期待されます。