【23スティーズAⅡ TW インプレ】剛性感と浅溝MAG-Z BOOSTによる飛距離とトラブルレス性の進化

23スティーズAⅡ TWの使用例

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高剛性ロープロ機の元祖である17スティーズA TWが23スティーズAⅡTWとしてリニューアルされました。見た目には色の違いしかありませんが、内部機構が劇的に進化しています。スプールにはMAG-Z BOOSTの機構が搭載され、従来よりキャスト感が向上しています。ここまでは22ジリオンTW HDと同じですが、23スティーズAⅡTWは16ポンド×90m糸巻量の浅溝スプールとなっています。このため22ジリオンTW HDでは難しい10g以下でもキャストしやすくなっていますが、反面ブレーキ設定がピーキーです。そのため浅溝になったとは言え、キャストしやすいのは14g前後と22ジリオンTW HDと変わりません。

またギアがハイパードライブデザインに変更されたことで巻き心地は大きく進化しダイワのベイトリールでは最高レベルになってています。ノーマルからエクストラハイギアまでラインナップにより、巻物から打ちモノとどんな用途にも使用可能です。今回は10g以上、特に14g前後の重量級ルアーを幅広く扱える23スティーズAⅡTWについて紹介します。

個人的な評価は以下の通りです

★5が満点
キャスト性能(7g)★★☆☆☆
キャスト性能(10g)★★★★☆
キャスト性能(14g)★★★★★
キャスト性能(21g以上)★★★★★
ライントラブル耐性★★☆☆☆
剛性感★★★★☆
巻物適正★★★★★
コストメリット★★☆☆☆

23スティーズAⅡTWの特性

外観

23スティーズAⅡ TWの箱出し

メーカーWEBサイトでは青み掛かった外観ですが、現物はグレーに近く光の当たり方次第では若干青みが入った色になります。

ちなみにですが、21スティーズA TW HLCは紺色、17スティーズA TWはグレーに近い色合いとなっています。

浅溝MAG-Zスプール

23スティーズA II TWの注目点でもあるMAG-Z BOOSTスプールは標準の34mm径×24mm幅ですが、ブレーキが2段式になっており、白いワッシャーを挟んでバネが2つ搭載されています。これによりキャスト直後と後半でブレーキが変化し、より飛距離が伸びるよう工夫されています。

その反面BOOSTの機構でスプールは重くなっていますが、これを浅溝化することでスプールの軽量化に繋げています。従来のMAG-Zスプールの重量は13.7gですが、フロロ16ポンド×90mの糸巻後は27.1gとなります。

23スティーズAⅡTWはスプール単体の重量が16.0gと従来のMAG-Zスプールより重くなっています。ただし糸巻量が少なくなっているため、糸巻後の重量はフロロ14ポンドでは80mで27.6gと通常のMAG-Zスプールにフロロ16ポンド×90m巻いた条件と同じ重量になっています。

比較対象として同じMAG-Z BOOOSTの22ジリオンTW HDの糸巻前後のスプール重量を載せます。糸巻前は22ジリオンTW HDの方が軽いのですが、適正量まで糸を巻くと良が多くなるため23スティーズAⅡTWの方が結果として軽量化されています。

SV BOOSTやMAG-Zより更に伸びのあるキャスト性

23スティーズAⅡ TWのキャスト性能

MAG-Z BOOOSTの2段階ブレーキは遠投との相性は抜群でTNトリゴン70の遠投ではスプールから糸が無くなる程の飛距離がでました。キャスト後半の伸び感は爽快で円心ブレーキのような感覚です。

この2段階ブレーキは飛距離だけでなくバックラッシュ抑制にも貢献しています。爆風の条件で空気抵抗の大きなフルサイズのスピナーベイトを投げてもノーサミングでキャスト可能でした。ただし、これは14g以上か空気抵抗の小さなルアーに限った話です。

浅溝MAG-Z BOOSTの効果を全く感じないピーキー設定

同じMAG-Z BOOSTスプールでも22ジリオンTW HDでは10g前後のルアーも快適にキャストできましたが、23スティーズA II TWではバックラッシュが頻発します。特に10g前後の空気抵抗の大きなルアーで顕著であり22ジリオンTW HDよりブレーキを2~3目盛りあげないと使い物になりません。個人的には何のための浅溝化、スプール軽量化だったのか理解しかねるレベルです。ピッチングなど近距離打ちモノには最適な設定ですが、キャストには相当なサミング技術が求められる仕様となっています。

PE設定なら10gキャストも快適に

なおMAG-Z BOOSTで10g前後のルアーを快適に扱いたい場合には20mフロロリーダー+PEセッティングがお勧めです。近距離キャストで使用する部分は全てフロロの使用感にも関わらずスプールが劇的に軽量化できるためです。写真ではフロロ14ポンド×20m+高比重PE2号×75mの例ですが、フロロ単体より4gも軽量化できています。

そのためPE設定であれば空気抵抗の大きな10g前後のルアーもノーサミングでキャストできます。ベイトPEの詳細については別記事で紹介しております。

スプール互換性も豊富、交換で7gルアーもキャスト可能に

RCSB 1000スプール

ダイワの34mm径ベイトリールはスプールが共通のため、スプール交換により操作感を変えずキャスト性能を大きく変えることができます。MAG-Z BOOSTは14g前後のキャストに最適なスプールですが近距離キャストには適していません近距離キャストが中心であればSV BOOSTやSV BOOSTシャロースプールの方が圧倒的に有利です。交換スプールに関しては別の記事で紹介しております。

HYPERDRIVEデザインの剛性感と巻き心地

HYPER DRIVEデザイン以降はギアが凸の形状に代わっており、17スティーズA TWのような△形状のギアに比べ巻き心地が大きく向上しています。23スティーズAⅡTWにはブラスギアが搭載されるかと思いましたが、21スティーズA TW HLCと同じくジュラルミン製となっています。

21ジリオンSV TWや22ジリオン TW HDでも同様のギアが使用されていますが巻き心地に関しては23スティーズAⅡTWには及びません。見た目では違いが分かりませんが実際に巻き比べると差を感じますので、恐らくパーツの精度と思われます。

バス以外にも対応可能なドラグ性能

23スティーズAⅡ TWのドラグ音

23スティーズAⅡTWはドラグ音が搭載されておりドラグを効かせた魚とのファイトが容易です。このためバスだけでなく、バスより引きの強いシーバスやチヌなど幅広いルアーフィッシングに対応可能です。

勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル

ダイワの旧型ベイトリールではブレーキダイヤルが剥き出しであったため、移動時などに勝手にブレーキが変わっており、釣り場での一投目で大バックラッシュなどトラブルの元となっていました。ただスティーズだけは独自の設計になっており、これまでダイヤルが勝手に変わるトラブルは一度も発生していません。

最近の21ジリオンSV TWや21アルファスSV TWなどではダイヤル位置がリール下部に変更され対策されていますが、これでも稀に発生します。この点に関してはスティーズが満点です。

コンパクトで握りやすいボディ

23スティーズAⅡ TWのボディサイズ

スティーズのボディは重量の割に非常にコンパクトなためワームなど操作が伴う釣りでも扱いやすくなっています。同じ34mm径でも21ジリオンSV TWより一回り小さく、32mm径の21アルファスSV TWと変わらない大きさです。加えて重心が手元に集中しやすいため巻物の釣りでもロッドがぶれにくく、あらゆる面でメリットしかありません。

ロッド取り付け時でもサイドカバーが開く

23スティーズAⅡ TWのサイドカバー

前作の17スティーズA TWで問題になっていた「ロッド取り付け時にサイドカバーが開かない」件ですが、なぜか解消されています。材質を高強度のジュラルミンに変更したのか理由は全く不明ですが、ユーザーとしては非常にありがたい点です。

滑りにくいが前作より華奢なハンドルノブ

23スティーズAⅡ TWのグリップ
左からスティーズLTD SV TW, 23スティーズAⅡ TW, 17スティーズA TW

重たいルアーの使用が前提のためか、21スティーズLTD SV TWや21ジリオンSV TWで使用されているグリップより大きなハンドルノブが搭載されています。このため多少はすっぽ抜けが防止さてれていますが、個人的には前作の17スティーズA TWのハンドルノブの方が優れていると感じます。

コスパはスティーズの中ではNo.1

販売価格が非常に高いハイエンドのスティーズですが、その中でも23スティーズAⅡTWはコストメリットに最も優れています。スティーズの中で最も巻き心地が良い番手でもあるため、スティーズを試してみたいという方にもお勧めできます。

デメリット

分解時にギアが取り出しにくい

シャフトの窪みに上からハンドルで押さえつける構造になっていたため必ずシャフトが変形し、分解洗浄の際に変形部分を削る必要がありました。同じHYPERDRIVEデザイン21ジリオンでは対策されていますが、23スティーズAⅡTWはリメイクの為か未対応となっています。

ダイワ特有のカチャカチャ音は健在

SV BOOSTスプール搭載の21スティーズリミテッドやジリオンはギアボックス側のベアリングに固定バネが付いており、ダイワ特有のカチャカチャ音対策がされていますが、23スティーズAⅡTWのMAG-Z BOOSTスプールについてはバネが無くカチャカチャ鳴ります。剛性感が非常に高いだけに惜しい点です

ハンドルは樹脂カラーのためベアリングに要交換

23スティーズAⅡ TWのハンドルベアリング追加

ここまでの価格帯であればハンドルノブもベアリングにすべきと思うのですが、各ハンドル内部の片方は樹脂カラーのため2ヶ所ベアリングへの交換がお勧めです。ベアリング購入と少しの手間でハイエンドに劣らない巻き心地に化けます。

TWSがハードベイトの針に当たる

ダイワのTWS搭載機はライン放出口が上下に動くため、リールにフックを引っかけると針先が当たり傷やフックが鈍る原因になります。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで防止しています。

他のリールとの比較

22ジリオンTW HDとの比較

22ジリオンTW HD使用例
キャスト性能(7g)23スティーズAⅡTW
キャスト性能(10g)23スティーズAⅡTW
キャスト性能(14g)同等
キャスト性能(21g以上)同等
ライントラブル耐性同等
剛性感23スティーズAⅡTW
巻物適正23スティーズAⅡTW
コストメリット22ジリオンTW HD

共にMAG-Z BOOSTスプールが搭載された高剛性のリールですが、23スティーズAⅡTWの方がスプールの糸巻き量が少ない分、10g以下のキャスト性能では優位となっています。また23スティーズAⅡTWは90mmハンドルに加えノーマルからエクストラハイギアまでラインナップがあり、フラッグシップだけあり巻き心地も一段上です。迷った場合には23スティーズAⅡTWとなります。

その反面、22ジリオンTW HDは特化機であり、ハイギアとエクストラハイギアしかラインナップになく、ハンドルも100mmしかありません。そのため汎用性は有りませんが、ビックベイトやウィードエリアでのパンチングなどパワーが特に求められる釣りへの相性は抜群です。22ジリオンTW HDの詳細は別の記事で紹介しております。

19アンタレスとの比較

19アンタレス
キャスト性能(7g)19アンタレス
キャスト性能(10g)19アンタレス
キャスト性能(14g)同等
キャスト性能(21g以上)23スティーズAⅡTW
剛性感19アンタレス
巻物適正23スティーズAⅡTW
ライントラブル耐性23スティーズAⅡTW
コストメリット同等

23スティーズAⅡTWが高剛性の中でも幅広い用途に対応しているのに対し、19アンタレスは近距離と10g以下の軽量スアーに適しています。近距離特化の19アンタレスに対し23スティーズAⅡTWは遠投性や巻物適正に優れていますがライントラブル耐性に関してはピーキーな設定のため遠投と同等です。その反面、10g以下のキャスト性能では19アンタレスには及ばす、剛性感についてもシマノリールには及びません。19アンタレスの詳細は別記事で紹介しております。

22バンタムとの比較

22バンタムの使用例4
キャスト性能(7g)23スティーズAⅡTW
キャスト性能(10g)23スティーズAⅡTW
キャスト性能(14g)同等
キャスト性能(21g以上)22バンタム
ライントラブル耐性23スティーズAⅡTW
剛性感22バンタム
巻物適正22バンタム
コストメリット22バンタム

共に高剛性ジャンルのリールですが、23スティーズAⅡTWはより幅広いルアーをキャスト可能で巻物から打ちモノと用途を選びません。バックラッシュしにくいのも特徴となっています。

一方22バンタムは遠投に適しており、21g以上の重いルアーを遠くに飛ばすことが可能です。シマノならではの剛性感でビックベイトやパンチングなどリールへの負荷が大きい釣りには抜群の性能を発揮します。22バンタムの詳細は別記事で紹介しております

まとめ

23スティーズAⅡ TWの使用例3

今回紹介の23スティーズAⅡTWは

MAG-Z BOOSTスプールにより遠投性とキャスト感の進化

巻物から打ちモノまで幅広い用途に対応可能

ブレーキ設定がピーキーで10g以下はキャストしにくい

となっており、メーカーWEBサイトでは浅溝化による劇的な進化を謳っていますが、使いやすいのは14g前後のルアーとなっています。10g前後のルアーについては21スティーズLTD SV TWに劣りますが、その反面、重量級ルアーに使用感は最高です。カバー打ちから巻物、ビックベイトやヘビキャロと幅広く扱える超優等生であり、重めのルアーを中心に扱う方にお勧めなリールです。

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