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超低速のローター上下動による密巻きが導入され22ステラが進化しました。密巻きの効果は絶大で従来こんなにライン抵抗があったのかと実感するほど無重力のキャスト感を味わえます。ドラグ性能も進化しており特にドラグの初動が出やすくなっています。密巻きは巻き感にも影響しており、ローターの上下動が遅くなったことで巻き取り時のブレも小さくなっています。なお密巻きによって懸念されていたライントラブルは全く感じません。キャスト時のフェザリングと巻き始めにテンションさえかけていればバックラッシュは一度も発生していません。
ただしリール自身は高剛性で重量も重いため一般的なバス向けの用途には向いていません。スピニングでのカバー打ちか巻物専用、またロングスピニングなど用途は限られます。反面、ロングスピニングであればタックル1セットのみでバスだけでなく様々な魚種に対応可能です。今回はバス相手には必要以上の性能を持った22ステラについて紹介します。
22ステラの個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
重量の軽さ | ★☆☆☆☆ |
巻きの軽さ | ★★☆☆☆ |
剛性感 | ★★★★★ |
ドラグ性能 | ★★★★☆ |
ライントラブル耐性 | ★★★★☆ |
コストメリット | ☆☆☆☆☆ |
目次
22ステラの特性
シマノのフラッグシップ機とだけあってツインパワーやヴァンキッシュとは全く違う高級感のあるケースとなっています。若干取り出しにくいですがハイエンドのため我慢ができます。ケース内には専用のカバーも付属しています。
密巻きによるキャスト感の向上
22ステラの最大の特徴である密巻きですが、19ヴァンキッシュとの比較では3~4倍は密にスプールに糸が巻かれています。そのためラインが互いに重なりにくくスプールから出る際の抵抗が格段に減りました。
この効果はキャストを1投するだけでも感じられ、まるで無重力かのようなキャスト感を味わえます。スプール内のライン同士の摩擦がこれほど大きかったのかと体感できます。なお飛距離に関しては若干伸びている気はするものの誤差範囲でした。
密巻きによるドラグ性能の向上
密巻きによるライン放出性能の改善はドラグ性能にも影響しており、特にドラグ初動が良くなっています。
ラインが1秒で30cm出る設定でドラグを800gに設定し、そこから低速 (10cm/s)と高速(90cm/s)でのドラグ値を10回以上計測し、おおよその平均値を記載しました。手作業のためブレが非常に大きい実験ではありますが、結果は以下の通りです。
ドラグ速度 | 22 ステラ | 19 ヴァンキ | 22 イグジスト |
スプール径 | 47φ | 47φ | 48φ |
低速(10cm/s) | 600g | 700g | 500g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 1000g | 1,000g | 900g |
19ヴァンキ:19ヴァンキッシュC3000SDH
22イグジスト:22イグジストLT3000S
シマノのスピニングリールはダイワに比べドラグ初動が悪く、低速ではドラグが出にくく高速域で出やすい傾向がありました。そのため19ヴァンキッシュなどではドラグを弱めに設定するか、フッキング後に緩めることが多くなります。しかし22ステラではライン同士の摩擦抵抗が軽減されたため、低速での出だしが劇的に改善されています。
密巻きで無い場合のドラグ値は?
密巻きの効果を検証するためステラのスプールを19ヴァンキッシュに搭載しドラグテストを行いました。もちろんラインは全て巻き直し、密巻きでない従来の状態にしています。
ドラグ速度 | 22 ステラ* | 19 ヴァンキ | 22 ステラ |
スプール径 | 47φ | 47φ | 47φ |
低速(10cm/s) | 700g | 700g | 600g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 1,000g | 1,000g | 1,000g |
19VANQ:19ヴァンキッシュC3000SDH
22ステラ:22ステラC3000SDH
結果としては低速でのドラグ性能が悪化し19ヴァンキッシュと同等の数値になりました。反面、高速ではドラグ値が下がっているため、密巻きは特に低速域にて効果が有るのだと思われます。
重量の重さ
22ステラは剛性を売りにしている機種のためC3000番の2500番ボディでも210gと重ためです。近年のバス向けスピニングでは150~180gに比べ非常に重たく、バスでのライトリグに向いているとは言えません。 ただ近年ラインナップが増えているパワーフィネスやロングスピニングへの相性は抜群です。
ハンドルも重量級
ステラやツインパワーなど剛性感を売りにした機種はハンドルも重量級です。19ヴァンキッシュのカーボンハンドルとの比較では分かりにくいため、ダイワの20ルビアスと比較しましたが6gも重くハンドルにまで剛性感があふれています。
意外に軽い巻き心地も回り出すと止まらない
金属ローターのため重い巻き心地が想像される22ステラですが、以外に巻き出しは軽快です。19ヴァンキッシュなどカーボン樹脂ローターには劣りますが、ライトリグでも気にならないほど巻き出しが軽く感じます。また巻き心地は最高レベルであり、19ヴァンキッシュのようなスカスカの巻き感とは異なり高級感を感じます。
ただし金属ローターは回り出すと止まらないためか、止める際に少々力が必要となります。このため巻く、止めるを繰り返すライトリグの様な釣りには19ヴァンキッシュが適しています。
ローター上下動が遅いためブレが少ない
密巻きの副次的な効果として巻き取り時にリールやロッドがブレない事が挙げられます。ローターの上下動が遅いためロッド先端がブレにくく安定した巻取りが可能です。
全く「たわみ」のない金属ローター
19ヴァンキッシュのような樹脂ローターでは指で左右から押さえると「たわみ」を感じるのですが、22ステラの金属ローターでは全く「たわみ」を感じません。ローター剛性はドラグ性能に直結するため、良型とのファイトも安心の剛性感です。
スプールに糸絡みしにくい
フロロのロングリーダー設定ではスプールからリーダーが爆発することが多々ありますが、シマノの糸絡み防止は非常に優秀です。写真の通り大きなストッパーがついているため、一度もシャフトに糸が絡んだことがありません。
ダイワにおいては23エアリティなど22イグジスト以降の機種のみ対策されていますが、それでもスプールとの隙間は広めで完全ではありません。
ローターにも糸絡みしにくい
シマノではベールを起こした際のローター回転防止パーツが完全に覆われているため、ラインが絡まる心配がありません。元々優秀な構造ではありましたが22ステラでは更に改良されており、写真でも該当のパーツが見えないほど上手く配置されています。
ダイワでは22イグジスト以降の機種しか対応できておらず、21ルビアスエアリティなど他の機種ではローター外に露出しているためラインがひっかることがあります。
ライントラブル防止のローターフィン
密巻きでの最大の懸念となっていたのがバックラッシュなどライントラブルですが個人的には全く問題になっていません。新しく設置されたローターのフィンがスプールに適度に「張り」を保って糸を巻き取るため常にスプールの糸が均一になるためです。19ヴァンキッシュとの比較でもラインローラー部が非常に小さくなっており、糸が緩み難い構造となっています。
ただしライトリグなど糸フケの多い釣りではスプールに巻かれる糸が若干緩みやすいと感じます。何投かに一回は遠投しラインを綺麗に整えた方がトラブルを防ぎやすいと感じます。
簡単には買えない価格
ここまで利点ばかりを述べてきましたが問題は価格です。コストメリットはゼロですが、その代わりに中価格では味わえない使用感を味わえます。
デメリット
硬いラインではバックラッシュに注意
ミドストなどラインスラックを多用する釣りで検証してみましたが、硬いラインでは22ステラは糸が緩みやすい傾向にあります。写真ではポッパーでの例ですが、スラックを回収しながらアクションしてるだけで糸が緩んでいます。硬いラインでは普通のリールでも発生しやすい糸フケですが22ステラでは特に注意が必要です。ミドストやノーシンカーの釣りでは何投かに1回は糸フケを直す必要があります。
グリップが滑る
シマノのC3000番以下のスピニングでは扇型のグリップが共用で導入されていますが22ステラに関しては専用のグリップとなっています。この専用グリップですが表面のザラザラ加工はあるものの、赤丸部分に凹凸やくびれ部分が無いため滑ります。個人的には写真右側の19ヴァンキッシュや20ツインパワーで共用のグリップの方が実用的と感じます。
重量と巻きの重さ
まず重量は非常に重たいため一般的なバス向けのスピニングロッドには重すぎて操作性が失われます。加えて巻き出すと止まらない重厚なローターが捜査感にも悪影響します。その反面、スピニングでの巻物やパワーが求められる用途には最高の実力を発揮します。
高すぎる
性能は非常に高いのですが余りに効果なためお試しでも購入出来ない価格です。ですが、使用感はフラッグシップならではの高級感にあふれています。バスだけでなく様々な魚種の釣りを想定されている場合には一度は使用して頂きたい一台です。
あると便利なスタンド
スピニングリール全般に当てはまる件ですが、スプールに傷が入るとキャストの度にラインに傷がつくため致命傷となります。普段は直置きについて注意していても、良型が釣れた際にはタックルと合わせて写真を撮ることも多いでしょう。ただ、このタイミングが最も危険で魚が暴れ一瞬でリールが傷物になります。
多少の重量増にはなりますが、私はリールスタンドを使用しており、これでリールが直に地面に触れる可能性は無くなります。フックキーパーも付属しており、ニッパーで切って改造すればオフセットフックやシンカーも対応可能です。
他のリールとの比較
22イグジストとの比較
バス向けのスピニングリールは自重の軽さや巻きの軽さが最優先されるため22イグジストが圧勝の比較表ですが、22ステラが劣っている訳ではありません。
重量の軽さ | 22イグジスト |
巻きの軽さ | 22イグジスト |
剛性感 | 22ステラ |
ドラグ性能 | 22イグジスト |
ライントラブル耐性 | 22イグジスト |
コストメリット | 同等 |
そもそも22イグジストは軽量、22ステラは重厚感とコンセプトが異なるリールです。一般にシマノリールは剛性が高い傾向ですが、モノコックボディ以降のダイワスピニングは剛性感が非常に上がっています。22イグジストも極めて剛性感が高くほぼ同等と感じますが金属ローターの分で僅かに22ステラが上に感じます。
反面、22イグジストは重量が軽く巻き出しも軽快なため十分な剛性感がありながらも巻く、止めるを繰り返す釣りに適しています。マグシールドの巻き重りが低速で巻き続ける釣りには悪影響しますがドラグの初動も22ステラを上回っており細い糸でも安心です。22イグジストの詳細は別記事で紹介しております。
20ツインパワーとの比較
重量の軽さ | 同等 |
巻きの軽さ | 同等 |
剛性感 | 22ステラ |
ドラグ性能 | 22ステラ |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 20ツインパワー |
同じ高剛性のスピニングですが22ステラは20ツインパワーの倍以上の価格のためギアの精度も高く剛性感は22ステラの圧勝です。密巻きによりドラグ性能も飛躍的に向上しており、巻き取り時のブレも非常に小さくなっています。キャスト感に関しても22ステラの圧勝です。
ですが実釣性能に関してはドラグ性能を除き20ツインパワーと大差ないと感じています。20ツインパワーも剛性感が非常に高く巻き出しの軽さも22ステラと大差は有りません。ドラグ性能こそ現時点では22ステラに劣っていますが、同じ密巻き構造さえ採用されれば同等の性能が期待されます。3万前後の価格帯では極めて優秀で4~5万クラスと同等の性能に仕上がっています。20ツインパワーの詳細については別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介した22ステラは
・フラッグシップにふさわしい巻き心地と剛性感
・密巻きによりドラグ性能とキャスト感が圧倒的に進化
となっており、正直に言ってバス相手では必要以上の性能となっています。そのため剛性が求められる釣りや他魚種との併用と考えている方にお勧めの一台です。