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スティーズA TWの発表から翌年のバンタムMGLと小型かつ高剛性のジャンルが非常に盛り上がる中、19アンタレスの登場は衝撃でした。特にナロースプールが搭載された19アンタレスは圧倒的な剛性感の高さに加え近距離キャストが非常に快適となっています。遠投や太糸にしか対応できていなかった従来の高剛性リールには無い特徴であり、特にボートから近距離をテンポ良く巻物を投げ続ける釣りに適しています。
反面ナロースプールによるスプール目減りが大きいため遠投直後と回収間際ではハンドル一回転当たりの巻き速度が大きく異なります。ワームの釣りには影響は少ないですが、20m以上遠投して一定層を狙う巻物には適していません。遠投後の使いやすさは犠牲となったものの、高剛性リールには無い近距離キャスト性能を持った19アンタレスについて紹介します。
個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(5g) | ★☆☆☆☆ |
キャスト性能(7g) | ★★★☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★★★ |
キャスト性能(14g) | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★☆☆☆ |
剛性感 | ★★★★★ |
巻物適正 | ★★★☆☆ |
コストメリット | ★★☆☆☆ |
目次
19アンタレスの特性
全面が鏡面のアンタレスらしい外観で撮影しているカメラもキレイに映し出してくれます(笑)。異次元の高級感です。
スプール
スプール径は34mm×19mmのナロースプールです。シマノ従来の22mm幅と比べ3mmナロー化されているとのことで実際に比較してみました。
上からダイワ24mm(1016G1 SV)、シマノ22mm(16アンタレスDC)、シマノ19mナロー幅のスプールです。ダイワ24mm幅とシマノ22mm幅は同等ですが、シマノ19mmナロー幅は明らかにスプール幅が狭くなっています。
スプール重量自体はシャフト込みのためか決して軽いとは言えませんがダイワのSV BOOSTとほぼ同等の13g程度です。
糸巻後の重量もフロロ12ポンド×80mで25gと決して軽い訳ではありません。高比重PE2号75m+フロロ14m×20mでも22gの重量です。
キャスト性能
スプール重量に反しキャスト性能はナロースプールの恩恵により非常に優秀です。7g以上ならキャスト可能で特に10g前後が扱いやすい設定になっています。重量級のルアーにも対応可能で20g前後のバイブレーションから30g以上のビッグベイトなども扱えます。
キャスト感も非常に軽快でダイワのSVスプールのようにブレーキがかかっている感覚がなくルアーが気持ちよく飛んでくれます。加えてシマノの遠心ブレーキの特徴としてキャストとピッチングでブレーキ設定を変える必要がありません。遠心ブレーキはキャストで設定したブレーキのままでもピッチングが低弾道で決まります。その一方、ダイワSVスプールではブレーキが利きすぎてキャストの弾道が浮く傾向にあり着水音が大きくなりがちです。
サミング必須、爆風には要注意。
DCやSVですっかりオートマチックなキャスト感に慣れている人でも、19アンタレスの遠心ブレーキは何の問題も無くキャストできます。ただスピナーベイトやバスベイト、ダブルフロップなど空気抵抗の大きなルアーについては要注意です。あっという間に糸が浮くので、ブレーキを強めるかサミングでの対応が必要です。昔と違って外部ダイヤルだけで調整可能となったため調整はしやすいものの、SVやDCの方がトラブルは少ないです。
ロングリーダーであればPE設定も可能
フロロラインのみを通しで円心ブレーキで扱う場合、キャスト後半には糸が浮きやすくサミングで調整する必要があります。ですがフロロリーダー20mのベイトPE設定であればキャスト直後のカックンも発生せず、キャスト後半の糸浮きを劇的に抑えることが可能です。あえて爆風に向かってPEセッティングで投げてみましたが、全く問題なく扱えました。
比重の軽いPEを使うことでスプールが軽量化されるため、サミングが少なくても糸浮きを抑えられるのだと考えられます。加えてスプール軽量化により7g前後のキャスト性能が更に向上します。ベイトPEの詳細については別記事で紹介しております。
圧倒的な巻き心地と剛性感
ハイエンドだけあって剛性感は他の高剛性リールに比べても圧倒的です。同じマイクロモジュールギアでも20メタニウムより歯数が細かく、より上質な巻き心地に仕上がっています。
ドラグ音ありで安心のファイト
ドラグ性能は非常に優秀でベイトリールの中では比較的スムーズに糸が出てくれます。ドラグ音も搭載されているため良型が掛かった際にも安心のファイトが可能です。このドラグ音に関しては20メタニウムはおろか21アンタレスDCにも搭載されていない機構です。
巻物に絶妙な重量
操作を伴うワーム系の釣りにはデメリットとなりますが、巻き物には安心の重量です。中弾性やグラスコンポジットの様な重たいロッドでもリールが重い事で重心が手元に集中するため巻きが安定します。
重たい重量の割にコンパクトなボディ
19アンタレスは220gの重量でありながらボディサイズが小さくなっています。これまでは剛性感の高いリールはサイズが大きく繊細な操作は苦手でしたが、19アンタレスであれば操作系の釣りにも対応可能です。
勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル
ブレーキダイヤルは調整しやすいツマミが付いていますが、ロッドを束ねた際など勝手に設定が変わることはありません。釣り場に着いて一投目を投げる際、ブレーキ設定が勝手に変わったことによるミスキャストが格段に減ります。
デメリット
繊細な巻きモノに向かない
19アンタレスは非常に剛性が高くイヴォーク2.0など大型クランクもゴリゴリ巻けます。その反面、抵抗の少ないシャッドやバイブレーションではリールでの巻き抵抗が消えます。ロッドに感じる振動感が無くなる訳ではないのですが、あまりに軽く巻き取れてしまうためリールでの巻き感が分かりにくく感じます。。
スプール目減りによる巻きムラ
ナロースプールはスプール目減りが従来より大きく、キャスト直後と回収間際では巻き抵抗が大きく異なります。20gのバイブレーションを約40m遠投した前後のスプール比較です。まず19mm幅の19アンタレスからです。
続いて通常幅の21ジリオンSVです。
スプールの目減りは大きく異なり21ジリオンSVは1~2mmの目減りに対し、19アンタレスは3~4mmとなっています。これは巻き感の変化にも直結しておりキャスト直後と回収直前で大きく巻き感が変わります。そのため足元に近づくにつれてルアーの速度が上がりやすくバイブレーションやスピナーベイトは軌道が浮いたり、クランクベイトやシャッドでは潜りすぎて足元の岩に刺さりやすくなります。慣れれば技術でカバー可能ですが、物理的に巻物により適しているのは巻き速度の変化しにくい通常幅のスプールです。
マイクロモジュールのグリス切れ
19アンタレスに限らずですが、シマノのマイクロモジュールギアはグリス切れが早くゴリ感が早く来ます。毎週末の使用頻度だと半年でグリスが切れ始め、一年は持ちません。個人的にはサードパーティーのグリスを使用し対応しているためグリス切れ頻度は抑えられていますが、メンテナンス頻度はダイワに比べると増加します。
分解メンテナンスがしにくい
ただでさえグリス切れがしやすいマイクロモジュールギアを搭載しているにも関わらず、分解洗浄は非常に面倒なのが19アンタレスです。まずハンドルナットのカバーが外観重視のため内側にビスが隠れています。加えてハンドルナットそのものも専用工具が無いと取り外せませんが、なぜか19アンタレスは別売り。16アンタレスDCには付属していただけに残念でしかありません。
コスパは良く無い
ハイエンド機種のためコストメリットは良くはありません。DCに比べるとまだマシなレベルですが、ハイエンド機種のため我慢すべき点なのかもしれません。
想定される釣り
19アンタレスが最も特性を発揮するのはボートなどからの近距離巻物でキャストは20m範囲内、スピナーベイトやクランクを手返し良く打つ釣りでしょう。大型のハネやビックベイトも対応可能です。
ただ正直なところ、個人的には用途が大きく限定されるリールと考えています。剛性と重量感、圧倒的な巻き心地が売りのリールなのにスプール目減りによる巻きムラが大きく足を引っ張っています。遠投し一定レンジを巻くバイブレーションやスピナーベイトはレンジコントロールの難易度が上がり、ディープクランクも手元に近づくほど速度が上がり根掛かりが増えます。そのため近距離巻物でしか使い道がありません。
ボートで複数タックルを積む方なら選択肢に入りますが、ワームなど打ちモノには重すぎるため、おかっぱりで1本で何でも対応する方なら20メタニウムや21ジリオンを間違いなくお勧めです。
他のリールとの比較
23スティーズA II TWとの比較
キャスト性能(7g) | 19アンタレス |
キャスト性能(10g) | 19アンタレス |
キャスト性能(14g) | 同等 |
キャスト性能(21g以上) | 23スティーズA II TW |
剛性感 | 19アンタレス |
巻物適正 | 23スティーズA II TW |
ライントラブル耐性 | 同等 |
コストメリット | 同等 |
同じ高剛性ロープロ機に当たる23スティーズA II TWですが10g以下のキャストについては19アンタレスの方が上です。ナロースプールと糸巻量の少なさの効果は絶大で近距離キャストの快適さに関しては圧倒的な能力があります。加えてシマノならではの剛性感と巻心地も優位となっています。
ただし23スティーズA II TWは通常幅のスプールを採用しているため遠投時でもスプール目減りが抑えられるため、巻き感の変化が少なく巻物には有利です。若干ピーキーなブレーキ設定のため円心ブレーキと同等のライントラブル耐性ですが、小型ボディで巻きから打ちと幅広く扱えます。23スティーズA II TWの詳細は別記事で紹介しております。
20カルカッタコンクエストDC 101との比較
続いて20カルカッタコンクエストDC 101との比較です。
キャスト性能(5g) | 19アンタレス |
キャスト性能(7g) | 19アンタレス |
キャスト性能(10g) | 同等 |
キャスト性能(14g) | 同等 |
剛性感 | 同等 |
巻物適正 | 20カルコンDC 101 |
ライントラブル耐性 | 20カルコンDC 101 |
コストメリット | 19アンタレス |
19アンタレスはDCユニットがスプールについていない分7g以下のキャストでは有利ですが10g以上では差は有りません。その一方、20カルカッタコンクエストDC 101はDCブレーキにてバックラッシュが殆ど発生せずキャストを繰り返す巻物の釣りに適しています。20カルカッタコンクエストDC 101の詳細は別記事で紹介しています。巻物以外にも使用する場合には19アンタレスが適していますが、巻物にしか使用しない場合には20カルカッタコンクエストDC 101がお勧めです。
17スティーズA TWとの比較
まずはスティーズA TWとの比較です。
キャスト性能(5g) | 19アンタレス |
キャスト性能(7g) | 19アンタレス |
キャスト性能(10g) | 19アンタレス |
キャスト性能(14g) | 19アンタレス |
剛性感 | 19アンタレス |
巻物適正 | 17スティーズA TW |
ライントラブル耐性 | 17スティーズA TW |
コストメリット | 17スティーズA TW |
キャストに関しては19アンタレスの圧勝で、どんな重量のルアーであってもナロースプールの恩恵で投げやすさ、飛距離の共に優位に立っています。剛性は流石のシマノで他の追随を寄せ付けません。
ただ、使いやすさで言えばスティーズA TWとなります。キャスト性能では19アンタレスに劣るもののダイワは替えスプールが充実しており、浅溝スプールの導入で、ほぼ同等のキャスト性能に追いつきます。加えてスティーズA TWは汎用性が非常に高く、190gの重量がワーム系の釣りにも向いており、24mm幅スプールは近距離から遠投の全ての巻物に最適です。スティーズA TWについての詳細は別記事で紹介しています
まとめ
今回はナロースプールにより近距離キャストも快適になった19アンタレスを紹介しましたが
・剛性感とナロースプールで近距離巻物には最適
・ただし剛性が高すぎてシャッドなど繊細な巻物には不向き
・ナロースプールの目減りで遠投する巻物には慣れが必要
と長所が際立った分、デメリットも大きく目立つ性能となっています。その分、用途さえ合えば抜群の使い心地になりますので、近距離巻物が好きな方にはお勧めのリールです。