耐久性が低く頻繁に交換が必要な高比重PEですが、お手頃な価格のピッドブルG5であれば気になりません。高比重PEであるオードラゴンの登場によってフロロ中心のバス釣りでもPEが導入しやすくなりました。ただオードラゴンは耐久性が低く毛羽立ちも発生しやすいため通常のPEより早く交換が必要となります。ですがピッドブルG5はお手頃価格のためコストを大きく下げることができます。
長所は価格だけでなく高比重PEとしての性能は十分であり、強度や感度、操作性もオードラゴンと相違ありません。僅かに比重は低く1.4に届かない番手も有りますが実釣で気になったことは有りません。今回は十分な高比重PEとしての性能を持ちながらも安価に導入可能なピッドブルG5について紹介します。
なおの個人的評価は以下の通りです。
★5が満点 | |
細さ | ★★★★★ |
強度 | ★★☆☆☆ |
耐久性 | ★☆☆☆☆ |
滑り性 | ★☆☆☆☆ |
硬さ | ★★★★☆ |
コスト | ★★★★★ |
目次
ピッドブルG5の特徴
太さ


SV BOOST PEに0.8号を75m巻いた時の写真です。左がピッドブルG5、右がアップグレードX8ですが結論としては太さは同じで、どちらも0.8号通りの太さとなっています。太さは号数通りで太くも細くもありません。日本メーカーらしい精度を保っています。
強度

FGノットでの結束強度を測定しました。比較対象は「よつあみ」のアップグレードX8です。ピッドブルG5はブレが大きく10回測定、アップグレードX8は5回測定の結果となります。
ピッドブルG5 | アップグレードX8 | |
表記 強度 | 6.2kg 13.7lb | 7.26kg 16lb |
平均 | 3.32kg 53% | 4.80kg 66% |
最大 | 3.90kg 63% | 5.50kg 72% |
最低 | 2.50kg 40% | 5.00kg 62% |
強度については一般的なPEであるアップグレードX8に比べ1割ほど低く50%程度となっています。また最低強度では40%しか出ないためリーダーも一般的なPEほど強くは出来ません。そのためリーダーの目安としてはPEの太さの倍が限界です。例として0.8号に対しては6lbであれば問題ありませんが8lbのリーダーではリーダーでなくPEが結束部分で破断します。個人的にはリーダーにはピッドブルG5の2倍の太さが限界で、超えた場合には結束部分での破断を覚悟しましょう。
耐久性(色落ち、毛羽立ち)


耐久性は高いとは言えず早い段階で色落ちが発生します。毛羽立ちに関しては気になったことがありませんが、そもそも結束付近が弱りやすく頻繁にカットすることも一因と思います。持ちは良くないため、およそ3ヶ月でラインの表と裏を反転、半年で交換が限界です。価格も安いためどんどん交換し肝心な時のブレイクを防ぎましょう。
結束部の強度

結束部の近くはガイドとの摩擦など最もダメージを受けやすい部分です。スピニングではガイドが大きくPEラインも1号前後と細目が多いため問題にはなり難い傾向にあります。しかしベイトはガイドも小さくPEラインも糸噛み防止のため2号前後が主流となります。
ピッドブルG5における結束部の強度は低く、PEの中では最低ランクに相当します。永遠とキャストと巻取りを繰り返す巻物の釣りでは半日と持たず結束部分の近くが解れだし徐々に破断します。
滑り性、糸鳴りの少なさ


顕微鏡による60倍写真での比較です。滑り性に関してはPEの中でも悪い部類に入り、糸鳴りも大きめです。アップグレードX8との比較でも明らかに凹凸が目立ちます。
そのため一般的なPEに比べ1ランク太い糸を使っているようなラインの抵抗感を感じます。飛距離自体は悪くは感じませんが、恐らく通常のPEの方が飛距離は上がっていると思われます。
FGノットでの編み数
滑り性が悪い影響で摩擦系ノットは一般的なPEより少ない編み数でもスッポ抜けがありません。個人的には以下の編み込みで対応しています。
ピッドブルG5 | オルトロスPE | |
0.8号 | 19回 | 25回 |
1.0号 | 17回 | – |
2号 | 13回 | 17回 |
伸びと感度

2mのPEを2kgで引っ張った際の伸び率の結果です。
ピッドブルG5 | アップグレードX8 | |
伸び | 3cm | 3cm |
伸び率 | 2% | 2% |
結果としては僅かにピッドブルが伸びやすい傾向ですが、実釣面では全く気になりません。一般的なフロロで8%以上、ナイロンでは12%以上伸びるためPEの伸度は気づけないレベルです。
そのため感度に関してはフロロやナイロンを圧倒しており、加えて高比重であるためラインを緩めた際の感度も高い傾向にあります。正直に言って高級なロッドを購入するより高比重PEを購入した方が感度は向上します。
硬さ


ピッドブルG5は高比重素材が入っているためPEとしては硬めでフロロやナイロンに近い感覚で扱えます。アップグレードX8のような一般的なPEは空気中や水面でラインが舞うためラインでの細かい操作はできません。ですが高比重PEのオードラゴンなら曲線的に水面までラインが入るためラインの重量でルアーを操作できます。
トラブル耐性
ベイトPEへの適正は比較的高いと言えます。柔らかすぎるPEラインではバックラッシュが発生しやすくキャストでのトラブルが頻発しますが、高比重のため適度に硬くカックンとなるバックラッシュはしにくい傾向にあります。あくまでPEのためフロロのように糸が浮きながらもキャストすると即アウトですが、多少の糸浮きであれば、なんとか切り抜けられます。
コスト
価格に関しては文句なしの満点です。耐久性が低いラインではありますが、そもそもバス釣りは障害物周りでの釣りが中心であり高品質なラインでも頻繁に交換が必要です。PE設定ではリーダーも長くても6mまでが中心のため頻繁にリーダーを交換してもコストが掛かりません。またPE自体に傷が入っても安価のため傷が追加部分は即カットし数か月単位で裏返し、または交換しましょう。
他のPEラインとの比較
オードラゴンとの比較

細さ | 同等 |
強度 | 同等 |
耐久性 | オードラゴン |
滑り性 | 同等 |
硬さ | 同等 |
コスト | ピッドブルG5 |
同じ高比重PEに属するオードラゴンですが耐久性と価格以外に関しては殆どピッドブルG5と差がありません。表面の凹凸も60倍の顕微鏡比較でも同等です。強度もほぼ同等ですが耐久性はピッドブルG5の方が低く色抜けが早く感じます。そのためコストの低さを生かし頻繁に交換する必要があります。


一方でオードラゴンは一般的なPE程ではありませんがハイブリッドPEとしては耐久性は高いです。またはラインにマークが入っており飛距離が分かりやすいのですがピッドブルG5は単色となっています。


比重は僅かにオードラゴンの方が重いのですが実釣では差を感じません。そのため耐久性とラインのマークが欲しい場合にはオードラゴンがお勧めとなります。オードラゴンの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ

ピットブルG5は
・高比重PEのためフロロ同等の操作が可能
・高比重PEのためラインを緩めていてもフロロを圧倒する高感度
・圧倒的なコストメリットもPEとしては糸の滑り性、耐久性は最低ランク
となっており、現時点ではバス用PEとしては唯一無二の存在で対抗が見当たりません。価格もお手頃のため、とりあえず試してみるには最適のPEラインと思います。PEは使うだけで世界が変わると言っても過言ではありませんので、ぜひ検討してみて下さい。