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遠投リールの代名詞であるアンタレスDCがリニューアルされました。前作の16アンタレスDCでは若干バックラッシュしやすいブレーキ設計でしたが、新DCブレーキではバックラッシュが激減しナロースプールの搭載も加わって飛距離は更に向上しています。悩みどころだったナロースプールによる目減りも36mmの大口径スプールの恩恵で抑えられており、キャスト直後と回収直前での巻き速度の変化を緩和しています。
剛性感や巻き心地についても向上していますが、リールの精度が上がったためか巻き感度も非常に高く感じます。そのためダブルウィローのスピナーベイトなど、振動の少ない巻物への適正も上がっております。今回は遠投系リールNo.1であり巻物にも最適なリールである21アンタレスDCを紹介します。
個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(7g) | ★☆☆☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★★☆ |
キャスト性能(14g) | ★★★★★ |
キャスト性能(21g以上) | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★★★★ |
剛性感 | ★★★★★ |
巻物適正 | ★★★★★ |
コストメリット | ★☆☆☆☆ |
目次
21アンタレスDCの特性
16アンタレスDCでは上部だけであった鏡面ボディもフル鏡面に戻りました。19アンタレスは明るい色合いですが、21アンタレスDCは、やや明るさを抑えた色合いになっています。
スプール
スプール径は36mm×19mmのナロースプールです。シマノ従来の22mm幅と比べ3mmナロー化されています。実際に比較してみると16アンタレスDCよりスプール幅は狭くなっています。
スプール径も36mmとSVスプールなどの34mm径と比べ大きく、ショートキャストでは不利ですが遠投に適したスプールです。
スプール重量はDCユニット込みで16g強と19アンタレスの13gに比べ重めですが、重たいルアーをぶん投げる遠投の釣りには全く影響ありません。
糸巻後の重量はフロロ16ポンド×90mで30g、高比重PE2号×100m+フロロ14ポンド×20mで26gとなります。
キャスト性能
遠投に関しては圧倒的な性能を持っています。10g前後のルアーではメタニウムやジリオン、スティーズの方が快適ですが、アンタレスDCの本領は14g以上のルアーです。ナロースプールと新設計のDCの効果は非常に優秀で、16アンタレスDCとの比較でも数メートルは飛距離が伸びています。
空気抵抗の少ないバイブレーションだけでなく風の影響を受けやすいスピナーベイトなど様々なルアーで体感できるのもポイントです。フラットサイドや7g前後のミノーのようなキャストしにくいルアーでもDCブレーキがバックラッシュを抑えストレス無く投げられます。
オートマチックかつ微調整が可能なブレーキ設定
16アンタレスDCはDCでありながらも若干のサミングを必用とする仕様となっており、少々ブレーキを強めないとバックラッシュが多発します。21アンタレスDCはブレーキが改善されておりバックラッシュの頻度は格段に抑えられています。ただし空気抵抗の少ないバイブレーションだけでなく風の影響を受けやすいスピナーベイトではブレーキ設定を使い分ける必要があります。このバックラッシュの頻度だけで言えば20カルカッタコンクエストDCのブレーキの方が優秀です。20カルカッタコンクエストDCは安定性、21アンタレスDCは飛距離に特化したブレーキ特性になっています。
スプール目減りは少なめ
結論から言うと36mm径の効果で、ナロースプールでも目減りは少なく19アンタレスより影響は出にくくなっています。検証では20gのバイブレーションを40m遠投しキャスト前後のスプール比較を行っています。まず19mm幅の21アンタレスDCからです。
次が22mm幅の16アンタレスDCです。
参考までに19アンタレスも掲載します。
16アンタレスDCはキャスト後約1mmの目減りに対し、21アンタレスDCは約2mmとなっています。19アンタレスでは3~4mmと目減りが大きく遠投先と手元での巻き感の変化が大きかったのですが、21アンタレスDCは36mmスプール径と外周が大きいためか影響が少なくなっています。21mmの従来スプール幅の方が巻物には適していますが、36mm大口径スプールであれば19mmのナロースプールでも目減り影響が少ないと言えるでしょう。
剛性感
この剛性感についても21アンタレスDCは極上で、部屋の中で巻いてるだけでも幸せにしてくれるリールです。ギアの歯数も細かく20メタニウムとは桁違いです。
またガタツキも極めて少なく、ギアシャフト末端のベアリングは2点でベアリング自体のガタツキまで抑えられています。このため剛性感については16アンタレスDCより更に向上していますが、正直に言うと19アンタレスの方がもう一段上です。
巻き感度の向上
21アンタレスDCでは16アンタレスDCに比べ、巻き感度が大きく向上しています。ハイピッチャーのダブルウィローのように小さく振動の少ない巻物でも前作に比べ明確にルアーの動きがリールに伝わってきます。なぜ巻き感度が向上しているかは全く分からないのですが、恐らく各パーツの精度が向上しているからと推測されます。
巻物に絶妙な重量
重量は220gと重めでヘビキャロなどのロングロッドでバランスを取るには適した重量となっています。ただ220gという重量を意識したのか、レベルワインダーは樹脂化など重くなり過ぎない対策がされています。
勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル
ブレーキダイヤルは従来のアンタレスと同様のツマミになっており、ロッドを束ねても勝手に目盛りが変わることが在りません。
レベルワインドのグリス切れが減った
レベルワインドの露出部分が16アンタレスDCより減っており、グリス切れの頻度が圧倒的に抑えられています。ただでさえビスが多く分解洗浄が面倒なアンタレスDCのため、こういった改良は非常にありがたいポイントです。
デメリット
ドラグ音が無い
右の19アンタレスではドラグ音が搭載されており、大物とドラグを効かせながらのファイトがしやすくなっていますが、21アンタレスDCには有りません。21アンタレスDCの軽量化のための対策と思われますが、個人的には非常に残念な点です。
M以下のロッドには重い
220gの自重はMクラスに搭載する重さではないため、最低でもMH以上のロッドに合わせましょう。
マイクロモジュールのグリス切れ
21アンタレスDCに限らずですが、シマノのマイクロモジュールギアはグリス切れが早くゴリ感が早く来ます。毎週末の使用頻度だと半年でグリスが切れ始め、一年は持ちません。個人的にはサードパーティーのグリスを使用し対応しているためグリス切れ頻度は抑えられていますが、メンテナンス頻度はダイワに比べると増加します。
分解が大変
16アンタレスDCのサイドカバー固定のビス3本に比べれば改善されていますが、それでも注油だけでビスを2本空ける必要があり非常に面倒。
加えて、ただでさえグリス切れがしやすいマイクロモジュールギアを搭載しているにも関わらず、このビスの多さがグリス切れ問題を加速させています。この点は次回のリニューアルで完全が望まれる点です。
またスプールの両端にはゴムパッキンが付いていますが、スプールをボディから外すだけで簡単に取れ、行方不明になることも。キャスト時のブレ防止か巻き感向上のためのパーツと思われますが、日常的に取り外しする部分なので非常に残念です。
高すぎる
実売価格で約6枚近くの高級なお札が飛んでいきます。性能が良いとは言え気軽に購入できない価格設定です。
鏡面保護にはフックキーパー推奨
ダイワのTWSのようにレベルワインダーがフックに干渉することはありませんが、鏡面保護のためにはフックキーパーがお勧めです。私はジーニアスプロダクトのフックキーパーを使うことで対応しています。一部のシマノリールには使用できませんが、21アンタレスDCには搭載可能です。
想定される釣り
21アンタレスDCは圧倒的な飛距離でヘビキャロに最適であることは間違いありませんが、バイブレーションやスピナーベイト、ディープクランクなどぶん投げて巻いてくる釣りにも最適です。ナロースプールによる目減りで巻物には不向きと先入観を持っていましたが、いい意味で裏切られる形になりました。
他のリールとの比較
21スティーズA TW HLCとの比較
キャスト性能(7g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(10g) | 同等 |
キャスト性能(14g) | 同等 |
キャスト性能(21g) | 同等 |
剛性感 | 21アンタレスDC |
巻物適正 | 21アンタレスDC |
ライントラブル耐性 | 21アンタレスDC |
コストメリット | 21スティーズA TW HLC |
結果としては少々21スティーズA TW HLCには申し訳ない結果となっていますが、コスト以外の面では21アンタレスDCが優位になっています。キャスト性能について36mm径の遠投用リールで7g台のルアーを投げる人はごく少数とは思いますが、21アンタレスDCはナロースプールの恩恵でバックラッシュが少ないため僅かに優位です。一方、10g以上の場合、21スティーズA TW HLCは21アンタレスDCと変わらないキャスト性能を発揮しますが、どうしてもライントラブル対策でサミングが必要のため、21アンタレスDCの方が安定して飛距離を稼げます。
剛性感に関してはシマノの独壇場であり、21スティーズA TW HLCもダイワの中では最高クラスの剛性ですが、シマノには勝てません。自重の重さからも巻物に関しても21アンタレスDCの方が優位です。21アンタレスDCはナロースプールではありますが36mm大口径の恩恵で目減りが少なく、巻き物も対応可能です。
逆に少しでも重量が軽い方が良ければ21スティーズA TW HLCの出番となります。ヘビキャロなど遠投系の釣りで操作が必要な場合には21スティーズA TW HLCの方が扱いやすいでしょう。21アンタレスDCは価格が非常に効果のため、コストメリットも魅力です。21スティーズA TW HLCの詳細は別記事で紹介しております。
20カルカッタコンクエストDC200/201との比較
キャスト性能(7g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(10g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(14g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(21g以上) | 21アンタレスDC |
ライントラブル耐性 | 20カルコンDC201 |
剛性感 | 同等 |
巻物適正 | 20カルコンDC201 |
コストメリット | 同等 |
共に大口径スプールを有するリール同士の比較ですが、大きな違いはスプール幅となります。ナロースプールが搭載された21アンタレスDCはキャスト面ではあらゆるルアーで有利となります。20カルカッタコンクエストDC201と比べるとバックラッシュしやすい傾向にありますが、その分、細かいブレーキ調整が可能で、より飛距離を伸ばすことができます。一方、通常幅の20カルカッタコンクエストDC201は飛距離では劣るものの、一定レンジを一定速度で通す巻物の釣りには有利です。加えてDCブレーキのメモリが少なくブレーキ調整が楽な上にバックラッシュの頻度も抑えられています。20カルカッタコンクエストDC201の詳細は別の記事で紹介しています。
16アンタレスDCとの比較
キャスト性能(7g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(10g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(14g) | 21アンタレスDC |
キャスト性能(21g) | 21アンタレスDC |
剛性感 | 21アンタレスDC |
巻物適正 | 16アンタレスDC |
ライントラブル耐性 | 21アンタレスDC |
コストメリット | 16アンタレスDC |
16アンタレスDCとの比較ですがナロースプールの効果は絶大でキャストにおいては21アンタレスDSの圧勝です。剛性感も21アンタレスの方が上ですが、目減りによる巻きムラ問題で巻物適正においては16アンタレスDCの方が勝っています。DC性能の向上でライントラブル耐性も21アンタレスDCが上となります。
ただ、ここまでの性能が必要かと聞かれた場合、16アンタレスDCでも全く実釣には問題在りません。今なら16アンタレスDCは中古市場でより安価に調達可能です。巻物に関してはバイブレーションやスピナーベイトを一定レンジで巻く釣りには通常スプール幅の16アンタレスDCの方が物理的に適しているでしょう。16アンタレスDCの詳細は別記事で紹介しております。
まとめ
今回紹介の21アンタレスDCは
・新DCとナロースプールでキャスト性能が更に向上
・36mm径スプールで目減り影響は少ない
・圧倒的な剛性感で巻物にも最適
と飛距離が求められる釣りには全く不満の無い性能が凝縮されています。価格だけがネックですが、重めルアーを使用することが多く、30m以上のキャストが多い人には間違いなくお勧めの一台です。