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キャスト感の悪さがネックであった18バンタムが22バンタムにて改善されました。ナロースプールが導入されキャスト感が爽快になっただけでなく35mmの大口径により遠投性も向上しています。剛性感については前作から突出しておりましたがインフィニティドライブという新機構により巻き心地は更に向上しています。これによりハイギアやエクストラハイギアでも抵抗の大きいスピナーベイトやクランクを楽に巻くことが可能です。
ただしパワフル過ぎるためか軽量ルアーには適しておらず10g以下のルアーを扱う用途には19アンタレスや20メタニウムに劣ります。またブレーキ設定も外部ダイヤルのみの調整では不十分で内部のブレーキシューを頻繁に変更する手間も有ります。今回は前作より剛性感と遠投性能が向上し、より重量級ルアーに最適となった22バンタムについて紹介します。
個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
キャスト性能(7g) | ★☆☆☆☆ |
キャスト性能(10g) | ★★★☆☆ |
キャスト性能(14g) | ★★★★★ |
キャスト性能(21g以上) | ★★★★★ |
ライントラブル耐性 | ★★☆☆☆ |
剛性感 | ★★★★★ |
巻物適正 | ★★★☆☆ |
コストメリット | ★★★★★ |
目次
22バンタムの特性
シマノは中価格帯のバンタムやメタニウムでも容器に拘っており購入時にも満足感が得られます。性能には一切関係は有りませんが、ダイワの中価格帯リールは白一色の容器で少々味気ない感じがあります。
スプール重量
35mm径×19mm幅スプールと従来の34mm径×22mm幅と比較し口径も大きくなりナロー化されています。
スプール径は通常の34mmと遠投用の36mmの中間となっています。近距離キャストには若干不利になりますが、遠投への適正は向上しています。
一方でスプール幅は19mmにナロー化され近距離キャスト性能を向上させています。35mm口径による近距離キャストへのデメリットをナロースプールの効果で緩和しており、近距離と遠投の双方のバランスを取っています。
スプール重量は重く14g強と22ジリオンHDとは同等で重量級ルアー前提のリールでは標準的な重量です。
軽量ルアーに対応した19アンタレスは13gと軽く遠投向けの21アンタレスDCでは17g強のため、22バンタムは中間の重さとなっています。
糸巻後の重量はフロロ16mポンド×90mで26g、フロロ14mポンド20m+高比重PE2号×100mで24gとなります。
キャスト性能
10g以上であればキャストは可能ですが糸巻量が多くスプール重量が重たいため、快適にキャスト可能なのは14g以上のルアーです。キャスト感も直近の19アンタレスや20メタニウムの軽量スプール搭載品とは異なり遠投向けの仕上がりとなっています。昔の銀メタやメタニウムXTのキャスト感に近く20gを超えるようなバイブレーションには相性が良く感じます。ちなみに前作の18バンタムではキャスト時の失速感が酷いとの評価が多かったですが22バンタムでは感じられません。
ルアーに最適な内部ブレーキ設定が必須
22バンタムを使いこなす上で必須なのが内部ブレーキ調整です。ブレーキシュー6個の全てONの設定で20gバイブレーションをキャストすると
・外部目盛2~6:ブレーキが効きすぎて飛ばない
・外部目盛1:ブレーキが足りずバックラッシュ多発
となり外部ダイヤルだけでは対応しきれません。そのためルアーにあった内部ブレーキを都度調整し、外部で微調整する必要があります。内部ブレーキ固定でも使用は可能ですが快適とは言えません。個人的な内部ブレーキの推奨設定は
・14g以上⇒内部ブレーキシュー2個ON
・10g前後か強風時⇒内部ブレーキシュー3個ON
となります。ただし内部ブレーキ変更の際にはパーツの落下に要注意です。
ナロースプールによるスプール目減りは少なめ
35mmの大口径スプールの恩恵でスプール目減りは通常幅よりは大きいものの影響は少なくなっています。22バンタムの例です。目減りは2~3mmに留まっております。
次が19mm幅の19アンタレスです。目減りは大きく3~4mmとなります。
最後に通常幅の21ジリオンSVです。目減りは最も少なく1~2mmとなります。
高い剛性感と巻き心地
剛性感を謳っているリールだけあって堅牢さは同価格帯のリールを圧倒します。ただしアンタレスのような最上位機種には若干劣ります。同じマイクロモジュールギアでもアンタレスはハイエンドだけあってギアの細かいためです。
また21アンタレスDCではメインギアのシャフトにベアリングを2個搭載しベアリングの「がたつき」まで制御していましたが22バンタムは価格帯もあってか搭載されていません。
インフィニティドライブによる軽い巻き感
22バンタムではスプールにベアリングが1点追加されています。ハイエンドの21アンタレスDCにも搭載されていない新しい機構です。
このベアリングの追加によりスプールの両端とピニオンギア両端の計4点のベアリングで支持する機構に変更されています。従来のシマノ製ベイトリールでは計3点での支持とピニオンギアとスプール接合部のベアリングが共用となってます。
ベアリング追加の効果は絶大で明らかに従来のリールより巻き感が軽くなりました。実釣ではより効果を実感しやすく、エクストラハイギアで抵抗の強いフルサイズクランクを巻いてもノーマルギアのような感覚で巻き取れてしまいます。ギア比の高いベイトリールで大型のバスを掛けると魚の引きが強すぎて巻き取れなくなりますが22バンタムであれば問題ありません。ただしバイブレーションのような巻き抵抗の少ないルアーでは巻き取りパワーが強過ぎるため巻き抵抗が消され巻き感が分かり難く感じます。
ちなみにダイワは20年ほど前からこの構造を採用しています。シマノがインフィニティドライブを採用したのはダイワの特許有効期間が満了したからと推測しています。
ドラグ音がない
価格帯から仕方ない点ではありますがドラグ音が有りません。インフィニティドライブの機構により大型バスだけでなく他魚種とのファイトも容易になったのですが、バス以上に引きの強い魚が相手となるとドラグを併用したファイトが必須となります。19アンタレスや20カルカッタコンクエストのような上位機種には搭載されているため次回リニューアル時での改良が望まれます。
頼もしい重量
220g以上の重量はMH以上の重いロッドには相性がよく重心が手元に集中するため手の負担が軽減されます。
大きすぎないボディで操作性向上
22バンタムのボディサイズは21ジリオンSVとほぼ同じサイズに収まっています。小型リールとなる21アルファスとの比較では大きくなり繊細な操作には向きません。その一方で丸形リールよりは小さく操作しやすいためワーム系など操作の伴う釣りにも対応可能です。
勝手に目盛りが変わらないブレーキダイヤル
サイドカバー内に取りつけられたブレーキダイヤルですが、調整しやすく、ロッドを束ねたりカバーをつけたりしても勝手に目盛りが変わることなく快適に使用できます。
パワフル使用に最適のハンドルノブ
19アンタレスや20メタニウムとは異なり22バンタムのエクストラハイギアにはアンタレスDC MDのようなパワフルなハンドルノブが搭載されております。ノーマル/ハイギアは一回り小さなグリップですが、すっぽ抜けしにくくパワーゲームへの愛称は抜群です。
スタードラグの改良で分解しやすい
従来のシマノのスタードラグは穴が▢形状だっため、分解後の組立時にシャフトへの取り付けが面倒でした。22バンタムではスタードラグの穴が〇形状に改良されており分解後の組み立てがしやすくなっています。自分でメンテナンスを行う方にとっては非常にありがたい点です。
入手しやすい価格
バンタムの魅力の一つが価格でありハイエンドと同等の剛性感と巻き心地がこの価格帯で購入できます。
デメリット
ブレーキ設定が面倒
19アンタレスや20メタニウムでは内部ブレーキを全てONにして外部ブレーキのみで対応できましたが22バンタムは内部ブレーキを頻繁に変更する必要があります。それだけでも手間ですが22バンタムはサイドカバーがねじ込み式で空け難く、更にストレスとなります。内部ブレーキ3個ON、残りは外部ブレーキの調整で大半はカバーできますが、空気抵抗の大きいルアーや遠投に最適の設定ではありません。
パワフル過ぎて巻き感が消える
長所の裏返しではありますが抵抗の強いルアーでも楽に巻き取れる反面、抵抗の少ないシャッドやバイブレーションではリールでの巻き抵抗が消えます。ロッドに感じる振動感が無くなる訳ではないのですが、あまりに軽く巻き取れてしまうため従来と感覚を変える必要があります。
マイクロモジュールギアによるグリス切れ
22バンタムに限らずですが、シマノのマイクロモジュールギアはグリス切れが早くゴリ感が早く来ます。毎週末の使用頻度だと半年でグリスが切れ始め、一年は持ちません。個人的にはサードパーティーのグリスを使用し対応しているためグリス切れ頻度は抑えられていますが、メンテナンス頻度はダイワに比べると増加します。
ベアリング追加で快適に
改造となるためメーカーの保証対象外となりますがベアリングの追加で巻き心地は更に向上します。追加する場所は各ハンドルノブの2点です。
またウォームシャフトにも樹脂カラーが有り、こちらも交換が可能です。
フックキーパー使用には改造が必要
個人的に気に入っているフックキーパーですが22バンタムのボディはビス取り付け箇所が凹んでおりそのままでは取り付けできません。凹みの部分をワッシャーなどで嵩上げし、別途、長いビスを用意する必要があります。
想定される釣り
22バンタムに適しているのはバイブレーションやヘビキャロでの遠投、または剛性感の求められる大型ルアーやウィードマットへのパンチングの様な釣りです。スプール重量が重く近距離キャストを繰り返すような釣りには適していませんが大口径スプールにより遠投しやすい設計です。また剛性感の高さから巻き抵抗の大きなクランクやスピナーベイト、ビックベイトでも楽に巻き取りできます。掛けた後に魚を引きずり出すパワーも圧倒的で、楽に足元まで寄せることが可能です。
他のリールとの比較
22バンタムは高剛性リールの中でも近距離と遠投専用リールの中間的な仕様となっています。比較対象が多くなりますが近距離/遠投の双方との比較をします。
19アンタレスとの比較
キャスト性能(7g) | 19アンタレス |
キャスト性能(10g) | 19アンタレス |
キャスト性能(14g) | 同等 |
キャスト性能(21g以上) | 22バンタム |
ライントラブル耐性 | 同等 |
剛性感 | 19アンタレス |
巻物適正 | 同等 |
コストメリット | 22バンタム |
19アンタレスは22バンタムと同じ高剛性リールではありますが近距離の軽量ルアーに特化しています。遠投や14g以上のルアーが中心であれば22バンタムが適していますが、30m以内のキャストが中心で、10g前後のルアーを使う事が多いのであれば19アンタレスが適しています。19アンタレスの詳細は別記事で紹介しております。
21アンタレスDCとの比較
キャスト性能(7g) | 22バンタム |
キャスト性能(10g) | 22バンタム |
キャスト性能(14g) | 同等 |
キャスト性能(21g以上) | 21アンタレスDC |
ライントラブル耐性 | 21アンタレスDC |
剛性感 | 21アンタレスDC |
巻物適正 | 同等 |
コストメリット | 22バンタム |
遠投に最適なリールと言えば21アンタレスDCであり、重いルアーを遠くに飛ばす事に関しては22バンタムでは及びません。その反面、10g以下のキャスト性能では22バンタムが有利となっています。遠投以外に近距離のカバー打ちも対応したい場合には22バンタムが有利ですが、遠投専用であれば21アンタレスDCが適しています。21アンタレスDCの詳細は別記事で紹介しております。
22ジリオンHDとの比較
キャスト性能(7g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(10g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(14g) | 22ジリオンHD |
キャスト性能(21g以上) | 22ジリオンHD |
ライントラブル耐性 | 22ジリオンHD |
剛性感 | 22バンタム |
巻物適正 | 22バンタム |
コストメリット | 22バンタム |
得意な分野が全く同じとなる22ジリオンTW HDですが、どちらも重量級ルアーに特化しておりラインキャパも全く同じです。ただ得意な分野は異なっておりキャストに関しては22ジリオンTW HD、剛性感については22バンタムとなります。22バンタムはシマノならではの剛性感でビックベイトやパンチングなどリールへの負荷が大きい釣りには抜群の性能を発揮します。ただしキャスト性能に関しては22ジリオンTW HDが圧倒的でキャストフィールだけでなくライントラブル耐性も優秀です。22ジリオンTW HDの詳細は別記事で紹介しています。
まとめ
今回紹介の22バンタムは
・35mm大口径のナロースプールで遠投性能が向上
・インフィニティドライブにより巻きが更にパワフルに
となっており近距離特化の19アンタレスと遠投専用の21アンタレスDCの中間的な性能になっています。パワフル過ぎて巻き抵抗の少ないシャッドなどには全く適していませんが、ビックベイトやパンチングなどリール強度が求められる釣りには最適の一台となっています。これがアンタレスや22ジリオンTW HDよりお手頃な価格帯で購入できるためロッドが複数本必用な人にもお勧めできるリールです。