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19ヴァンキッシュの技術が21コンプレックスXRとして汎用機種にも横展開されました。価格が倍近く異なるため剛性感は19ヴァンキッシュに一歩劣るものの、巻きの軽さは完全に同等となっております。そのため巻く、止めるを繰り返すライトリグには最適でダイワの20ルビアスや21ルビアスエアリティにも劣っておりません。
ただしドラグ性能だけは19ヴァンキッシュや20ツインパワーのような上位機種には一歩及ばず、改善にはスプールそのものを交換する必要があります。同価格帯であるダイワの20ルビアスではベアリング追加により簡単にドラグ性能を底上げできるのですが、21コンプレックスXRは対応できません。そのため扱いには魚を掛けた後の細かいドラグ調整が求められます。ファイト時には少々テクニックが求められるものの、操作性とコストメリットが極めて高い21コンプレックスXRについて紹介します。
21コンプレックスXRの個人的な評価は以下の通りです
★5が満点 | |
重量の軽さ | ★★★★☆ |
巻きの軽さ | ★★★★★ |
剛性感 | ★★☆☆☆ |
ドラグ性能 | ★★☆☆☆ |
ライントラブル耐性 | ★★★★★ |
コストメリット | ★★★★★ |
目次
21コンプレックスXRの特性
21コンプレックスXRは落ち着いた外装のため色んなロッドに合わせやすい仕上がりとなっています。
重量の軽さ
重量については47φスプール径としては軽量の175gとなっています。ハイエンドの19ヴァンキッシュでは47φスプールの2500番で165gとより軽量ですが、ライトリグを扱う上では問題の無い重さです。
巻きの軽さは19ヴァンキッシュと同等も剛性感は劣る
巻き感は非常に軽く19ヴァンキッシュと比べても同等となっています。そのため。ただ巻き心地に関しては価格差もあるため19ヴァンキッシュには流石に及びません。
ローター合成は高くない
ローターは軽量化を意識したためか若干の「たわみ」が有ります。左右から手で挟むとボヨンと曲がって戻る感覚があり、ラインローラー側はマシですが、反対側のたわみが特に大きく感じます。数ミリ程度しか「たわみ」が無いため写真では判断しにくいのですが、赤丸の部分などは通常に比べたわみが分かりやすいと思います。
なおダイワのエアベールもカーボン樹脂製のため若干はたわみますがシマノよりはマシです。写真上では「たわみ」わ分からないレベルです。実用上で困ったことが無いので問題とは思っていませんが、シーバスやチヌなど引きが強い魚には問題になるのかもしれません。
参考までに金属ローターを採用している22ステラも掲載しますが、写真上でも実際に触った感じでも殆ど「たわみ」を感じません。
ドラグ性能
ラインが1秒で30cm出る設定でドラグを800gに設定し、そこから低速 (10cm/s)と高速(90cm/s)でのドラグ値を10回以上計測し、おおよその平均値を記載しました。手作業のためブレが非常に大きい実験ではありますが、結果は以下の通りです。
ドラグ速度 | 21コンプレックス 2500F6 | 19ヴァンキッシュ C3000SDH | 20ルビアス LT2500S |
スプール径 | 47φ | 47φ | 45φ |
低速(10cm/s) | 700g | 700g | 600g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 1,100g | 1,000g | 1100g |
検証の結果、低速域では19ヴァンキッシュと同等ですが、高速域では明らかにドラグ抵抗値が上がっていました。同価格帯の20ルビアスとの比較ではダイワとシマノのドラグの傾向が明確に出ています。
21コンプレックスXRのドラグは下位機種とは異なりベアリング支持ではありますが、写真の通り構造が19ヴァンキッシュや20ツインパワーとは写真の通り異なっています。これがドラグ性能の差と推測されます。
そこでスプールを20ツインパワーの2500番と変更しテストしてみました。
ドラグ速度 | 21コンプレックス 20TPスプール | 19ヴァンキッシ C3000SDH | 20ルビアス LT2500S フルベアリング |
スプール径 | 47φ | 47φ | 45φ |
低速(10cm/s) | 700g | 700g | 600g |
普通(30cm/s) | 800g | 800g | 800g |
高速(90cm/s) | 1,000g | 1,000g | 1000g |
20ツインパワーのスプールを付けた21コンプレックスは19ヴァンキッシュや20ツインパワーと同等のドラグ性能となりました。ただ、交換にはスプールを丸々追加購入の必要があり、初めから上位機種を買った場合と変わらない費用となってしまいます。一方で20ルビアスはベアリングの追加だけでハイエンドと同等の性能に進化します。
シマノのドラグ設定は緩めに
シマノのドラグは初動ではドラグが出にくく、魚が走った時に大きくドラグがでる傾向にあります。ダイワは逆で初動が出やすく、魚が走った際に出にくくなるため使い分けが必要です。シマノスピニングを使いこなすには
・フッキングの後にはドラグを若干緩める
・魚が走った際にはドラグを手で抑える、あるいは巻きながらファイトする
といった対応が必要となります。
ラピッドファイヤドラグはラインブレイクを防ぐ
細糸を多用するバスでのライトリグでは急に魚が走った際に素早くドラグ力を調整したい場面が有ります。ラピッドファイヤドラグであれば2~3メモリ調整するだけでも大きくドラグ力を落せるため、大物が掛かった際での余裕の無いファイトでもラインブレイクを防ぐが可能です。
スプールシャフトに糸絡みしにくい
特にロングリーダーを使う際に問題となるスプールシャフトへの糸絡みですが、シマノでは写真の通り大きなストッパーにて頻度が大きく抑えられています。ダイワでは新型の22イグジストを除き対策が甘くスプールシャフトに何度も糸絡みしました。
またベールを起こした際のローター回転防止も完全に覆われているため、ラインが絡まる心配がありません。これもダイワでは22イグジストしか対応できていません。
入手しやすい価格
コンプレックスXRは中価格帯のためヴァンキッシュの半額程度で購入できます。費用を抑えたい人にはありがたいリールです。
デメリット
ドラグ性能
前述の通りのため詳細は割愛しますが、ドラグ性能については高いとは言えません。大物が掛かった際には釣り人のテクニックで乗り切る必要があります。
あると便利なスタンド
スピニングリール全般に当てはまる件ですが、一旦、スプールに傷が入るとキャストの度にラインに傷がつくため致命傷となります。普段は直置きについて注意していても、良型が釣れた際にはタックルと合わせて写真を撮ることも多いでしょう。ただ最も危険なタイミングでもあり魚が暴れると一瞬でリールが傷物になります。
多少の重量増にはなりますが、私はリールスタンドを使用しており、これでリールが直に地面に触れる可能性は無くなります。フックキーパーも付属しており、ニッパーで切って改造すればオフセットフックやシンカーも対応可能です。
21コンプレックスXRに適した釣り
21コンプレックスは完全にライトリグ向けのリールであり、「巻く、止める」を繰り返す釣りには、これ以上無い性能を発揮します。6ポンド以下のライトリグにはヴァンキッシュ一択となるでしょう。
一方でシャッドなど巻物は出来なくは無いですが、21ルビアスエアリティや22イグジストなど、もう少し剛性の高いリールの出なければ安心感が足りません。また使用するラインの上限もリーダー:8ポンド、PE0.8号以下で、10ポンド以上を多用する釣りも剛性の高いリールが向いています。
買うならどの番手?
今回購入したのは2500番の47φ口径であり口径が広いため5ポンドを巻いてもライントラブルが発生しにくい番手です。PEセッティングでは0.8号のリーダー8ポンド×6mでも快適に扱えました。一方で3ポンド以下のライトラインの場合では2000番でもライントラブルは気にならず、重量も軽くなるためUL~Lパワーのロッドと相性は良くなるでしょう。
他のリールとの比較
19ヴァンキッシュとの比較
価格帯は異なりますが19ヴァンキッシュとの比較です。
重量の軽さ | 19ヴァンキッシュ |
巻きの軽さ | 同等 |
剛性感 | 19ヴァンキッシュ |
ドラグ性能 | 19ヴァンキッシュ |
コストメリット | 21コンプレックスXR |
ハイエンドの19ヴァンキッシュに対し21コンプレックスXRは汎用価格帯のためコスト以外では大半の性能は及びません。ただし巻き出しの軽さについては19ヴァンキッシュに完全に同等であり、ワームなどの巻く、止めるを繰り返す釣りでは気になりません。その一方、自重の軽さや巻き心地などの剛性感、ドラグ性能にかんしては19ヴァンキッシュの圧勝です。19ヴァンキッシュの詳細は別記事で紹介しております。個人的には多少の無理をしてでも19ヴァンキッシュを買うことをお勧めします。
20ルビアスとの比較
同価格帯である20ルビアスとの比較を記載します。
重量の軽さ | 20ルビアス |
巻きの軽さ | 21コンプレックスXR |
剛性感 | 20ルビアス |
ドラグ性能 | 20ルビアス |
コストメリット | 同等 |
まず巻きの軽さでは21コンプレックスの圧勝です。その一方で剛性感や巻き心地では20ルビアスに劣ります。ドラグ性能については非常に近いですが、20ルビアスはベアリング追加だけでハイエンドと変わらないドラグ性能に改良できます。。20ルビアスについては別記事で紹介しております。
ただし20ルビアスは重量は軽いものの、スプール径が45φのため3~4ポンドのライトラインに特化しており、47φスプールの21コンプレックスXRの方が汎用性は高いと言えます。20ルビアスではFCモデル以外、マグシールドを登載しているため巻き感が非常に重くバス用とても使えない為です。そのため迷った場合には21コンプレックスの方がお勧めです。
まとめ
21コンプレックスは
・巻きの軽さは19ヴァンキッシュと同等も、巻き心地は価格相応
・ドラグ性能は上位機種に劣るためスプールごとの交換が必要
となっておりますが、コストメリットは非常に高い一台です。ただ本機種に関してはダイワの20ルビアスと21ルビアス以上に汎用品とハイエンドの差を大きく感じます。複数台リールが必要な方には最適ですが、ドラグに関してはテクニックで乗り切る必要があります。そのため資金に余裕がある限り19ヴァンキッシュの購入をお勧めします。